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メルケル首相の言葉に、耳を傾けよう

2019-06-04 19:16:06 | ビジネス

Huffpostに「さすがだな!」と思わせる記事があった。
Huffpost:メルケル氏がハーバード大で名スピーチ「不変に見えることも、本当は変わりうる」トランプ氏に釘を刺す

米国の有名大学の卒業式では、様々な分野で活躍をされる著名人がスピーチを行うことが多い。
有名なところでは、スタンフォード大でのスティーブ・ジョブス氏の「馬鹿であれ、貪欲であれ」というスピーチだろう。
そして今回のメルケル氏のスピーチは、トランプ氏云々ではなく自分たち社会で起きていること、として捉える必要もあるのでは?
もちろん、スピーチの中にはトランプ氏が推し進めている「保護主義」的な政策に対する批判も含まれてはいるようだが、むしろこのスピーチの中心となっているのは、「不変に見えることも、本当は変わりうる」という点ではないだろうか?

メルケル氏も、ベルリンの壁が崩壊する1989年の春ごろまでは、まさか壁が崩れ東西ドイツが統合する、などとは思わなかっただろう。
「壁があるのが当たり前」だったからだ。
ところがその年の秋、東西に分けていた「壁」は崩れた。
一時期的経済や社会の混乱は合ったものの、「壁」が無くなっただけではなく、「東西冷戦」の緊張感も全く別のものになってしまった。
そのような経験をしてきたメルケル氏だからこそ、「変わらない」と思い込んでいたものも「変わることができる」という言葉に説得力が生まれる。

では、実際にビジネスの場面ではどのようなものなのか?と、言えば「ロングセラー」と呼ばれる商品が、この「不変に見えることも、変化している」代表だろう。
「ふりかけ」の代名詞(?)である、丸美屋の「のりたま」のパッケージには、同様の一文がある。
他にも老舗と呼ばれる企業(やお店)なども、伝統を受け継ぎながらも、新しいモノ・コトを取り入れている。
「目に見えるような変化」ではないが、実は「目に見えない変化」だからこそ、多くの人は「変化を感じることなく、それらの商品やサービスを受け入れることができる」のだ。

共通して言えることは、「変化を受け入れる度量がある」企業や商品である、ということだろう。
だからこそ、「変化」に対する耐性(というべきか?)があり、むしろ積極的に「変わろう」とする力が、あるのではないだろうか?
何故ならそれが「成長」へと繋がっていくからだ。

もう一つは「当たり前を疑う」ということだろう。
上述した通り、ベルリンに壁があった時には「壁」による東西分断は、永久に続くのでは?と思われていただろうし、「東西統合」などは夢物語だと思っていたと思う。
しかし、米国と旧ソ連との関係が変り始めたことを敏感に感じた市民の力によって、「崩れることの無い壁」はあっという間に崩れ去ってしまった。
「当たり前」だと思い込んでいることは、「当たり前ではないかもしれない」そのような疑問を持ち続けることもまた、成長へと繋がっていく、ということもメルケル氏はご自身の体験から話されたのではないだろうか?