日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「事業の目的とは何か?」を考えることは、企業だけの問題ではない

2016-09-30 20:28:10 | ビジネス

Yahoo!のニュース動画で、なかなかの発言だな~と思うモノがあった。
TBSニュース:小泉進次郎氏「それ違う!」JA全農幹部を厳しく批判
このニュース、なぜか一般紙で取り上げているのだろうか?という、気がしたニュースでもあった。
このニュースの前に、スポーツ紙のWEBサイトでこの記事を読んだからだ。
日刊スポーツ:小泉進次郎氏、全農幹部の発言に「誤っている」と喝
一般紙で取り上げてもよさそうな内容だと思うのだが、WEBサイトでのチェックでは見つけることができなかった。

この記事で、小泉進次郎氏は「農協は、誰のためにあるのか?」という、問題を提議している。
農家からの手数料収入は、農協にとって大きな収入源ではあるが、その「手数料が、職員の給与になっている」という、話はどこかズレている。
「職員の給与」という部分だけについて考えるなら、確かに「(農家からの)手数料」は、農協にとって大きな収入源であり、その収入源から職員の給与などが支払われるのだから、一見正しいように思える。

問題なのは、「農協」という事業者の「事業目的とは何か?」という点を小泉氏は、指摘しているのだ。
本来であれば、農協が農家に対して様々な「農業経営」という提案がされ、それによって農家の収入が増え、手数料が増える・・・というサイクルが、一番良いはずだ。
ところが、農協幹部から出た言葉は「手数料を下げたくない」という、内容だった。
それも「職員の給与が減る」という理由だ。
そこには「手数料を増やすために、農家に対してどのようなコトをする必要があるのか?」という、目的意識も問題意識も無い(と、感じられる)言葉だった。

企業ではよく「事業の目的」ということが言われる。
「事業の目的」の中には、「利益を上げる」ということも含まれるが、他にも「社会に貢献する」とか「生活を豊かにする」という内容も含まれているはずだ。
むしろ「利益を上げる」ということだけを「事業の目的」としている企業は、「ブラック企業」と呼ばれる企業だと考えたほうがよいだろう。
それほど、社会の目は企業に対して厳しい見方をしている。
理由は、公的組織ではないからだ。

ところが、農協のような公的要素の高い組織になると、この「事業の目的」があやふやになってしまう傾向がある。
本来であれば、社会性を持った組織であれば「事業の目的」が、組織全体で認識され、活動をしていかなくてはならないはずだ。
にも拘わらず、そのような認識がされず、活動できない理由は「誰によって、その組織が維持できているのか?」という、トップから現場に至るまで共通認識されていないからだろう。

「農家の収入を増やすため」という考えで、様々な提案をしている農協職員もいるだろう。
しかし、幹部クラスがそのような意識が持てないコトが問題であるということを、このニュースは教えてくれているような気がする。