日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「選ばれる」のではなく「選ぶ」時代

2019-06-06 22:00:29 | ライフスタイル

日経のコラムCOMEMOを読んでいたら、「適合不全社会」と言う言葉があった。
このコラムを書いていらしたのは、拙ブログでも何度か紹介をさせていただいている、大阪ガスのエネルギー文化研究所の池永さんだ。
COMEMO:あなたは選ばれるかー適合不全社会から峻別社会へ

コラムの内容については、リンク先を読んでいただきたいのだが「適合不全社会」と言う言葉を目にした時、なんとなく「人が社会や企業に合わせている」という印象を持った。
確かに戦後の高度成長期以来、多くの生活者は「社会変化に合わせた暮らし」をしてきたと思う。
特に高度成長期のように「企業が提供する商品やサービス」を、ありがたく受けていたという時代もあった(と感じている)。
結果日本の生活者の多くは、収入を得るために「企業に合わせた暮らし方」を、選択してきたように思うのだ。
それが悪いわけではない。
日本の企業の多くは「終身雇用」を保証し、60歳までほぼ無条件に働く(=収入を得ること)を保証してきた。

それが今年、日本のエクセレントカンパニーの雄ともいえる「トヨタ自動車」の豊田章夫社長が、「終身雇用の保証は今後難しい」という趣旨の話をした。
プレジデントオンライン:トヨタ社長の”終身雇用発言”で透けた本音
他にも、これまで「副業禁止」とされてきたサラリーパーソンの副業を、推奨する企業の動きもある。
バブル経済崩壊後、数多くの企業がリストラという名前の「人員整理」をしてきたが、トヨタ自動車のような企業が「終身雇用」について言及したということは、一つの企業に所属していれば将来安泰、という時代ではなくなった、ということだろう。

とすれば、これからの生活者に必要なことは「選ばれる」ことではなく、「選ぶ」ことなのではないだろうか?
「選ばれる」のではなく、「選ぶ」ことになれば、当然そこには「責任」というものが発生する。
「責任」を取るために、様々なリスクも考えなくてはならない。
何より、他人の評価ではなく自分で評価をし、失敗した時は謙虚にその失敗を受け入れ、責任を負わなくてはならない。
それらのリスクを理解し、承知した上で「選ぶ」ということは、これまでのような「選ばれる」ことよりも、ハードルは高く、大変だ。
ただそれをしなくては、池永さんが書いていらっしゃる「峻別」されていくことになる。

そのような社会の変化に企業はついていけるのか?生活者の意識はどのように変わるのか?
ここ2,3年の社会変化を、敏感にキャッチする必要があると思う。