日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

経営側と生活者の意識の違い

2016-03-28 19:16:50 | ビジネス

Yahoo!のトピックスに、「クリスピー・クリーム・ドーナッツが相次いで閉店する理由」について、取り上げている。
元の記事は、The PAGEに掲載されたものだ。
Yahoo!:クリスピー・クリーム・ドーナッツ 相次ぐ閉店理由は?

実は、クリスピー・クリーム・ドーナッツそのものを、食べたことがない。
その理由は、ミスタードーナッツよりも高いということ。
もう一つの理由は、確かに見るからに「フワフワ」のドーナッツはおいしそうなのだが、ミスタードーナッツの定番である「オールドファッション」のようなタイプのほうが好きだからだ。
これは、あくまでも私個人の嗜好の問題なので、世間的な評価ではない。
ただ、セブンイレブンが火付け役となった「コンビニドーナッツ」の主流が、この「オールドファッションタイプ」ということを考えると、案外、私のような嗜好の方が多いのでは?という、気がしている。

個人的なことはさておき、この記事を読んでみると今回の閉店は「意思のある撤退」ということのようだ。
「これまでのドーナッツよりも、より美味しいドーナッツを作れる体制づくりのため」の撤退、という趣旨のようだ。
確かに、事業を始めてある程度の期間が経つと、売り上げなどが下がる時期がある。
この時期を「軌道修正の時期」と判断し、一時期的に「撤退」するという方法は、経営者として十分あり得る判断だと思うし、それができなければ逆に経営者としての資質に問題がある、ということになるかもしれない。

しかし、下にある「読者コメント」を読むと、実に辛辣なコメントが並んでいる。
特に目立つのが、「甘すぎる」という点と「商品に対して高いと感じている」という内容だ。
「甘すぎる」と評される理由を考えると、もしかしたら今の日本人の「味覚志向」に合っていないのでは?と、感じるのだ。
というのも、今発売されている飲料水をヨーグルトなどが「微糖」と表示される商品が、目立つようになってきたからだ。
かつてのように「甘い=食べやすさ・飲みやすさ」から「甘い=太る・メタボ」というイメージに変わってきているような気がするのだ。
単に「甘い=太る・メタボ」という分けではないが、「ダイエット」を謳う商品には決まって「甘さ控えめ」とか「微糖」という言葉が使われるようになり、それらの「甘さ」が、「甘さの基準」となってきているようなところはないだろうか?
確かに「本場の味」を再現することは、大切なことかもしれない。
しかし、食品の場合「味覚」は商品を購入するときの重要な部分だ。
「本場の味」を追及するあまり、生活者からそっぽを向かれるのは本末転倒だろう。

そうして「価格」という点でも、ミスタードーナッツという、すでに「国民的ドーナッツ店」があるコトを考えれば、生活者はどうしてもミスタードーナッツと比較をして購入することになる。
事実、コンビニドーナッツは、ミスタードーナッツよりもやや安い価格設定になっている。
言い換えれば「ミスタードーナッツよりも高くても、買ってもらえるドーナッツなのか?」という点だ。

ただ、記事を読む限りでは、そのような「味や食感、価格」などの見直しのための一時期的撤退とは、読めない。
商品を提供する側とその商品を購入する生活者とのギャップの大きさこそ、本当は「テコ入れをする」部分だと思うのだ。