ここ数日、「都道府県別魅力度ランキング」の話題になっている。
「昨年最下位だった県が、上昇した」とか、「思いのほか、順位が低い」という担当者の声が、ネットニュースで話題になっている。
この「都道府県別魅力度ランキング」を発表しているのは、「観光経済新聞」といういわゆる業界紙だ。
観光経済新聞:地域ブランド調査2020 都道府県別の魅力度ランキング トップ3は北海道・京都・沖縄 ワースト3は栃木県・徳島県・佐賀県
おかしなもので、このようなランキングが発表されワースト3などに名前が上がると、名前が挙がった県の人たち、特に観光事業担当の人たちの心は、穏やかなモノではないだろう。
何事においても、ランキング付けをされ下位に名前が挙がるというのは、気持ちの良いものではない。
毎年のように発表されるこの「都道府県別魅力度ランキング」に関しては、ランキング付けで右往左往する必要は、無いのでは?という気がしている。
というのも、上位に挙がった都道府県を見て気づくことはないだろうか?
いわゆる「観光地」として、国内外で有名な都道府県だ。
魅力というよりも、知名度があり、多くの人が観光で訪れている地域、ということになる。
一方、今回下位となった都道府県に共通しているのは、観光地としての知名度がさほど感じられない、という県だ。
昨今の政府の「インバウンド政策」によって、各都道府県が観光政策に力を入れている。
だが、既に観光地として国内外で有名になっている地域には、観光客が訪れやすい環境にある、ということが言える。
当然、観光地として訪れる人も多くなり、このようなアンケート調査では有利になる。
だからと言って、すべての都道府県が「右へならへ」のようなインバウンド政策である必要は無い、はずだ。
昨年だったか?同じ観光に関する調査で、面白い結果があった。
文春オンライン:「日本人だけが知らない」鳥取県が外国人観光客をうなぎのぼりに集める3つの理由
この記事が掲載された時、鳥取県に実家がある私としては、「本当かな?」という気がした。
しかし記事の出典先となっているのは、日本人ではなく外国人を対象にツアーを企画している会社が、まとめたものだ。
ということは、日本人とは違う視点で「日本の魅力」を感じている人たちに対するアンケート結果、ということになる。
海外の人たちは、日本で有名な観光地よりも自然豊かな「日本らしい風景」を求めて観光に来ている(あるいは、観光目的にしている)ということになる。
だからこそ、過疎が進んでいる地域などが、このランキングの上位に入っているのだ。
そう考えると、日本国内を対象とした「魅力度ランキング」と海外の人たちから見た「魅力度ランキング」は、全く違うだけではなく、魅力と感じているモノも全く違う、ということがわかる。
ワースト3だからと言って、その県や自治体に魅力がないわけではない。
実際に住んでみると、生活費が安くコンパクトな街づくりがされているので、高齢になっても不自由さを感じない、という地域もあるはずだ。
このような地域は、住んでみて実感できる魅力であり、観光目的の魅力とは全く別ものだ。
とすれば、「魅力度ランキング」と一括りのランキングに右往左往する必要は、無いのではないだろうか?
「インバウンド政策」という視点で考えれば、今回の「都道府県別魅力度ランキング」には無い、それぞれの地域の魅力=地域資源を守っていくことの方が大事だと思うのだ。