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そろそろ「箱もの」発想から、脱却すべきでは?‐築地市場跡地大規模開発‐

2024-05-09 21:03:39 | ビジネス

GW前だっただろうか?、閉場した「築地市場」の跡地に、スタジアム建設予定というニュースがあった。
Impress Watch:築地市場跡地で大規模開発 スタジアムを軸に食・交通・MICEの拠点に 

このニュースを知った時、何故東京に、5万人収容規模のスタジアム建設をするのだろう?という、疑問だった。
この「5万人規模」というのは、実は国際的なスポーツイベントを開催するときの使用するスタジアムの収容人員数とされることが多い。
例えば2002年のサッカーW杯日韓大会で、日本全国に5万人以上収容のスタジアムが建設されたが、FIFAの規定が「W杯実施スタジアムの収容人員条件」が「5万人以上。屋根付き」だったからだ。
この2002年サッカーW杯日韓大会以降、日本で作られるスタジアムの収容人員は、5万人クラスになっていった。

そのような背景を考えれば、「5万人収容のスタジアム」ということは、国際的スポーツイベント開催可能スタジアム、という位置づけである、ということが分かる。
しかし、東京周辺には、この5万人以上収容できるスタジアムが、いくつも既にあるのだ。
2022・東京オリンピック開催の為に建て直された「国立競技場」をはじめ「さいたまスタジアム」、「日産スタジアム(旧横浜国際総合競技場)」と、既に3か所あるのだ。
そこに4番目の同規模スタジアムを建築する必要があるのか?という、疑問なのだ。
と同時に、5万人収容規模のスポーツイベントが、どれほどあるのか?という点でも、疑問なのだ。

多くの観客を呼び込むことができる、国際的スポーツイベントとして、真っ先に思い浮かぶのは、サッカーW杯だろう。
多くの出場国のサッカーファンが、スタジアムにやってくるからだ。
とはいえ、W杯の開催期間は約1ヵ月。
サッカーW杯クラスの国際的スポーツイベントを、数年に1度招聘できるのか?というと、それも甚だ疑問だ。

それだけではなく、「さいたまスタジアム」も「日産スタジアム」の、Jリーグの「浦和レッズ」や「横浜Fマリノス」のホームスタジアムとして、活用されている為毎試合5万人規模の収容はできなくても、それなりの頻度で活用されている(=スタジアム収益がある)。
そう考えると、新たに建設する築地市場跡に建設予定のスタジアムも東京にある、スポーツクラブののホームスタジアムにしなくては、稼働率は期待できない、ということになる。
スタジアム使用期間もほぼ通年でなくては、スタジアムの運用は難しいだろう。

現在稼働している、2002年サッカーW杯開催用に建設された数多くのスタジアムは、サッカー以外の音楽イベント等にも使われているので、そのような設備も必要になってくる。
周囲に商業施設を設けるということになれば、防音という面も検討する必要が出てくる。
このように考えると、今「築地市場跡地に5万人収容規模のスタジアム建設」は、現実的ではないのでは?という気がするのだ。

それよりも、かつて築地市場にあったと言われる、「浴恩園」という公園の再建の方が、現実的で今という時代にあっているのでは?という気がしている。
Huffpost:築地市場跡地にかつて「天下の名庭園」があった。浴恩園とは?再生を求める声も

築地市場跡地というロケーションを考えれば、この場所に庭園ができることで、周辺の温暖化対策になるはずだ。
と同時に、市民のオアシスとして、人気が出るのでは?
確かに、入場料を設定するということは、できないかもしれないが、この庭園の周囲に商業施設を配置すれば、「手ぶらでお出かけできる自然公園」として、人は集まりやすくなり収益を上げることはできるのでは?

小池都知事は、環境問題に対して敏感な感覚をお持ちだと思っていたのだが、神宮周辺の整備に伴う神宮の森伐採問題の頃から「環境問題」への興味がなくなってきているような印象がある。
今、目先の利益を優先するよりも、100年後の自然豊かで快適な都市づくりを目指した方が、後世に名を遺すことができると思うのだが…。






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