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問題の本質と解決策-アフターピルオンライン検診-

2019-06-10 22:55:02 | 徒然

「いやはや、議論の中心はそこじゃないでしょ!」と、思うような記事がHuffpostにあった。
Huffpost:「若い女性は知識が無い」「若い女性が悪用するかも」。アフターピルオンライン診療検討会で出た意見

アフターピルというのは、性的行為をした後に飲む緊急避妊薬のことだ。
レイプや望まない性的行為により、妊娠をするリスクを下げる、という目的の為に使われる避妊薬だ。

今回の「アフターピル」の会議に参加されている方々を見ると、議論の中心となっているのは中年の男性ばかりだ。
この方々の言われる「若い女性」というのは、おそらく20代の女性たちのことだろう。
しかし「アフターピル」を必要としているのは、20代の女性ばかりではない。
10代~30代、40代の女性が、必要としている医薬品なのだ。

にもかかわらず「若い女性」と言ってしまうのは、何故だろう?
それだけではなく一番の問題点は「アフターピル」がなぜ必要になってしまうのか?ということを議論の中で取り上げていない、という点だ。
そもそも「妊娠」ということになると、男性のほとんどは「自分とは関係の無いこと」と思うようだが、「妊娠」の前には「性的行為」がある。
全ては一つの行為から始まり、出産・子育てにまで繋がっていくことなのに、その理解が十分でない為に起こる悲劇を減らす為の「アフターピル」という議論が必要なはずなのだ。

日本の性教育そのものが、1970年代の頃(米国で盛んに「フリーセックス」という言葉が使われていた時代)よりも後退しているのでは?という気がしている。
というのも同じHuffpostに昨年秋、AVが性教育の教科書代わりとなっている、という記事が掲載されていたからだ。
Huffpost:1日に450人が”中絶”。性教育が浸透せず「教科書化」されるAVに、出演者たちが物申す

中絶をする女性の人数の多さにも驚くのだが、その背景にあるのは「性」に対する知識や教育がされていないからではないだろうか?
そしてこの数字を見ると「アフターピル」を必要としている女性は数多く、男性側も「性」が「生」に結びつく行為である、という認識と知識が無いのでは?という気がする。

そして、問題の解決策となるキーワードが、議論の中に出ている。
それは「知識が無い」という言葉だ。
「知識が無い」のであれば、男女関係なく「知識を得る機会をつくる」ことで、問題の半分は解決するはずだ。
「アフターピル」の問題は決して女性だけの問題ではなく、男性にも関わってくる問題でもあるはずなのだ。

オンライン検診に関しては、「アフターピル」だけの問題ではないと思う。
確かに緊急性が高い「アフターピル」だが、これから先の高齢化社会と地方の過疎化などの社会変化を考えれば、医療の充実の為には検討をしていく必要のある新しい医療サービスだろう。
それを「アフターピル」という医薬品の処方としてだけにとらえるのは、「オンライン診療」のあるべき姿が見えていないようにも思えるのだ。