日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「築地」という、ブランド力を考える

2016-09-13 19:55:31 | マーケティング

「豊洲市場」についての様々な問題が、日々判明している。
やはり一番の問題は「盛土がされているはずが、されずに空洞であった」という点だろう。
基礎工事そのものの「手抜き」と、思われても仕方ない。

この問題が表面化して思ったコトなのだが、「築地」という場所は「市場」だけの問題だったのか?という点だ。
確かに、「築地市場の移転」という問題なのだが、既に多くの人が持っている「築地」という場所のイメージ=ブランド力は、どうなってしまうのか?という視点が、語られていないような気がする。

例えば、有名料理店に「築地(あるいは、ひらがな表記の「つきじ・つきぢ」)」という地名を使った店名は、いくつもある。
特に「寿司店」などでは、「築地」という地名はお店の名前と一緒になっている場合が多い。
理由は「築地市場」の中心的な取引が、鮮魚ということや何かと取り上げられる話題も、鮮魚が多いからだろう。
「築地」という地名を使ったお店側としては、店名の一つに「築地」が含まれているだけの事なので、豊洲に移転したからと言ってさほど影響されることは少ないだろう。

問題なのは、むしろ「豊洲」に移転した「豊洲市場」という新しい場所だ。
これまで「築地」という場所にあったことで、「市場」そのものが特別な意味を持つ場所となっていたのでは?
それは時代劇でもおなじみの「生きの良さ」であったり、「市場の活気」などが含まれているように思うのだ。
店名に「築地」とつける飲食店が少なくないのも、「築地」という場所が持つ「社会的イメージ」によるところが大きいからだろう。

そのような「社会的イメージ」を引き継ぐというのは、とても大変なコトなのだ。
何といっても「築地」というイメージは、50年、60年で創られてきたモノではない。
そもそも「東京」には、「築地」同様「場所」そのものに「ブランド力」があるところが多い。
「銀座」だけではなく「原宿」や「新宿」、「青山」など、その地名を聞くと、街の雰囲気がイメージされるような場所があり、それらが「東京」という都市の魅力となっているはずなのだ。

そのように考えると「豊洲市場」は、「築地」という場所が創り上げてきた「社会的イメージ」を引き継ぐだけではなく、そこに「豊洲」というブランドを創っていく必要があるはずなのだ。
「豊洲」への移転は、単純な「場所が手狭だから移転する」という、物理的なモノだけではないはずなのだ。

昨日「(都市の)老朽化は、都市計画のチャンス」という、エントリをした。
その都市計画を立てる場合、忘れてはいけないのが「場所の(持つ)ブランド力」なのだ。
その視点で考えると、「豊洲」という場所は「市場」として、ネガティブなイメージが最初から付きまとう。
これから、一体どう解決していくのだろう?