今朝のラジオなどで報じられていたことだが、日本の物価上昇が3%になったという。
朝日新聞:9月の消費者物価が3.0%上昇 資源高・円安響き31年ぶり水準
政府は、消費者物価2%を目指していたという記憶があるのだが、その目指す数字を越してもまた、「金融緩和」を継続する気らしい。
日経新聞:日銀、想定外の3.0%インフレ 黒田総裁は緩和維持姿勢
日銀は、政府の意向を汲んで金利政策を行っているので、「緩和維持」というのは黒田総裁の独断ではなく政府の意向、ということになるだろう。
では何故、政府が「緩和維持」という姿勢を崩さないのか?
今回の消費者物価指数を押し上げたのは、朝日新聞が指摘している様に、円安による様々な輸入資源の高騰によるところが大きい。
今の状況を脱却し、円高にもっていくにしても急激な円高になるための要素は「金融緩和をやめ、ある程度金利を上げる」位の方法しか、思い浮かばないのだ。
金融政策のプロではないので、この程度しか思い浮かばないとは思うのだが、米国を始めとする諸外国では低すぎる金利政策から、少しづつ上げる方向へと進んでいる。
にもかかわらず、何故日本だけ金融緩和策を継続するのだろう?
JBpress:物価がとうとう3%突破、日銀はなぜ金融政策を変更しないのか?
JBpressの記事が、有料会員向けなので全文を読むことはできないのだが、一つのキーワードが見えてくる。
それが「コストプッシュ型インフレ」だ。
「コストプッシュ型インフレ」というのは、「コスト=製品や商品を作るために必要な費用」が「プッシュ=押し上げる」ということで起きる、物価高ということになるようだ。
注目すべき「コスト」の中には、労働賃金も含まれているということを忘れてはいけないと思う。
確かに、円安になったことで輸入される様々な資源価格が、高くなっている。
例えば1ドル=110円で購入することができた輸入材料が、今は150円出さなくては購入できない、という状況だからだ。
ここで40円の差額分だけ「コストを押し上げている」ということになる。
しかし、それほど単純なものではないと思うのだ。
上述したように「コスト」の中には、製品や商品やサービスを提供する為に必要な賃金が含まれている。
そしてこの30年余り、日本の労働賃金は先進諸国の中でも最低ラインに落ち込んでいる。
生活者が実感する「家計」は豊かになるどころか、苦しいと感じる人が増え続けている、ということでもあるのだ。
そう考えると、「コストプッシュ型インフレ」を起こしている要因の一つに、人件費なども含まれていると考える経営者などがいると、より日本の生活者は貧しくなってしまう、という危険をはらんでいるのでは?
確かに今年、最低賃金が30円アップしたと話題になったが、非正規労働者が増え続ける中での30円アップは、日本経済に好景気をもたらすほどの影響力があるのだろうか?
政府として、日本経済のかじ取りをする気があるのか?ということも見えない中、経済成長は諦めるにしても維持する努力もないまま、経済以外の分野でも日本はどんどん萎縮してしまうのではないのか?と、不安に感じる。
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