一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

九州旅行2011年5月5日(前編)・昇開橋を見に行く

2011-05-14 15:15:46 | 旅行記・G.W.編
寒気を感じて、目が覚めた。時計を見ると、午前6時である。
このネットカフェもチェーン店のひとつだが、同じ経営でも店ごとに違いがあって、ここはブランケットの貸し出しがない。
昨晩はバスタオルを体にかけて眠ったが、やはり冷気で起こされてしまった。
きのう店員は、空調がよくないから、ブース内に冷気が入ってくる、と言ったが、それよりも往生したのが、タバコの臭いだった。
各ブースで吸われたタバコが、私のブースにすべて流れ込んでくるイメージ。
それは強烈な臭いで、バスタオルはもちろん、タオルや衣類、旅行カバンなど、すべてにタバコの臭いがこびりついていた。吐いた痰も何だか、タバコ臭い。
不備を承知で泊まったとはいえ、これはあまりにもひどい。客のためだか収益を上げるためだか知らぬが、店側はこのブースを閉鎖するべきだった。
さて、メインイベントの博多どんたくを見終わり、これから2日間はまたも自由行動となる。きょうは旧国鉄佐賀線の筑後川に架かる「昇開橋」を見に行こうと思う。
佐賀線は、長崎本線佐賀駅と鹿児島本線瀬高駅を結んでいた全長24.1kmのローカル線である。佐賀県と福岡県の短絡線を担っていたが、モータリゼーションの影響により、1987年に惜しまれつつ廃止となった。
昇開橋はその名のとおり、橋の一部が上部に跳ねあがる特殊な橋で、1935年に架設された。佐賀線廃止時は撤去も検討されたが、地元民の強い要望により、福岡県大川市と佐賀県佐賀市を結ぶシンボルとして、残された。その後2003年には国指定の重要文化財に指定され、2007年には日本機械学会から機械遺産に認定された。鉄道ファン、とくに廃線跡探訪マニアなら一度は訪れたい、鉄道聖地のひとつである。
西鉄天神バスセンターから特急バスの佐賀行きに乗ること1時間10分。佐賀駅バスセンターから市営バスに乗り換え、10時34分、昇開橋前に着く。
すぐ前に、昇開橋が優雅なたたずまいを見せていた。橋の袂は展望公園になっており、商店もある。
一休みしたあと橋に向かうと、橋の中央部が降下を終了したところだった。
柵の一部に橋の昇降スケジュールが書かれてある。およそ1時間に1回、昇降するらしい。しまった…。と思いきや、人が大ぜい集まったからか、案内のオジサンが、橋の上昇ボタンを押した。橋の下を観光遊覧船が通るからで、昇降時刻に関係なく、橋を上げ下げすることはよくあるらしい。もっともその観光船も、橋を上げなくても通れる高さなのだが、そこはサービスでやっているらしい。
それは私たちに対してもそうで、観光客が増えてくると、やはり橋を上げ下げしてくれるのだ。
橋中央の歩道部分がゆっくりと上昇し、上から長方形の分厚い板が降りてきた。
空を見上げると、溶解炉のようなフォルムの鉄塔が、優美な姿を見せている。このたび補修工事が終わったそうだが、綺麗な朱色に化粧直しされたそれは、ウルトラセブンが想起された。
案内のオジサンは毎日観光客を相手にしゃべっているからか、話がたいそうおもしろい。
「橋はまだ上がらないけど、奥さんは上がっちゃった?」
という際どいものから、
「長方形の板は約28トン。重りの役目をしていて、いわばシーソーのようなものです」
「これは昭和10年の建設だけど、戦争前で景気がよかったから、こんな贅沢な設計ができました」
「橋の昇降の経費は意外とかからないんですよ。○円ぐらい。だけどチリも積もれば何とやらで――」
という真面目な話まで、硬軟織り交ぜて私たちを飽きさせない。
傍らには昇開橋グッズと、橋維持のための募金箱が設置されている。
私はオジサンの話術に敬意を表して、500円の通行手形(キーホルダー)を買い、おつりの500円を、募金箱に入れた。
袂の商店で昼飯用の弁当を買い、オジサンおすすめの遊覧船を楽しみ、私は昇開橋を後にした。
帰りは佐嘉神社近くで下車。まずは佐賀城本丸歴史館を見学する。佐賀城跡に建設されたもので、幕末や明治維新の日本を分かりやすく説明している。入館料はとくに設けておらず、出口にて「お気もち」を募金する仕組みだ。
大隈重信の説明がある。中津では福沢諭吉だったが、佐賀では大隈重信だ。
最初は気軽に入った歴史館だったが、どうしてどうして、全部をマジメに見たら、半日はかかる。こりゃ出口で500円は出さないとマズイぞ、と覚悟したが、出口では係の人がいなかったので、入館料は200円で済ませた。
佐嘉神社をお参りし、ご朱印をもらう。バス停留所の前にシャレた団子屋があったので、肉まんとおはぎを買い、ベンチでむさぼる。きょうもいい天気で、初夏の日差しがまぶしい。
しかし私は、こんなにノンビリしている場合ではなかったのだ。
きょうの宿泊場所は湯布院カントリーロードユースホステルである。吹上浜ユースホステルに泊まったとき、旦那さんから、このユースを勧められたのだ。
湯布院へは、高速バスで行くしかない。佐賀から高速基山まで戻り、そこから湯布院行きに乗り換える。気が利かないルートだが、「SUN Qパス」はきょうまで有効だから、多少の回り道は構わない。
高速基山は、博多・天神発の高速バスは大抵が停車するバス停で、地方からの乗り継ぎのとき、ここ基山が乗り換えになるケースが多い。
その高速基山発が16時41分である。それに乗るには、15時50分発佐賀バスセンターのバスに乗らなければならない。もちろん、高速基山に着くのは早ければ早いほどいい。
佐賀神社前15時20分発の昭和バスに乗る。15時29分、佐賀バスセンター着。すぐに15時30分発の高速基山(博多・天神)行きのバスに乗った。際どい接続である。
しかし、乗ってしばらく経って、びっくりした。高速道路が渋滞なのである。鉄道になくてバスにあるもののひとつが、渋滞だ。バスは終点に早く着くこともあるけれど、遅れることのほうが圧倒的に多い。いつかの年のゴールデン・ウイークで、私の乗った鹿児島-福岡行きのバスが1時間以上も遅れ、冷や汗をかいたことがあった。かようにバスは、いまひとつ信用がおけない。
高速基山へは定刻12分遅れの16時27分に着いた。今回は待ち時間が26分あったから事なきを得たが、もし1本あとの15時50分佐賀バスセンター発のバスに乗っていたら、あぶないところだった。
定刻を4分遅れた18時02分、由布院バスセンターに到着。町内を回るコミュニティバスは、休日なので運休。約2キロ先のユースまでは歩くしかない。
駅前を由布岳に向かって直進。国道216号を横切り、登り道をてくてく歩く。と、前を走っていたクルマが止まり、中から若いお兄さんが出てきた。
湯布院ユースホステルのペアレントさんだと、すぐに分かった。
(つづく)
コメント (2)
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