毎日新聞のWebサイトに、やや物騒なタイトルの記事があった。
毎日新聞:AI進化に追いつけぬ国際ルール 人類の「絶滅リスク」研究者が警告
見出しにある「人類の絶滅リスク」となれば、「AI vs人類」のようなSF小説やSF映画のような世界のようにも思えてくる。
AIという道具の使い方次第では、「AIによって人類が絶滅するリスクがある」という警告的な記事だ。
そしてこの「AIという道具の使い方次第」ということは、随分前から指摘されてきたことだ。
そして残念なことに、未だに私たちは「道具としてのAI」との向き合い方について、模索をしている最中といった状況だろう。
その一方で、チャットGPTと呼ばれる「生成AI」等も登場したことで、ますます「人の代わりにAIが行うことがら」が、増えてきそうな勢いだ。
欧米では、チャットGPT に対して様々な規制をかけるような動きがある中、日本では積極的に活用する方向へと向かっているような雰囲気を感じている。
この動きの違いが、今後どのような影響を社会に与えていくのか?は、まだまだ不透明なところだが、個人的には日本の積極的な動きを心配している。
というのも、「マイナンバーカード」すら、満足な運用ができていないからだ。
このようなデジタルツールを使い慣れていない政府が、積極的に「生成AI」についてどれだけの知識を持っているのか、甚だ疑問だからだ。
言葉や流行としての「チャットGPT」や「AI」については知っていても、本質的な理解が十分にされているのか?という、懸念を抱いている。
毎日新聞の記事にあるように、「AI」に関するリスクを研究者が警告し、国際的なルールづくりに動き出そうとしているのであれば、日本政府は積極的にかかわっていく必要があるのでは?
何故なら、国際的なルールづくりの基本が、世界のAI産業のルールとなっていくからだ。
国が「積極的に推し進めたい」という考えを持っているのなら、「世界のルールづくり」の中心にならなくては、様々なリスクを負うことになる。
それは「基本的ルールづくり」を作った国に追従するということであり、ルールを作った国に膨大な利益をもたらすばかりか、ルールに従わざる得なくなった国の社会すら破壊するチャンスを得る、という意味でもあるからだ。
記事中にあるように、中国が積極的であるというのは、国に与える利益だけではなく中国の考えを世界の基準にもっていく可能性を模索している、というくらいの危機感を持って考えた方が良いと思う。
「米国の核の傘の下に守られる平和」等と悠長なことなどと言ってられない、というのが「AI」の問題なのだ。
企業努力では、どうすることもできないほどの重要な問題である、という危機感を日本政府は持っているのだろうか?