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「なでしこ」の敗退が教えてくれること

2016-03-08 20:27:46 | 徒然

サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」が、リオデジャネイロオリンピックの出場権を逃した。
逃しただけではなく、現在の順位は6チーム中5位と低迷をしている。
リオオリンピック出場をかけた予選が始まる前は、このような結果は誰もが予想をしていなかったと思う。
確かに、「なでしこジャパン」の中心であった澤穂希さんの引退などがあったが、FIFAランキングでもアジアトップだったこともあり、出場そのものが確実視されていたような気がする。

ところが、予選が始まってみるとこれまでのような「なでしこ」らしさが感じられず、ズルズルと後退。
今日になって、チーム内が一つになっていなかったとか、選手と監督の間で意思の疎通が図られていなかった、などの内容の記事がスポーツ紙に掲載されている。

おそらく、チーム内の不協和音のようなモノは、予選が始まる前から始まっていたのでは?
しかし、それが表に出てこなかったのは、やはり澤さんの存在が大きかったのかもしれない。
「チームのまとめ役」と一言では言えないような、存在だったのではないだろうか。
その澤さんがチームから去り、「なでしこ」そのものが、新しい世代へと変わっていかなくてはならない時期が、この予選と重なってしまったような気がする。

誰が悪いわけではないと思う。
チームスポーツであれば、いずれどこかで「世代交代」が行われなくては、チームそのものが継続していくことは難しい。
佐々木監督のように長い間一つのチームを率い、それなりの実績を持っている人材であったとしても、「世代交代」をするためには、難し部分があるのは仕方ないように思う。
というのは、新しい世代の選手たちからすれば「自分たち(の感覚や考え)と違う」という、違和感を持つのは当然だろうし、それなりの実績を持っている中心選手や監督からすれば「自分たちのやり方に対する理解ができない(あるいは、理解が違う)」と感じていただろう。
それが、言葉や態度の端々に出てくるようになると、チームとしてのまとまりは難しいモノになってしまう。

何もこのようなことは、「なでしこジャパン」だけに限ったことではないはずだ。
いわゆる「経営のプロ」と言われる人物が、いきなり社長として迎えられた場合、「(生え抜きではない)外様」とどう付き合っていくのか?と疑心暗鬼と腹の探り合いなどがあるのは、当たり前のことだろう。
その結果として、経営そのものの立て直しができず「経営のプロ」と期待されながら、会社を去る社長は案外多い。
それは「外様だから」という、理由だけではないと思う。

チームには、それぞれの「文化」のようなモノを持っている。
そこに「異質」のモノが加わるコトで起きる「文化の化学反応」が、プラスになるのかマイナスになるのか?ということなのではないだろうか。
互いに柔軟に相手を受け入れるような「コミュニケーション力」が、重要なのだと思う。
それは「組織」としてもだが、むしろ「個人」に求められることのような気がする。

今回の「なでしこジャパン」には、そのような力がまだまだ備わっていなかった、ということだと思う。
「なでしこジャパン」は、失敗を経験に強く立ち上がってほしいと思う。
ただ企業の場合、「失敗をしたから・・・」と言って、リセットできるほどの余裕はない。
4月になれば、「新入社員」という「異質文化」が、加わる。
「異質文化」を「従来の文化」に染め上げるのではなく、「文化の化学変化」を起こさせるようなチーム作りが求められる。