日々是マーケティング

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提案に対して、意思表示を示す時には「理由」を述べよう

2020-10-04 20:41:03 | アラカルト

今月に入って、話題となっている「日本学術会議」が推薦した新しい会員の内6人の任命を、菅内閣が外したという。
外された6人の内、東京大学の加藤陽子教授など、安倍政権に対して批判的と思われる人物が、含まれていたことで任命を外された方たちだけではなく、様々な人が「内閣の学術分野における締め付け」ではないのか?という声が、上がっている。
Huffpostには、日本学術会議についてと、任命されなかった6人の学者についての記事があった。
Huffpost: 「日本学術会議」任命されなかった6人の学者はどんな人?

内閣から独立した「日本学術会議」とはいっても、様々な提言を内閣に行うという関係から考えれば、総理大臣に任命権があること自体自然なことだと思う。
ただ、任命する・しないに関わらず、「何故任命をするのか?」あるいは「何故任命をしなかったのか?」という、説明はする必要があると思う。

任命されなかった6人の内、安倍政権や自民党に対して厳しい発言をされてきた方は、確かに含まれている。
その代表的な学者として、東大の加藤陽子教授ということになっているようだが、加藤氏の著作などからは「現政権に対する厳しい発言」というよりも、専門である日本近代・現代史という視点で、その時々の政治や軍などについての発言をされているだけのように思っている。
確かに、安倍政権では第二次世界大戦時のような思考を感じされるところはあったが、それと加藤氏の著書での指摘内容とは、違うような気がする。

加藤氏の任命拒否よりも気になったことは、今回任命されなかった6人の学者の内、3人が法学者であったという点だ。
「法学者」を排除したい、という菅政権の考えが、如実に表れているような気がするのだ。
安倍政権では、公文書などの隠ぺい・破棄などが公然と行われた。
「公文書」を時の政権で自由勝手気ままに隠ぺいや破棄をすることは、民主主義の根幹にかかわる問題なので、法学者であれば、当然疑問の声を上げるだろう。

それは保守・リベラルという政治思考の問題ではなく、「民主主義の基本」として問題提議をする必要があるだろうし、それを拒否する、ということは「民主主義」そのものを否定する、ということになってしまう。
そのことを安倍さん自身が、どれだけ理解していたのか不明なところだが、安倍さんの考えをそのまま踏襲しているとすれば、菅内閣もまた「民主主義を否定する」ということになる。
何故なら、自分の都合が悪いことを政治力を持って排除することは、「独裁政治」あるいは「全体主義」への道を歩むということに他ならないからだ。

より良い提言を内閣にするための機関だからこそ、その時々の内閣・政権の意思とは反する意見を聞くことが大切なはずだ。
自分の考えとは違うとか感情的に気に食わないという理由であれば、「多様な考え方」が世界的に求められている今には合わない内閣であり、政権である、ということを自ら示しているということになる。
そのようなことを菅総理はわかっているのだろうか?