一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

十五たび大野教室に行く(後編)

2011-12-13 00:14:07 | 大野教室
思わぬ事態になったが、そこで将棋を終えるのは味がわるい。将棋は時間切れで勝っても、うれしくないものだ。私は継続を申し出る。しかしIs氏は潔く、そのまま投了した。
感想戦では、終了局面で私の有利、という結論になったが、まだ恐いところもある。実戦ではどう転んでいたか分からなかった。
Hon氏は相変わらず、Ue氏とFuj氏の研究を覗きこんでいる。大野八一雄七段が再び誘い、ようやっと指導対局の席に着いた。
私も大野七段に、もう一局指導をお願いする。同じ棋士に1日に2回もお願いするのは気がひけるし、早晩「一日一指導対局」にシステムが変わるかもしれないが、それまでは大野七段のご厚意に甘えようと思っている。
今度は私の三間飛車。大野七段は金銀を5~7筋に集め、王も△6二に上がり、万全の構えだ。こうやって全力で守られると、下手も手出しができない。そもそも私の、角落ちに対する振り飛車の指し方がなっていないのだ。Kun氏などは振り飛車でうまく捌くが、その辺の呼吸が私はうまくない。
私は▲5八飛と振り直し、5筋の歩を交換する。しかし△8六歩から△8八歩とされ、香損となった。こちらも上手の金を取ったが、桂も損したので、金と桂香の二枚換えで下手がわるい。ここからは上手に、力でねじ伏せられた。
どうもいけない。大野七段との2局目は、いつも決まって惨敗になる。やはり1局目で、全精力を使い果たしてしまうのだろうか。
Kaz氏が来た。きょうは将棋を指さないが、大野七段の焼肉パーティー参加のためである。Kaz氏も多忙を極めているはずだが、人間その気になれば、時間を作れるものだ。
「忙しい、は心を亡くす、と書きます。日頃から忙しい忙しいと言っている人は、実はそんなに忙しくない。何もしないことへの、自分への言い訳をしているにすぎないのです」
は、私が敬愛する長崎県の喫茶店のマスターの言葉である。
焼肉パーティーに、中井広恵女流六段が参加するとの報告があった。これはうれしい。
もう午後6時である。しかし私たちは、まだ将棋を指す。5局目はKun氏と。Kun氏の将棋は攻めが鋭く、序・中・終盤すべてに穴がない。たまに私が勝つことがあっても、終盤でドキリとさせる手が必ずあり、一時も気が抜けない。容易ならざる難敵である。
時間がないので、「5分・30秒」である。振り駒で私の先手。お互い飛車先の歩を交換し、私は▲2八飛と引いた。と、
「また引くのかあ」
とKun氏がのけぞった。最近Kun氏は後手番で、相掛かり模様の将棋を好んで指しているのだが、先手氏は横歩を取らず、決まって飛車を引くのだという。そこで、
「横歩も取れない男に負けられるか」
が、Kun氏の口グセになっていた。
だがKun氏は、横歩を取らせての△3三桂から、右側に玉を囲っての捌きが巧妙なのだ。飛車角総交換の相横歩取りなら私も望むところだが、「△3三桂」はKun氏の土俵だ。いささか気合に欠けるが、私も▲2八飛と引かざるを得ないのだった。
その後は相居飛車の将棋になったが、私は▲2四歩と合わせ、▲2六飛と引く。しかし▲2六飛では▲3四飛と横歩を取って△3二の金取りに当てるところで、本譜はあまりおもしろくなかった。
それでも私はタテ歩取りに出て、▲3四飛と歩をかすめ取る。ここでKun氏が△4一王と寄らず、△3三角と上がったのがマズかった。
Kun氏、△8四銀と立つ。私は▲8五歩。Kun氏は銀桂換わりを覚悟で△8五同銀と取るつもりだったが、それは▲8三歩△同飛▲8四歩△8二飛▲8五桂と、銀をボロッと取られてしまう。この時、△3二金が浮いているので△9九角成と香を取れないのが、△3三角の罪なのだ。
Kun氏は泣きの涙で△9三銀だが、この退却は大誤算だった。
ただそれはそれで、以下もかなりむずかしい戦いだったのだが、最後は私に指運があり、ギリギリ一手勝ちとなった。
これで本日の将棋は終了。きょうの成績を、大野七段がみんなに聞いて回る。私が
「3勝2敗です。大野先生に2回負けて、棋友に3回勝ちました」
と言うと、いつものパターンだね、と誰かがまぜっ返した。
そして、私の「大野教室2011年」もこれで終了した。まだ17(土)、18日(日)も残っているが、その日私は、長崎でひとり旅を満喫している。
今年は3月6日(日)に初参加、「植山教室」「大野カウンセリング教室」を含め、19回お邪魔した。成績は、対大野七段が4勝19敗、対植山悦行七段が2勝7敗だった。来年も何回かお邪魔すると思うが、もう少し成績を上げたいと思う。
時刻は6時半を過ぎた。あとは中井女流六段の到着を待って、焼肉パーティー会場へ直行、という算段である。しかし中井女流六段の到着が遅い。と、W氏が、
「ボクたちは先に焼肉屋へ行ってるから、大沢さんは中井先生とふたりで来てよ」
と言った。
ええっ…!? 私は妙に緊張した。
コメント
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