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観光誘致とアイディア。重要なのは「アクセス」

2020-09-08 19:37:44 | マーケティング

朝日新聞のWEBサイトに、「問題が解決されれば、インバウンドにもつながるかもしれない」という記事があった。
朝日新聞:水木しげる、小泉八雲・・・中国3県もののけ怪道「開通」

この記事にある「水木しげる記念館」、「小泉八雲記念館」の二つは、今では山陰の観光ルートとなっている施設だ。
小泉八雲には「怪談」という名著があり、水木しげるはご存じの通り「ゲゲゲの鬼太郎」という代表作がある。
いずれも「この世にいない人や物体=もののけ」をテーマにした作品であることには、変わりないだろう。
それだけではなく、山陰そのものは「古事記」の舞台ともなっている。
「神様」という存在もまた、この地域の人たちにとっては「近しい存在」だと感じている。
その「古事記」の中にも登場する、「布怒豆怒神(「ふのづののかみ」と読む)」を祀る「粟鹿神社」が、「もののけミュージアム」がある三次市にある。

「古事記」の舞台となっている「神々のお話し」が、この地域には数多くあるのだ。
妖怪などをはじめとする「目に見えないもの」に対する恐れだけではなく、ある種の信仰や親しみがある地域といっても良いのかもしれない。
だからこそ、このような企画が立ち上がったのだと思う。

今は無理な海外からの観光客の誘致などを考えた時、「もののけ」という存在は日本独特の地方文化だと思う。
岩手の「遠野物語」等もそうだが、日本人の中にある「死者と生者との関係」は、海外の方々から見れば一種特有なモノかもしれない。
ただ、それらが土着的な文化となり、各地域の文化へと発展していったとすれば、それはとても魅力的な地域資産なのではないだろうか?
そしてそのような地域資産は、「過疎地」と呼ばれる地域に数多く残っている、ということもまた事実だろう。
とすれば、そのような文化を発信することもまた、これからの「インバウント策」としては、とても有効なのでは?と、考えている。
問題は「アクセス」だ。

上述したように「水木しげる記念館」と「小泉八雲記念館」の二つは、山陰の観光ルートとなり、この二つの施設に行く観光客も多いと思う。
観光ツアーでは無く、個人旅行で行ってもさほど距離が離れているわけではないので、事前に交通機関の乗り換えなどをチェックしておけば、1日で十分楽しめる。
問題は、三次市にある「三次もののけミュージアム」だ。
三次市そのものが、広島県北部の島根県の県境に近いこともあり、広島から行くにしても松江から行くにしても、アクセスが便利な場所とは言い難い。
自家用車利用であれば、アクセスの問題もほぼ無いと思うのだが、それでも1日で回るのは厳しい気がする。
とすれば、地元の旅館組合やJR西日本や地元のバス会社などと協力を得た、「観光プラン」を提示する必要があると思う。

施設の協同企画というのは、とても面白いし新しい試みとしても良いと思う。
できれば、周辺の「もののけスポット」等の紹介があれば、より魅力的な企画になるのではないだろうか?
そこに「アクセス」という問題を解決することで、地域全体の活性化につながるのでは?と思っている。