日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

再開発で変わったのは、街並みだけではない

2016-03-18 15:42:37 | マーケティング

ここ10年近く、名古屋で一番大きく変わった地域と言えば「名古屋駅周辺」だろう。
JR名古屋駅の「セントラルタワーズ」に始まり、毎日ビルとトヨタビルが一つになり「ミッドランドスクエア」が誕生。
今年に入り「JPタワー」と「大名古屋ビルヂング」が、新しくオープンした。
名古屋駅周辺の大型再開発は、これらのオープンで一旦落ち着く。
これらのビルの多くは、オフィスフロア―があり、当然のことながら名古屋の繁華街「栄」から、名駅周辺へと事務所を移転させた企業も多いはずだ。

そのようなこともあり、20年ほど前の名古屋駅周辺とはその賑わいそのものが、大きく変わり始めている。
かつての名古屋駅周辺というのは、地下鉄からJR、名鉄、近鉄などへの乗り換えのために、「通過する」地域だった。
人通りそのものは多いモノの、そこで買い物をしたり食事を楽しんだり・・・という、雰囲気が感じられない場所だったような気がする。
そのために、これらのビルを結ぶ地下街のお店も、決して洗練された雰囲気ではなかった。
「買い物、食事」と言えば、やはり名古屋一の繁華街である「栄」には、及ばなかった。

それが、先日名古屋駅の地下街を歩いていて、随分お店の雰囲気が変わったな~と感じた。
「お店の雰囲気が変わった」だけではない。
置かれている商品も、比較的若い人向けのものから、ミドル世代のものまで、実に幅広い。
何より、おしゃれな感覚の商品が、目につくようになった。

当然、商品を手に取るお客様も、以前に比べ若返っている。
上述した通り、新しくできたビルにはオフィスフロア―やオフィス棟などがあるため、名古屋駅周辺で働く人たち全体が、若返っている感じがするのだ。
若返っているだけではなく、「通過する」地域だった場所が「買い物や食事を楽しむための場所」に変わり、変わったコトで、それまで名古屋駅周辺に集まらなかった人たちを呼び込んでいる。

その影響が、栄にも表れているような気がする。
全体的な印象として、街が寂しくなってような気がするのだ。
それまで大通りに面していた、丸善や明治屋といったお店が無くなったり、「クラッシックビルディング」と呼ばれそうな建物が次々と取り壊され、コインパーキングになってしまっている、ということも影響しているだろう。
街全体の活気が、以前ほど感じられなくなっているような、気がするときさえある。

地域の再開発というのは、建物を立て直すだけでは意味がない。
むしろ「建物を立て直す」のではなく、新しい生活者を呼び寄せ、街の雰囲気を変えていくことのほうが、大切なことだということを、名古屋駅周辺を歩いてみて感じたのだった。