日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

天皇陛下が示した、新しい時代の価値観

2019-06-03 12:21:49 | ビジネス

天皇皇后陛下が、この週末愛知県を訪問された。
昭和の頃から続く「植樹祭」への臨席するためだ。
この「植樹祭」で天皇陛下が述べられたことばが、話題になっている。
讀賣新聞on-line:陛下「皆さんとご一緒に」・・・敬語で呼びかけ

歴代の天皇陛下の「お言葉」には、その時々の皇室と国民との関係を示している、ということは様々なところで言われてきたことだ。
昭和の時代は、戦前と戦後では大きく「お言葉」が違う。
戦前は「現人神」という立場での言葉遣いをされていたし、戦後は「象徴天皇」としての言葉遣いになる。
平成問う時代は、もう少し国民に親しみのある表現になったという印象はあるが、「お言葉」自体は天皇>国民というニュアンスがあった。
それが良い・悪いではない。
「象徴天皇」という立場は、とても不安定であり昭和という時代の「現人神」という存在と今という時代のはざまの中で選択をされた「お言葉」だったのだと思う。

お代が変り、戦後生まれで高度成長期などを経験し、様々な価値観の変化や社会の大きな変化を経験し、英国留学を経験もされている今上天皇は、歴代の天皇陛下とはまた違う価値観を育まれてきたのだと思う。
それが「お言葉」となって表現され、新しい時代の価値観を示しているように思うのだ。

陛下が示された「新しい時代の価値観」とは、「信頼と関係」ではないだろうか?
日本語で表現すると仰々しいのだが、「trust and relationship」という表現の方が、しっくりくるのかもしれない。
「陛下が国民を信頼し、国民もまた天皇皇后両陛下を信頼している、という関係」があるからこそ、互いに尊敬できる相手である、という意味で敬語を使われたのでは?と、感じたのだ。

そしてこの「信頼と関係」ということは、天皇皇后両陛下(と敬宮様)と国民との間だけではなく、企業と生活者、自治体と企業・生活者、生活者と生活者という、社会の様々な中で「信頼」が無くては、良い関係を結ぶことができない。
一方的に信頼を求めるのではなく、互いに相手を尊重し合える関係を結ぶことで信頼が生まれ、より良い関係性へと発展していくのだ。

しかし今の社会は、陛下が「お言葉」とされたような関係性を結べるような社会だろうか?
そのような疑問も呈したように感じた、天皇陛下の「お言葉」だったように思えるのだ。