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「建物の)老朽化」という問題は、都市計画を考える機会

2016-09-12 19:30:51 | アラカルト

世間では「豊洲市場」の問題が、取りざたされている。
元々東京ガスがあった場所で、ベンゼンなどの発がん性物質を含んだ土壌の問題があった。
そのため、土壌を入れ替え新しく盛土をし、そのうえにコンクリートで固める・・・という計画だったらしいのだが、その計画通りではなかったということが発覚した。
それが移転予定直前に、問題が発覚したため大事になっている。
もちろん、移転前に判ったコトは良かったと思うのだが、それにしても膨大な建設費とか移設費用を考えると、関係者でなくても「一体何をやっていたのか!?」と、腹立たしい気持ちになるだろう。

ご存じの通り「豊洲市場」は、今現在使っている「築地」が手狭になったというだけではなく、老朽化が激しいための建て替え用地として、造られた場所だった。
そして「築地」だけではなく、日本全国には「老朽化」で建て直しを迫られている建築物が、沢山あるのでは?という気がしている。
その「老朽化」した建物の怖さを実感させる記事が、今日の中日新聞のWEBサイトにあった。
中日新聞:栄のビルから鉄パイプ落下 車のガラス突き破る
鉄パイプが直撃した、車には人が乗っておらず車の持ち主は「九死に一生を得た」ような状況だったようだが、もし万が一の場合を考えると、「身近にある危険」だと実感する。
なぜなら、鉄パイプが落下した原因が、「建物の老朽化」だと考えられるからだ。

戦後、高度成長期~バブル期までの30年余り、日本の多くの都市は「都市計画」という考えがなされないまま、様々な建物が建てられてきた。
今回問題になっている「豊洲市場」の移転を決めた石原元東京都知事は、都知事時代に「都市計画がキチンとされないまま様々な建物や高速道路のある東京を、何とかしたい」と、あるテレビ番組のインタビューで答えていた。その切っ掛けづくりとして「東京オリンピックを位置づけている」とも、話していた(「国のお金を使って東京の都市計画をする」という趣旨の内容だったので、ビックリしすぎて印象に残ったのだった)。
高度成長期から20年くらいは、「都市計画」などはあって無いようなものだった。
なぜなら、建物を建てるのは企業側であり、役所はそれを認めるだけだったからだ。
そして多くの都市は、経済発展ができる「都市づくり」として、「ミニ東京」を目指してきた。

そう考えると、名古屋の繁華街・栄の老朽化したビルで起きた「鉄パイプ落下事故」は、起こるべくして起きたコトのような気がする。
ただ、このような事故を切っ掛けに「これからの街づくり」というモノを、ビル所有者だけではなく地域全体や自治体が一緒になって考え「都市計画」をつくるチャンスなのではないだろうか。