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垣根を越えるところからはじまる?イノベーション

2014-10-18 18:10:30 | ビジネス

ノーベル物理学賞の受賞が決まった名古屋大学の天野先生が、先日他の大学で講義をした、と言うニュースがあった。
Yahooトピックス 毎日新聞:<ノーベル賞>天野氏、愛知工大で特別講義 大教室に立ち見
この記事の主な趣旨は、見出しにある通り「ノーベル物理学賞」の受賞が決まった天野先生の講義を聴講する為に、学生だけではなく大学職員なども集まり講義を聴いた、と言う内容だ。

ただ、個人的に注目したのは「聴講する為に、立ち見が出るほどだった」ということではなく、「青色LED」のこれからの使いかたとして、医療の分野を挙げている点だった。

引用
注目すべき医療応用として、LEDを頭部に挿入して光の刺激で生物の行動を制御する研究を紹介した。赤や青など神経細胞に照射する光の色の違いで、行動が活発になったり止まったりするといい、「まだ実用化には時間がかかるが、生まれつき手が震える人を治療できる可能性がある」と語った。

「青色LED」は、既に私たちの生活にはなくてはならないものになりつつある。
テレビ、携帯電話やスマートフォン、PCなどだけではなく、信号機の「青」や照明など幅広い使われ方をしている。
それはある程度、「こんな使い方があるのかな?」と、想像が出来る範囲での使われ方だと思う。
それが全く異なる分野である、医療への利用となるとやや驚く。
理論など全くわからない市民からすると、「え!そんな使われ方があるの?!」と驚くことになる。
言い換えれば、「イノベーション(=変革)」の一つだとも言えると思う。

そしてこの様な、一見ミスマッチな分野同士が協力し始めている、と言うことを今年の春知ったのだった。
拙ブログに来て下さる方はご存じかも知れないが、時々地元大学で開催される「市民公開講座」に出掛ける。
行って「はぁ~~~???」となる講座もあるのだが、「え!」と驚く講座もある。
その一つが、「医療分野におけるプラズマの利用」というものだった。
「プラズマ」といって思い出されるのは、何だろうか?
「オーロラ」だろうか?はたまた生産中止となった「プラズマテレビ」だろうか?
「プラズマ」の仕組みそのもの話は、理解できない部分が多く「はぁ~~~???」だったのだが、手術などの止血などに使われている、と言う話は「オーロラ」や「プラズマテレビ」をイメージしていた私には、結びつかないことだった。
もちろん、「プラズマ」を使ってPCや携帯電話、スマートフォンの基盤などを作っている、と言うのは「なるほど」とは思ったのだが、その様な工業製品と医療が結びつかなかった、と言うのが本当のところだ。

そして話を聞けば聞くほど、「異なる分野の研究が、様々なカタチで組み合わされると、イノベーションが起きる」という気がしたのだった。
「青色LED」にしても、「光」という視点だけで考えていれば、「光」に関連する製品作りで終わってしまう。
そこに「青色LED」が発する「波」に注目すると、全く違ったアイディアが浮かび、それが医療分野での使用ということに繋がっていく。

「イノベーション」を起こすことは、とても難しい。
多くの企業が「イノベーション」を起こそうと、躍起になっている。
だが、一つのモノ・コトを一つの方向で観ているだけでは、新たな発想など生まれてこない。
それを刺激するのは、これまでとは全く違う分野からの視点、と言うことかも知れない。
天野先生の研究はその点で、私達にも分かり易い「イノベーションの作り方」という気がした。