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「ジェンダーフリー」になりつつあるテレビドラマ

2020-09-11 20:30:27 | アラカルト

9月も半ばに差し掛かり、そろそろ「夏ドラマ」と呼ばれるテレビドラマも終わりに近づいている。
「夏ドラマ」といっても、「新型コロナ」の影響で春スタートする予定だったドラマが、夏にスライドし、当初予定していた放送回数を減らして放送された、というケースも多かったようだ。

拙ブログに来てくださる方は、我が家にテレビが無いことを知っていらっしゃると思う。
そこで活躍する?のが「見逃し配信サイト」と呼ばれるネットで視聴できるサイトだ。
一応話題になっているドラマだけでも1回は視聴するようにしている。
その中で、TBS系の「私の家政夫ナギサさん」や日本テレビ系の「おじさんはカワイイものがお好き」、テレビ東京系の「今日の猫村さん」等、中年の男性が家事をしたり、カワイイものが好きだったりするドラマが、いくつもあったことに気づいた。
もっとも「今日の猫村さん」は、主演されている松重豊さんが、猫に扮しているので「中年男性が家事をしている」とは言えないのだが・・・以前であれば、猫村さん役は女性だったのではないだろうか?

一昔前だったらこれらのテレビドラマは、おそらく成り立たなかったのでは?という、気がしている。
「私の家政夫ナギサさん」は、中年のおじさんがスーパー家政夫として家事が全くできない働く女性の家に派遣される、というところからスタートしている。
以前であれば「仕事も家事もできる女性」が登場するのが、当たり前で家事ができない働く女性という設定は、元々無かっただろうし、もし家事代行を依頼するにしても派遣されるのも女性だったはずだ。
「女性の仕事」と思われていた「家事代行」という仕事に、男性が、しかも中年の男性が派遣される、という点では新しい設定のドラマだったと思う。

「おじさんはカワイイものがお好き」になると、また違った様相を呈する。
「職場では仕事ができ、部下からも信頼が厚い男性課長」が、実は「カワイイキャラクター好き」であった、という設定になっている。
しかも主人公を取り巻く男性陣も、「カワイイものが好き」という設定だ。
「カワイイ」と感じるモノはそれぞれ違っているが、これまでの社会通念(?)的なところから考えれば、中年のおじさんが「カワイイものが好き」ということ自体、あり得ない!と思われていたはずだ。
だからこそ、主人公をはじめとする男性陣は、必死になって「自分がカワイイものが好き」ということを、隠そうとしているのだ。

「意外性を狙った」ということなのかもしれないが、しかし考えてみれば、随分前から「家事ができる男子」がもてはやされたりしてきた。
「カワイイもの」という点で考えれば、女性アイドルに熱狂する男性は多い。
アイドルに熱狂する彼らは、こぞって「(カワイイの意味が違うかもしれないが)カワイイ」と言っている。
「カワイイ」と思う対象が、女性アイドルなのかキャラクターや猫などのペットなのかという違いなだけで、「カワイイものが好き」という点では、同じなのかもしれない。
むしろ、そのようなことをテレビドラマというカタチで表に出てくるようになった、と考えるべきかもしれない。

テレビが社会を写す一つの鏡だと考えた時、これらのドラマが話題になった背景には「社会的性別の役割」が無くなりつつある、ということのようにも感じるのだ。
そう考えると「ジェンダーフリー」のドラマが、生活者に受け入れられ始めている=生活者の意識の変化ともいえるような気がする「夏ドラマ」だったように思う。

ちなみにTBS系のドラマ「MIU404」では、機動捜査隊という部隊を率いていたのは女性だった。
これもまた「ジェンダーフリー」ということなのかもしれない。