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60歳、ファッションモデルが描き出すもの

2016-03-30 21:25:03 | アラカルト

昨年秋、話題になった一人のファッションモデルがいる。
フランス人モデルで、現在はニューヨークで活躍をしているヤスミーナ・ロッシさんだ。
そのロッシさんが、今度は水着のモデルになった!と話題になっている。
HUFFPOST:水着になった60歳モデルは、本当のセクシーを教えてくれる

この写真を見て、身近な60歳女性と比較してしまう方もいらっしゃるだろう。
何より「ファッションモデルをしている女性と一般女性を一緒にすべきではない!」と、思われる方も多いだろう。
私自身、一般女性とロッシさんのような女性と、一緒にすべきではない!と思っている。
ロッシさんが、60歳という年齢ながら(と言っては失礼だが)いわゆる中年太りとは無縁のプロポーションを保つことができるのは、やはりモデルという職業を持っているからだろうし、彼女自身がプロ意識が高いからこそ維持できているのだと思う。

ただ、彼女のような「還暦」になるような女性たちが、今注目されているという点を考える必要があると思う。
彼女が注目されるようになった頃から、書店ではある写真集が話題になっていた。
60歳以上の女性ばかりを街中で撮影した、写真集だ。

主婦の友の社:OVER 60 Street Snap

タイトルにある通り街中で撮られたスナップ写真なのだが、掲載されている女性たちは世間一般に思われるような「60歳のおばあちゃん」という雰囲気は微塵もない。
お化粧もバッチリしていれば、着こなす洋服も三宅一生だったりする。
大振りのアクセサリーやハイヒールも、体の一部のような感じだ。
何より「若作りではない、ファッションの楽しみ方を知っている」という、印象がある。
そして高齢女性が、堂々と写真集に登場するという時代になった、ということだと思う。
言い換えれば、「世間の何とかよりも、私らしさを大切にしたい」という、生活意識の変化だともいえるかもしれない。

このような意識変化に、どれだけ日本の企業はついてきているのだろう?
日本の企業の場合、若い世代に注目しがちなところがある。
少子化社会以前であれば、若い世代をつかむことは、市場を拡大するうえで重要だった。
しかし、少子化社会の今の日本では若い世代よりも、高齢者を市場の中心に考えることが重要になりつつあるのでは?
もちろん、ロッシさんや写真集に登場するような女性ばかりが、「素敵な高齢女性」というアイコンになる必要はない。
ただ、年齢を重ねるごとに若さとは違う魅力にもっと目を向けることで、新たな社会的価値観が生まれてくるのでは?という、問いかけをしているような気がするのだ。