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脱脂粉乳とアパレル

2025-01-22 11:28:17 | ビジネス

今朝、FMを聞いていたら、「こんなビジネスが起きているのか?」という話があった。
その内容は、脱脂粉乳を繊維化し、アパレルに使う、というものだった。
日本農業新聞:在庫問題“肌”で感じて 鈴木大樹さんが起業 脱脂粉乳Tシャツ考案、酪農応援 

実は今この脱脂粉乳そのものは、食品として注目をされている。
その注目される分野というのは、「シニア向け粉ミルク」という市場だ。
森永乳業:大人のための粉ミルク「ミルク生活」 

脱脂粉乳というだけあり、余分な脂肪は取り除かれ、カルシュウムや鉄分、複数のビタミン等シニア層に不足しがちな栄養素を加えている。
脱脂粉乳の利点は、保存という面だろう。
紙パックの牛乳は美味しいのだが、開封してから飲み切るまでの消費期限は短い。
その為、シニア層にとっては飲み切れない、ということになりやすい。
それに比べ、脱脂粉乳であれば保存性も高い、というメリットがある。
牛乳に含まれない栄養素も含まれていることも、大きなメリットかもしれない。

とはいえ、国内生産される脱脂粉乳が余剰状態になり、廃棄処分されているとすれば、フードロスという視点でもよいこととは言えないだろう。
食糧事情の悪い国に対しての支援物資としての提供と言っても、難しい点があるかもしれない。
もう一つは、脱脂粉乳そのものが、水や熱闘では溶けにくい、という扱いにくい点もあるだろう。
第二次世界大戦後から始まった学校給食だが、開始後20年位は牛乳の代わりに提供されていたのが、脱脂粉乳であり、当時の脱脂粉乳はおせいじにも美味しいとは言い難かった、と言われている(私の世代は、脱脂粉乳から牛乳に切り替わった直後の世代だろう)。
それが、脱脂粉乳のイメージを悪くさせている、ということも影響しているかもしれない。
通販のサイトを見ていても、脱脂粉乳を購入される方のレビューの多くは「パンを作る時に使っている」というコメントが目立つ。

その新たな使い道として、脱脂粉乳の中に含まれるたんぱく質に注目し、作った繊維ということのようだ。
とはいえ、牛乳のたんぱく質なので、乳アレルギーの方は着用できないようだが、綿と合わせることで絹のような肌触りと綿の特性を併せ持った素材となったようだ。
現在はTシャツの展開のようだが、乳アレルギーの人で着ることができる、という視点を持てば、Tシャツのように素肌に着るものではなく、アウターに使う、ということも考えられるのでは?
例えば、繊維から布にする過程には、「わた」にしているのでは?
「わた」の状態であれば、真綿のアウターという考え方もできるかもしれない。
ダウン特有の匂いに、アレルギーに似た反応を示す人もいらっしゃるので、ダウンに代わる素材となるかもしれない。
なにより「エコ繊維」として、海外のデザイナーから注目される可能性もある。

そのような視点で見た時、「スキムミルク(=脱脂粉乳)繊維」は、今後注目されていくのでは?と期待したい。



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