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「都道府県別大学進学率」が示すこと

2014-10-16 20:22:02 | ビジネス

先日、朝日新聞に「都道府県別大学進学率」という記事が、掲載されていた。
朝日新聞:大学進学率の地域格差、20年で2倍 大都市集中化で二極化

このデータは、文科省の「学校基本調査(速報値)」から4年制大学へ進学した高卒生の割合を都道府県別に朝日新聞が算出したデータなので、信頼性という点では「・・・・」な部分もあるかも知れないが、比較的信頼ができるデータだと思う。
毎年、受験シーズンになると高校別有名大学の進学記事を掲載しているのだから、ある程度の確かさはあると思う。

この記事を読んでみると、地域別の経済格差が大学進学率にも影響を及ぼしている、と言うことになりそうだが、本当にそうなのだろうか?と、進学率がさほど高くない地域出身者としては感じるところだ。
と言っても、私が進学したのは20年以上も前。
この調査の対象以前の話なので、当時よりも地方と都市部との格差は開いている、と考えた方が自然かも知れない。

「経済的格差」という影響は大きいと思うのだが、それ以前に地方の考え方や地方での就職などを十分考える必要があると思う。
例えば、地方公務員の試験だが都市部では大卒、短大・専門学校卒、高卒と受験資格が分かれているはずだが、私の地元の市役所の採用試験では、大卒も高卒も一緒だった。
同じ試験問題を、一緒に同じ受験会場で受けるのだ。
一見、大卒有利かと思われるかも知れないが、案外高卒のほうが有利だったりする。
数年前、実家の近所に住む大卒→市役所職員になった男性に聞いたが、「同じですよ」という話だったので、今でもさほど変わってはいないと思う。
その様な試験であれば「何も無理をして大学へ進学させる必要はない」と考える親がいても、当然だろう。

もう一つは、私自身が経験をした「就職先がない」ということだ。
都市部の大学を卒業してUターン就職をしようとしても、採用を予定している企業そのものがほとんど無い、と言うのが現状だ。
高卒であれば、地元の比較的優良企業と呼ばれる企業への就職があるのに、大卒、短大・専門学校卒となると、ほとんど無くなってしまうのだ。
大卒、短大・専門学校卒として就職をしても、給与面などではほとんど変わらず。
そう考えれば、経済的負担部分と合わせて考えても、進学に二の足を踏むことになる、と言う現実があると思う。

地方と都市部の進学率の格差を埋めようとするなら、大学の一極集中という問題だけではなく、地方における様々な「進学ハンディ」の様な問題も解決する必要があるのでは?
また、産業構造という視点で考えても、一次産業が中心となる地方では「大学進学」の意味そのものを感じていないかも知れない。
何故なら、一次産業は頭で考えたことよりも経験のほうが大事だからだ。
その経験さえも、当てにならないことも多い。

確かに、少子化の影響で「大学全入時代」と言われているが、数字上は「全入時代」かも知れないが、進学をするメリットを感じられない地方の実情があるのではないだろうか?
最低賃金が低い地域は確かに大学進学率も高くはない。
だからと言って、一言で「経済格差」や「地元に大学がない(または、少ない)」というのが、理由だけではないと思う。