VOGUEのサイトに、なかなか興味深い記事があった。
VOGUE Japan:マルクス・ガブリエル特別インタビュー。さあ、ポストコロナ時代の希望を語ろう!
インタビュー記事としては、相当長く内容も濃いものなので、気軽に読めるとは言い難い。
ただ、「新型コロナウイルス」の感染拡大が、全世界に広がり始めた今年の初め頃から、私たちは随分暗く後ろ向きな思考に陥っていたのではないだろうか?
今週に入り、J&Jが始めた「新型コロナウイルスのワクチン」の治験の中止となり、今日はイーライリリーが治験をしていた「抗新型コロナウイルス薬」の中止というニュースがあった。
これらのニュースは、「新型コロナウイルス」に対抗すべき薬剤などの開発・使用はまだまだ時間がかかる、ということを知らしめたような気がしている。
「新型コロナウイルス」と言っても、元々は「コロナウイルス」という風邪の一種であり、特効薬となる風邪薬やワクチンが存在しないのだから、早急な開発・使用が望まれても、現実は難しいということがわかる。
だからと言って、この「コロナ禍」を後ろ向きにとらえても、どうしようもない。
既に起きてしまった時計の針を、元に戻すことはできない、のと同じだからだ。
とすれば「ポストコロナ」と呼ばれる時代は、今までとは違う考え方や社会的規範(マルクス・ガブリエル氏は「道徳」と呼んでいる)が、必要となってくる。
ガブリエル氏が言う「道徳」のニュアンスは、どちらかと言えば「哲学的思考を持つ」というような意味のような気がしている。
そして「哲学」と言ったとき、日本では「プラトンの哲学」を思い浮かべ、身構えてしまいがちだが、ガブリエル氏の言う「道徳=哲学的思考」は、もっとシンプルなモノのような気がしている。
どちらかと言えば、故池田晶子さんが書かれた「14歳からの哲学」に近いような感覚を持っている。
「自分と他者との関係の中で、どうすればよいのか?」ということを、考え続けることで起きてくる、新たな関係性の発見であったり、自己をみつめることで生まれる自分自身への信頼というようなことではないだろうか?
その先にあるのが、新しい「生活スタイル」であったり、「ファッションやアート」ということになるのだと思う。
それはとりもなおさず、新しい視点と思考によって生まれるビジネスなのではないだろうか?
ファッション誌は女子供が読むものと思わず、ポストコロナ時代の何かを見つけるために読んでみてはどうだろう?
あの白洲次郎氏は、わざわざ米国版VOGUEを取り寄せて読んでいた、という話もあるのだから。