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「老後資金問題」は、生き方の問題かもしれない

2019-06-18 20:29:31 | ライフスタイル

「老後資金、2000万円」という言葉が、独り歩きをし国会の焦点となっている(ように感じている)。
この「老後資金、2000万円」という言葉は、金融庁からの報告書で明らかになったものだが、その後金融大臣の麻生さんが「報告書は受け取らない」などの発言があり、報告書そのものが迷走している感がある。
ダイヤモンドon-line: 「老後2000万円」金融庁報告書の正しい読み方

既に作成された「報告書」を受け取る・受け取らないで、この「老後資金2000万円」という問題が片付くわけではないのだが、どうやら麻生さん(というか、自民党?)は、幕引きをしたいのでは?という気がしてくる。

私自身、金融庁の報告書をシッカリ読んでいないので、その内容については云々できる立場ではない、と思っている。
金融庁の回し者ではないが、この「老後資金、2000万円」というのは、老後だけではなく私たちの生活スタイルや生き方などを考えてみる、良い機会なのでは?という気もしている。

まず、日本人の平均寿命と平均健康年齢には、約10歳違う。
平均的健康年齢は70代なのに、日本人の平均寿命は80歳を超えている。
「人生100歳時代」と言われていても、「健康人生100歳時代」ではないのだ。
とすれば、この10年の間というのは、介護を必要としている年数である、とも考えられる。
この10年間にかかる「介護医療」は、一体誰が負担するのだろう?という問題も見えてくる。

もう一つは、現役時代から引退後まで「どのような暮らしをしたいのか?」という点だ。
高齢になっても、40代・50代の頃のような生活を引退後も続ける、というのであれば「現役世代以上の生活費や医療費が必要」となる。
引退後も現役世代並みの収入のある人は、そのような生活を引き続きすればよいが、おそらく多くの人は現役世代よりも収入そのものは、減るはずだ。
とすれば、収入にあった生活をしなくてはならなくなる。

ネット配信で海外の料理番組を見ていて気が付くのは、家庭菜園などを楽しむ人たちがとても多いということだ。
野菜などはスーパーで買うのではなく、自分たちが家庭菜園で育てた野菜で食卓を彩る、というのが当たり前のように紹介されている。
GAYO!:Dlife 「ナイジェルのシンプルレシピ」

このような番組を見ながら、「お金をかけずに暮らしを楽しむ」という方法を見つける、ということが必要な時代になってきている、ということのようにも思えるのだ。
そのためには、都市部にありがちな「隣人が誰なのかも分からない」という暮らしではなく、地域全体で暮らしを支えるような意識や知恵のようなものが重要になってくるだろう。
プライバシーばかりが強調されるのではない、昔ながらの「向こう三軒両隣」のような、近隣との付き合いの中で「生活コストを下げる」というアイディアも必要になってくるのでは?

そして何より「自分に合った死生観を持つ」ということが、重要になってくるのではないだろうか?
「まだまだ元気なのに、死ぬことを考えるなんて!」と思われるかもしれないし、「今はやりの終活のことか?」と思われるかもしれない。
むしろ「終活」ではなく、「死から逆算した、自分らしい生き方」を模索する、という考えだ。

「人はいつか死ぬ」だからこそ、生活コストや医療コストを含めた「自分らしい生き方」というものを、考えろ!と、「老後資金2000万円」という報告書は言っているようにも思えるのだ。

デモに参加している若年層や「就職超氷河期」世代である40代に対しては、「年金」以外の諸問題を解決する為の政策が必要である、というのは言うまでもないことなのだが・・・。