日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

少子化と地方活性化を考える

2019-06-09 08:19:08 | ライフスタイル

昨日だったと思うのだが、日本の人口統計が発表された。
統計局HP:人口推計 平成30年12月確定、令和元年5月概算値
前年同期に比べると、全体では27万人の減少だが、唯一増えているのが65歳以上だ。
日本の高齢化社会が進んでいる、ということを実感させる統計だ。

この統計とは別に、女性が生涯で出産するお子さんの人数(=出生率)も発表され、1.42人だった。
このままでは、日本の人口が減り続けてしまう、ということが如実にわかるデータだ。
もっと驚いたのは、15歳以下の子どもの全国割合で「10人に1人が東京の子どもたち」というデータだった。
数字だけをと、とても驚くのだが「子どもも東京に集中する」という状況は、決して日本(の経済)にとって、プラスだとは思えない。
この問題に対して、日経スタイルのコラムで一つの対策案が、掲載されている。
日経スタイル:増えたのは東京だけ 14歳以下の子どもが一極集中

このコラムでも指摘されているのが、「女性の働く場所」だ。
ある程度の都市規模を持っているはずの名古屋でも、大卒の若い女性たちの流出が問題になってきている。
若い女性たちが行く先というのは、もちろん東京だ。
大学が名古屋であっても、東京へ転出する女性が多いのだ。
理由として挙げられるのが、「女性が働く場所が無い」というコラムでも指摘されている点だ。

「女性が働く場所」というと、何か特別な「場所」があるような印象があるが、そのような場所があるわけではない。
「性差なく働ける場所」の多くが、「本社」に集中しているため「本社」が集中している東京へと、若い女性が流出しているのでは?と、思っている。

コラムでは指摘をされていないが、「東京っ子」が10人に1人という数字には、「様々な選択肢を増やしたい」という親の考えも含まれているのではないだろうか?
「進学の選択肢」や「お稽古事の選択肢」などから「(整備された)遊びの選択肢」など、幼少期から様々な選択肢がある(であろう)東京は、保育園の待機児童の問題はあっても、問題以上の魅力があると感じる親もまた多いのでは?

そして高度成長期に東京に就職した祖父母世代が、そのまま東京に住み続ければ、当然親世代、孫世代は東京に住むことになる。
元々人口が集中している東京なのだから、少子化が進む他の中規模都市の子どもの数字よりも増えるのは、当然だろう。
「統計数字を読む」には、そのような社会的バックボーンを理解しておく必要もある。

以前から指摘されているが、このような状況が続けば日本の経済力そのものが弱体化していってしまう。
何故なら、東京は「(何かを)生産している都市ではない」からだ。
上述したように、東京に集中している企業の多くは「本社」であり、その「本社」が(グローバル化)により巨大化している。
男女の性差が関係の無い職種が多いのも、本社であることも多い。

とすれば、地方が活性化していくために「本社移転」ということを考える必要があるだろう。
平たく言えば「創業の地」に本社移転をする、ということだ。
今のようにインターネットが(ほぼ)どこでも使えるような環境になれば、今まで「本社でなくてはできない仕事」だと思い込んでいただけではないだろうか?
先日Tverでみた「ポツンと一軒家」では、東京と横浜に写真スタジオを展開している社長さんが、1人愛媛の山の中に移転し、インターネットを使い、東京や横浜の社員と会議をし、本社としての仕事をされていた。
もちろん、企業規模が小さいからできるスタイルだといえるのだが、そもそも高度成長期~バブル崩壊を経てを尚「本社」が巨大ビルの中にある必要があるのだろうか?という、疑問を持つ必要があるのでは?

これまで「地方活性化」というと、UターンやIターンなどで若者を対象に考え、地元の農業や六次産業などの就労を考えられてきたが、これからは企業のクリエイティブ部門丸ごと誘致する、というような発想が重要になっていくのではないだろうか?
また、これからのAI社会で活躍できる若者は、自然の中で十分遊ぶ経験をし、整備されていない環境の中で様々な経験をしてきた子供たちである、という指摘を考えると、地方活性化と少子化対策を一緒に十分考ることがポイントだと思う。