日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

庶民のささやかな楽しみが・・・

2014-10-25 20:11:35 | アラカルト

「湯上がりに一杯」というシーズンではなくなったと思うのだが、これからの「鍋シーズン」に向けビール各社は、様々な販促を考えていたコトだろう。
特に、最近は「ビールの仲間」も増え、自宅飲みでは日頃は「第3のビール」、週末や給料日などは「プレミアムビール」と使い分け(というか、飲み分け)をされている方も多くいらっしゃるのではないだろうか?
週末、近所のディスカウント酒店の前を通ったりすると、「第3のビール」をケース買いされている方の姿を見かけるコトは、当たり前の様になってきた。
それだけ「第3のビール」が、生活の中に溶け込み、支持をされている、と言うことなのだと思う。

そんな庶民のささやかな楽しみが、どうやら無くなりそうだ。
中日新聞:ビール類の税率一本化 政府が検討

そもそも「第3のビール」が登場した背景には、バブル経済崩壊後の経済の低迷があり、好景気と言われた「小泉内閣」時代でも、生活者の景気実感は決して良いものではなかった。
その様な社会環境の中で、「第3のビール」は登場したのだ。
「プレミアムビール」のような美味しさは無いが、「ビールを飲んだ気分」は十分味わえる、と大人気になった。
特に「発泡酒」の酒税が上がった直後に登場した「第3のビール」は、ある意味ビール各社の「意地」のようなカテゴリー商品だったのかも知れない。
その「意地」とは、生活者にとって「手軽に気持ち良くビールを飲む生活を提供したい」というコトだったように感じる。
そして「第3のビール」は大ヒットした。

ここ数年は、SUNTORYの「プレミアムモルツ」が、国際的な食品のコンクールで数年連続の「金賞」を受賞するなどして、「プレミアムビール」という新しい市場も登場し、「ビール類市場の2極化現象」が起き始めていた。
おそらく「2極化現象」といっても、上述した通り生活者の使い分け(飲み分け)が進んだために起きた、と考えられるので、ビールメーカー各社は「プレミアムビール」に力を入れる一方で「第3のビール」の開発にも積極的だった。
その「第3のビール」開発に水を差したのが、今年の春に起きたサッポロの「極ゼロ」だったと思う。

今回の報道を見てみると、「極ゼロ」の問題は、「第3のビール」に対する酒税アップの始まりだったのかも知れない。
考えて見ると、安倍政権になってから庶民の楽しみが少しずつ増税の対象になってきている様な気がする。
消費税Upの理由は、社会保障の充実だったような記憶があるがその様な報道はほとんど聞かれないし、安倍内閣ができる原動力となったはずの「アベノミクス」という景気回復実感も無い。
確かに「景気回復の気」はあったかも知れないが、「気」というものは気ままなモノ。
いつまでも続く訳ではない。

昔の自民党政権と同じ様な「公共事業」の発想で景気回復とか、「円安で輸出産業が日本経済を引っ張る」という時代ではない。
政治家が「やればできる」的な精神論で、言われても生活者はついてこない。
最近の政府の政策をみていると、生活者の気持ちからはどんどん離れていっているような気がするのだが・・・。