ここ数カ月、世界的な半導体不足で自動車の生産が遅れたりしている、というニュースを聞くことが多くなった。
この半導体不足は、意外なところにも飛び火しているようだ。
朝日新聞:クリスマスなのにゲーム機が買えない 要因は半導体不足、転売も横行
今週末のクリスマスに、ゲーム機のプレゼントをサンタさんにお願いしている子どもたちも多いのだろう。
そのサンタさんでも、ゲーム機を手に入れる事ができない状況になっているようだ。
要因が「半導体不足」ということらしい。
確かに今のゲーム機は、チョッとしたコンピューター的要素を持っている。
ゲーム機を起動させるためには、半導体そのものが無ければ、できないであろう、ということは、ゲーム機を知らない私であっても、なんとなく想像がつく。
ゲーム機のみならず、今の電化された生活では、半導体そのものが無ければ使うことができなくなる、ということも分かる気がする。
「世界的半導体不足」というのであれば、日本の半導体メーカーが積極的に生産すれば、大きなビジネスチャンスになるはぞだが、何故か日本の半導体メーカーが増産している、という話を聞くことがないような気がしている。
それどころか、「日の丸半導体」の経営不振の話を聞くことの方が多いように思える。
日経新聞:日の丸半導体「あと8年」か
有料会員記事なので全文を読むことができないのだが、この記事の元となっているのは経産省が今年6月に発表した「半導体戦略(概略)」だ。
経済産業省:半導体戦略(概略) (注意:PDFファイル)
確かにこの資料の7ページの「日の丸半導体」の推移を見ていると、数年先には「日の丸半導体が、世界市場から消えそう」な勢いだ。
もちろん、この間日本政府も産業界も、放置してきたわけではない。
「日の丸半導体」に対しては、それ相当の資金投入をしてきているはずだ。
にもかかわらず、何故対応できていないのか?という点が、問題なのだ。
日本企業が、海外へ生産拠点を移した事も、影響しているかもしれない。
ただ、生産拠点の海外移転よりも大きな問題は、「半導体」というモノに対する考え方なのでは?という気がしている。
「半導体=デジタルにおける米のような存在」だと分かっているにもかかわらず、日本の「米政策」同様に方向違いな考えをしてきたのでは?ということなのだ。
それを指摘している資料が、やはり経産省が公開している資料の中にある。
経済産業省:半導体・デジタル産業戦略(概要) (注意:pdfファイル)
「半導体」というモノを「半導体」という物質で見ている限り、日本の半導体産業は消滅の一途をたどっていく可能性が高いと思う。
「半導体を使ってどんな社会が描けるのか?」という発想が、「日の丸半導体」の中に生まれてくれば、また違うことが起きるのではないだろうか?
ただ今は、クリスマスには間に合わなくても、転売などではなく正価でサンタさんたちが購入し、「ゲーム機」が子どもたちに届くことを願っている。
その時使われている半導体が、日の丸半導体であれば、なお喜ばしい事だと思う。