日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ファッションの変遷は、面白い

2019-06-05 21:59:53 | ライフスタイル

夕方のニュースを見て「だったら、男性も1日パンプスを履いて過ごしてみたら?」と、毒気つきそうになった(笑)。
中日新聞:パンプス着用、社会通念で 厚労相、容認とも取れる発言

男性から見たパンプス(というよりもハイヒールだろうか?)を履いた女性の足元が、綺麗に見えると思う。
実際、鏡の前でパンプスを履くとそれなりに足がきれいに見える(錯覚かも知れないが)。
その反面、デザインによりけりだが総じてパンプスを履いて、1日過ごすというのは、案外苦行だ。
女性の足のトラブル「外反母趾」や「ハンマートゥ」は、パンプスを履き続けることによって起きる「足の変形」だ。
それ以外にも、女性の靴の多くが「履きやすさ」よりも「デザイン重視」であるために、多くの女性は「靴に合わせて、足を変形」させている。
もちろん、フルオーダーメイドで1足数万円以上もするパンプスとなれば、違うだろう。

その昔、パンプスそのものは「男性の靴だった」と言われると、驚かれるだろうか?
Googleなどで、検索していただければわかると思うのだが、フランスの「太陽王」と呼ばれたルイ14世は、大のオシャレ好きで「パンプスにタイツ、ブルマーを履いていた」という。
王様がそのようなファッションをするのであれば、当然取り巻きとなる王侯貴族たちは、ルイ14世のファッションをお手本にする。
ルイ14世の時代のメンズファッションの最先端は、「パンプスにタイツ、ブルマーを履き、肩から豪華なマントを羽織る」というものだったのだ。
その名残(?)として、男性用のフォーマルシューズ「オペラシューズ」がある。

それが女性用の靴となるのは、「産業革命」以降だ。
多くの男性が「仕事をし、お金を儲ける」ようになり、その地位や財力を示す一つの方法が、着飾った女性を伴い社交パーティーや観劇、音楽会などに出かける、ということだった。
当然伴う女性は、奥さんなどではない。歌劇「椿姫」のような女性たちだ。
彼女たちは、多くの男性から宝石や衣装、小間使いの少女たちまで与えられ、優雅な生活をしている。
ルイ14世の頃は、上流社会の男性たちが競い合うように着飾っていたのが、「産業革命」という新たな経済が起こることで、社交界は王侯貴族から企業家へと主役が変り、その華やかさの中心となったのが、「椿姫」のような女性たちだったのだ。
それ以降、経済の中心となる男性ではなく男性の地位や財力を示す女性のファッションの一部が定着した、ということになる。

ファッションそのものは、ココ・シャネルのように「働く女性たちのファッション」という考えが生まれ、戦争が起きれば女性たちも労働力として働くことになり、変わっていくのだが「靴」だけはさほど変わることが無かった。
強いて上げれば、1980年代「キャリア・ウーマン」と言う言葉が盛んに言われるようになると、スニーカーを履いて出勤するニューヨークの女性たちが話題になったりはしたが、オフィスに行けば、パンプスに履き替え颯爽と歩く姿が「キャリアウーマン」の姿のように言われた時代もあった。

このような「パンプス」の変遷を見てみると、女性がより活躍し自立する為の一つの象徴が「パンプスを履かない」ということなのかもしれない。