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NHKのワンセグ受信料を考える

2016-09-07 19:44:36 | アラカルト

先月、埼玉地裁で「ワンセグ携帯でのNHK受信料の支払い義務はない」という、判決が出された。
それを受け、さっそくNHKをはじめ放送を管轄する総務省の高市大臣が、「支払い義務はある」との見解を示した。
この一連のニュースを見ていて思い出したコトがある。
それは、テレビ放送が「地デジ化」されてしばらくたったころ、NHKが受信料徴収に我が家に来たときのコトだ。

その当時、すでに我が家のブラウン管テレビは故障し、視聴できる状態ではなかった。
当然、テレビ受像機はあるが、放送を受信できるという状態ではない。
そのため「『地デジ化』に伴い、テレビを無くしてしまったのですが」と、答えた。
その方は「そうですか・・・。では、携帯電話のワンセグでの視聴はありませんか?」と、聞いてきたのだ。
「ガラケーで、ワンセグ機能のない機種を利用しているので、視聴そのものができません」と話すと、
「では、携帯を見せてくれませんか?」と、言ってきたのだ。
そこまで確認をするのか?と、やや怒りのようなモノを感じながらも、携帯電話を見せワンセグ機能が無いコトを確認し、「本当だったのですね?!」と、驚くような表情で帰っていった。

そのような経験があったので、今回の「ワンセグ受信料」については、驚くようなコトではなかった。
ただ、「ワンセグ」という技術と「テレビ視聴」をいきなり結びつけて、考えるNHKに怒りというよりも、あきれるような思いがした。

というのも上述した通り、携帯電話機能に「ワンセグがあるのが当たり前」という発想で、受信料を徴収しようということが、そもそもおかしな話だからだ。
私のような「電話+メール」くらいしか携帯電話を利用しないユーザーは、限りなく少なくてもいるはずだ。
何より、携帯電話各社が出している「シンプル携帯」と呼ばれる携帯電話には、そのような機能が搭載されていない。

では、多くの人が持つようになっている「スマホ」では、どうなのだろうか?
元々NHKの受信料の基準となる考えは「テレビ放送受像機を設置」に対して、受信契約を結び受信料を徴収する、というモノのはずだ。
携帯電話やスマホの基本的機能と利用目的の中には、「テレビ放送受像」は含まれている分けではない。

やはり「スマホ」の一部の機能であって、利用している人もいれば全く利用していない人もいるはずだ。
機能がついているからと言って、すべての利用者が「ワンセグ視聴をしている」とは限らないのだ。
とすればこれから先「スマホ」の機能として、「ワンセグ」を外す機種が登場してきてもおかしくはない。
もしかしたら、「ワンセグ機能付き・無し」と、選べるようにするかもしれない。
そもそも、買い替えや機種変更が度々ある携帯やスマホに、そのような固定的な受信料を徴収する、ということ自体無理な話だと思う。
とすれば、「オンデマンド」のように登録をし、視聴状況に合わせて課金をする、というシステムのほうがユーザーの納得が得られるのではないだろうか?

そう考えると、NHKの主張はやや的外れな気がするし、何よりNHK+民放という時代ではなくなってきている、という点を考える必要があると思う。
「テレビ離れ」と言われている中、WOWOWやAmazonなどはオリジナルドラマを制作したり、海外ドラマを買い付け放送しているし、そのようなサービスが増えてきている。
不特定多数の視聴者の獲得はできなくても、固定的な有料視聴者を獲得するという方法をとり、それなりの人気を得ている。
NHK自身も、生活者の生活志向の変化に合わせた、番組制作や受信料の在り方を考える時代が来ているのでは。