日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

東芝(メディカル)のお相手は、キャノン

2016-03-09 19:45:04 | ビジネス

東芝の「不適切会計」問題で明らかになった、経営悪化の実態。
東芝自身、これまでも様々な事業分野を売却してきたが、今日完全子会社である東芝メディカルの売却優先交渉権が、キャノンに決まった。
おそらく一番欲しかったのは、富士フィルムだったのでは?と思うのだが、富士フィルムの場合すでに医療画像・映像分野では、実績もあり市場の独占ということを懸念された結果だと思う。

余り知られていないかもしれないが、東芝メディカルはCTなどに関しては、日本でもトップだと思う。
現在定期的に検査で通う病院でも、CTなどの「放射線検査機」などを増築した際、東芝メディカルの最新機が導入されていた。
何故そのようなことを知っているのか?というと、今の医療施設では様々な情報開示のため施設で導入している検査機器、特にCTやマンモグラフィなどに関しては、どのような機器なのか?という掲示がされている。
そのため、一般患者自身が「どのような機器で検査を受けるのか」知るコトになるようになっている。

世界で一番多く、CTが設置されている国はどこかご存じだろうか?
実は、日本だと言われている。
随分前に放射線科の先生から聞いた話なのだが、日本のCT市場というのは実は幅広い。
一般的にCT=大総合病院とか大学病院くらいにしかない、と思われているかもしれないのだが、今ではペット病院などでも設置している所は、珍しくないという。
むしろペット病院などは、健康保険が使えるわけではないので、積極的に導入しているという話だった。
もちろん、ペットの長寿化によりこれまで考えられなかったような病気、例えばペットの癌なども多くみられるようになった、という事情もあるようだが、いずれにしてもCTの市場というのは、決して小さな市場ではない、と考えたほうが良いだろう。

では、なぜ富士フィルムではなくキャノンだったのか?というと、上述した通りキャノンはこのような医療分野の画像・映像事業が、富士フィルムよりも弱いからだろう。
富士フィルム側としては、画像・映像技術だけではなく、マンモグラフィなどの機器を作っているのだが、同じ「放射線」を使うCTに関しては、作ってはいなかったと思う。
もし、富士フィルムがCTの分野も取ってしまうと、日本の「放射線を使った医療検査機器製造」をほぼ独占してしまう可能性があったからだろう。
市場が独占化されることで起きる様々な弊害だけではなく、技術的発展という視点でも懸念された結果だったのでは?と、考えている。

いずれにしても、日本国内に東芝メディカルの技術が残ったことは、良かったのではないだろうか?
というのも、日本の「放射線を使った医療検査機器」の技術は、とても高い。
高いだけではなく、CTで撮影された画像を、医療者が診る・診断するという部分でのコニカなどの画像化・映像化するメーカーとの連携・技術発展もしやすいのでは、と考えるからだ。

東芝本体は、まだまだ苦難の道が続くと思われる。
特に東芝メディカルが得意としていた「放射線」に関連した、もう一つの分野「原子力発電」が大きくのしかかってくるような気がしている。