一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

九州旅行2011年5月6日(後編)・湯布院を巡る

2011-05-16 23:12:36 | 旅行記・G.W.編
みんなが表に出ると、玄関前につけていたユース所有のライトバンが坂道を下り、民家の壁に衝突していた。これではペアレントさんが血相を変えて飛び出すわけだ。
ホステラーらと力を合わせ、バンをユースの前に戻したが、バンのバンパーは外れ、左後方はメチャクチャ。ギアはパーキングにしていたようだが、サイドブレーキが甘かったのか。私たちは言葉が出なかった。ケガ人がいなかったのが、不幸中の幸いだった。
ペアレントさんが、徒歩組をこのバンで由布院駅前まで送ってくれる。近場の運転なら問題はないようだ。
私はきょう、ここ湯布院で1日を過ごす。行動範囲が狭いから余裕の観光なのだが、私もお言葉に甘えて、バンに乗った。
乗客はほかに、40歳代と思しき女性2人と青年、それにペアレントさんのご長男。保育園(幼稚園)への送迎を兼ねているのだ。
車中では、長男クンが
「クルマをかえばいいよ」
とか言っている。たしかにそうなのだが、コトはそう簡単ではない。大人の世界は難しいのだ。
駅に着いた。半分放心状態になっているペアレントさんとはここでお別れ。最後はアレだったが、昨夕からの半日で、とてもいい思い出ができた。次に湯布院を訪れるときは、このユースホステルにまたお世話になろうと思う。
きのうは快晴だったが、きょうは天気が悪く、由布岳は山の中腹あたりから雲をかぶっていた。いずれ雨が降るのは必定で、天気運の悪さを思う。
バスセンターのコインロッカーに荷物を預け、とりあえず金鱗湖へ向かう。その途中に食事処や土産物屋が林立し、飽きない。この辺りは、東京・原宿の竹下通りに雰囲気が似ていると思う。人力車のオニイサンが、
「湯布院を観光するなら、向こう側のエリアが湯布院らしくていいですよ。旅番組のロケもだいたいそこですし」
と親切に教えてくれる。ありがたいことだが、人力車には乗らない。ひとりで乗る人力車ほど虚しいものはない。
その横の公園に、蒸気機関車が留め置かれていた。
近づいてみると、かなり老朽化しているが、紛れもない「D51」である。湯布院と蒸気機関車のイメージが合わないが、とりあえず写真を撮った。
本格的に雨が降ってきた。初日も雨、最終日も雨。まったくイヤになる。
土産物屋をひやかして、金鱗湖に着く。金鱗湖を訪れるのは3回目か。いつも思うのだが、湖というより、池に見える。
曜日の感覚がないが、きょう6日は平日なので、郵便局で貯金をしなければならない。駅前の郵便局では以前したことがあるので、今回は県道11号線近くにある郵便局にする。
駅の観光案内所でもらった由布院マップを片手に、ぶらぶら歩く。いまは雨が止んでいるが、また降りだすだろう。きょうは1日雨傘を手放せそうにない。
郵便局が見えてきた。東石松簡易郵便局。簡易郵便局は「歩合い」があると聞いたことがある。私の貯金が簡易郵便局の存続の一助になればうれしい。5月6日なので、506円を貯金した。
県道11号に出ると、道沿いに「彩岳館」があった。今朝読んだガイドブックに出ていた旅館で、ここで2,100円のランチを摂ると、温泉に無料で入れるらしい。ちなみに1,200円のランチだと、入浴料を600円取られる。
フロントに行くと、現在震災復興応援キャンペーンで、入浴料が半額の300円だという。これは温泉のみに入る一手だ。
温泉は露天風呂が広く、眼下に湯布院の街並みが一望できた。これほど見晴らしのいい露天風呂は、入ったことがない。「いい旅夢気分」の温泉ロケに使えそうだ。
この露天風呂に似合うのは、船戸陽子女流二段だろうか。いや、彼女はもう少し野性的な露天風呂が似合う。では中倉宏美女流二段か。彼女はもう少ししっとりした雰囲気の露天風呂がいい。彩岳館の露天風呂は、ちょっと都会的な、アカぬけた雰囲気があるのだ。
ここは中倉彰子女流初段がよい。ピュアピュアな中倉女流初段が、湯布院の街並みをバックにしっとりと入浴する姿は、一幅の絵になると思った。
温泉から上がり、迷ったが、やっぱり昼食もここで摂る。必然的に1,200円のランチ「湯葉と地野菜の天丼御膳」になったが、美味だった。今回の旅では私らしくなく、豪華な昼食が多かった。
近くの神社でまたご朱印をもらい、再び金鱗湖方面へ戻る。東京へは大分空港20時00分発のANAを予約している。湯布院からは大分空港への直行バスがあり、17時55分の便に乗ればよいから、まだまだ余裕だ。
十割そばを食べさせる店があった。今回の旅行では、まだ日本そばを食していないので、入る。一つ盛り半(840円)を注文すると、店のおかみさんが、
「今日は福井県産のそば粉を使っております」
と言った。
出てきたそばは、十割にもかかわらず、コシがあって、美味だった。ただ、いかにも量が少なく、W氏だったら、
「これ、一つ盛り半?」
と訊いたことだろう。
路地を一本入ったところに、しゃれた喫茶店があるので、入る。何かケーキを…と思ったら、コーヒーとジュースの類しかなかった。
ブレンドコーヒーが500円だが、最後はもうちょっと高いコーヒーを奮発したい。700円の、スマトラマンデリンを注文してみた。
この店のマスターはコーヒーが大好きらしい。コーヒー教室の生徒と思しき女性2人に、コーヒーの淹れ方の講習をしている。
テーブルの上には、「旅の一口ノート」が置いてある。中を繰ってみると、味わい深い書き込みがある。
「大好きな人と大好きなコーヒーを飲んでいると、とても幸せな気分になりますよ」
と、これはある女性の書き込み。なかなかの名文と思う。
マンデリンが運ばれてきた。コーヒーの味は分からぬが、まず香りを楽しみ、ブラックで一口すする。うまい、と思う。と、マスターが生徒さんに、
「マンデリンを頼む人は通が多い…」
とか言っている。
マンデリン…? それは私の頼んだコーヒーではないか。いやまいった…私はコーヒー通なのか。これでは、砂糖とミルクを入れづらくなってしまった。
しかしブラックに堪え切れず、マスターの目を盗んで、砂糖だけ入れる。なんでコーヒーを飲むだけで、こんなに緊張しなければならないのだろう。
喫茶店を出たが、まだ時間はある。シャガール美術館に入ってみる。割引券を使い、入館料は500円だったが、私にはちょっと高かった。
雨は降ったりやんだり。まったくいまいましい。
箸の専門店があったので入ってみる。名入れの無料サービスがある。一膳だけ買い、「陽子」と名前を入れてもらう。女性店員に
「お母様ですか?」
と聞かれるが、答えに窮した。片想いのひとです、と言えばよかったか。
午後5時、由布院バスセンターに着く。今旅行で19本目になるバスの発車時間まで、あと1時間足らずだ。長かったような短かったような2011年九州旅行も、あと数時間で終わる。私は待合室のベンチに座ると静かに目をつぶり、8日間の数々の出来事を思い出していた。
(終わり)
コメント (2)
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