日々是マーケティング

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大塚家具のリユース事業がもたらす変化

2016-09-09 22:10:57 | ビジネス

昨日、朝日新聞に大きなPR広告が掲載されていた。
朝日新聞:人から人へ使い継ぐ循環 大塚家具×リバースプロジェクト

広告主は、大塚家具。
この広告に合わせ、大塚家具は「家具のリユース事業」を本格化させる、と発表をしている。

この広告を見ながら気になったことがある。
それは「今日本で売られている家具のうち、どれほどリユースできる家具があるのだろうか?」という点だ。

婚礼家具として有名(?)な「桐箪笥」。
「親子三代使える」と言われるほどだが、ご存じの方も多いと思うのだが「桐箪笥」というのは、とても高価な箪笥だ。
名古屋のように、婚礼が派手な地域で売られている「桐箪笥」などは、百万するモノも少なくない。
そのような箪笥なので、家具屋街のはずれには「箪笥修理」をするお店があったりする。
と言っても今や「箪笥修理」をするお店などは、ほとんど見かけないのが現状だろう。
それほど、箪笥などの「家具を修理をして使う」ということが、無くなってきているのだ。
もちろん、箪笥という家具の需要が減ってきた理由の一つが、マンション等では一般的になってきた備え付けの「クローゼット」の一般化だ。
大きな場所をとる箪笥ではなく、備え付けのクローゼットのほうが室内スペースが広く使え、部屋もスッキリとしてインテリアコーディネートもしやすいからだろう。

それだけではなく、今の家具は昔ほど高価なモノではなくなってきているのでは?という、気がしている。
輸入材を中心に合板などで作られた家具などが、通販を中心に販売されているし、そのような家具を購入する人は少なくないからだ。
それだけではなく、街中に「家具店」そのものが激減しているように感じるのだ。
その理由の一つは、家具店そのものが商品展示のために大きな店構えが必要だ、ということがあると思う。
広い売り場面積に、様々な家具を展示する必要がある家具店だが、その売り場にどれだけのお客様を集客できているのか?と考えると、決して「効率の良い」商売とは言えないような気がするのだ。

そう考えると、「リユースできる家具」というのは、「限られた家具」ということになる。
著名な家具デザイナーの家具やアンティーク家具、箪笥にしても「伝統工芸品」に近いような和箪笥だ。

確かに、著名な家具デザイナーやアンティーク家具、伝統工芸品のような和家具が、リユースされ安価で買うことができるようになるのは、素敵なコトだと思う。
思うのだが、それが「今の日本人の暮らし」に、どれだけマッチするのだろう?

大塚家具の狙いとして、高級家具のリユースを通して「家具づくりの技能」を継承する、という目的もあるのかもしれない。
ただそれに応えるだけの市場が、今の日本にどれだけあるのか?

そのことを考えると、果敢なチャレンジでもあり、冒険的な事業という気がする。