このところ毎日のように、メディアに取り上げられている「日本学術会議」の話題。
その取り上げられる内容の半分以上は、「日本学術会議」に対して厳しいような印象がある。
個人的には、内閣が任命を拒否した6人に対しての理由を明らかにすることが、何より先決のような気がしているのだが、肝心な話となると、「菅総理は、リストアップされた内容を見ていなかった」という話が出てきて、責任の所在そのものがあやふやになってきているような気がしている。
しかし、上述したように「日本学術会議」そのものに対する批判のほうが、多いような気がしている。
その一つが、フジテレビの解説者がニュース番組で話した「6年学術会議で働けば、学士院で年間250万円の年金が一生涯支払われる」という内容だろう。
Buzz Feed Japan:「学術会議で6年働けば、学士院で死ぬまで年金250万円」は誤り。フジテレビで放送、ネットで拡散
確かに突然「日本学術会議」という政府が会員となる研究者を任命するのに、政府に提言をする独立した団体の存在を知ると、「一体何をしている団体なのか?」という疑問に始まり、政府に提言を機関なら政府が任命拒否をしたらそれに従うのは当然だ、という考えを持たれる方が多いのも当然だろう。
だからこそ、「日本学術会議」に対して事実確認をしていないネガティブな情報を知ると、「やはり、怪しげな団体なのだ」と思ってしまうのだと思うのだろう。
尚且つ、今回任命を拒否された人たちの多くが、現政権に対して批判的な発言をしてきたという点が、クローズアップされ「政権に批判的な発言をしながら、国からお金をもらうなどとけしからん!」という気持ちを持った人たちにとっては、自分の考えと共感できる内容の発言やSNSでの情報は、受け入れられやすいだけではなく、認識として固定化されやすいように思われる。
だからこそ、「250万円の生涯年金」の後から出てきた、橋下徹氏の間違った「海外の学会は税金が投入されていない」という発言があり、「解体すべし」という考えに共感する人達がSNSで拡散するようになるのだろう。
この「日本学術会議」における様々な間違った情報について、ファクトチェック(=真偽の確認)がされ、訂正されてもSNSなどを通じて拡散し続けるのは、上述した通り「自分にとって共感できる情報は、優先的に認知され、それが固定化される」ということを、分かりやすく示していると思う。
それは今現在進行形の米国大統領選でも、言えることかもしれない。
トランプ氏の発言には、疑問な点が多くあり、トランプ氏の言う「アメリカン・ファースト」は「自分ファースト」でしかない。
しかし、「アメリカン・ファースト」を期待している人たちにとって、トランプ氏の発言はとても魅力的に思え、それに共感しトランプ氏への支持が固定化される、ということになっているのだ。
その中でも新たに「陰謀説支持者(今回の「新型コロナウイルス」は中国の陰謀である、というトランプ氏の発言を信じている人たち)」もまた、自分にとって都合が良い説明がされることで、共感をし「陰謀説」という荒唐無稽と思われるトランプ氏の考えを認知・固定化しているように思われる。
今回の「日本学術会議」を含む、様々情報についてBuzz Feed Japanがファクトチェックを行っている。
一度自分の得た情報が正しいのか、チェックをしてみると良いかもしれない。
Buzz Feed Japan:Fact Check.jp