目の前のパソコンからGooにログインができなくても、スマホがあれば更新はできるじゃないか、と考える人もいるだろう。しかしスマホでの文字入力はすこぶる面倒である。タッチパネルが小さいから打ち間違いが多いし、文章の全体も見えないので、推敲がしづらい。2,000字にもおよぶ文章をチマチマ書いていたら、それだけで夜が明けてしまう。
私はとりあえずシャワーを浴びたあと、再びログインを試みるが、やっぱりダメだ。もう諦めて眠るしかないが、最近ハマっている投稿動画でエロビデオを観始めたら、目がさえて眠れなくなってしまった。
時は16日(金)午前3時である。さすがに寝なくちゃヤバイだろう、と横になるが、床下がブー…と微妙に振動しており、内臓にジンジン響く。
寝るのを諦めて、また動画を観る。5時半になった。ダメもとでログインしてみる。入った! これでブログが書ける…。私はキーボードを叩く。心臓がバクバクいっているが、大丈夫だろうか。しかし、こんなにまでして書くブログに、何の意味があるのだろうと思う。
7時すぎ、ようやくきょうの分をアップする。これで一安心だ。1時間ほど経ち、店を出ることにする。と、フロント前のエレベーターで、ブーッ、と音がした。別の客が背負っている大きなバッグから発せられたものだ。
フロント氏が客を呼びとめる。バッグの中にはマンガが入っているのであろう。あの男、やりやがったな…。
さてきょうの予定は、熊本まで行くことである。鹿児島-熊本のルートは、1.九州新幹線を利用する。2.鹿児島本線と肥薩おれんじ鉄道を利用する。3.鹿児島本線と肥薩線を利用する。4.鹿児島県の内陸部をバスで縦断する。などがある。
まず、1の新幹線は味気ないので却下。2と3も、もう何回も利用しているので却下。考えていたのは3のプランに「くま川鉄道・おとがめ幸福駅に挨拶する」を加えたものだが、それだと5時38分に鹿児島中央を出なければならず、これも見送りとせざるを得ない。
必然的に、4のバスを選択する。これで旧宮之城駅へ行こうと思う。宮之城は、昭和62年に廃止になった旧宮之城線の主要駅で、いつか訪れたいと思っていた。今年のゴールデン・ウイークも目論んだが、バスの時間が合わず断念していた。
鹿児島中央駅に着き、バス停で時間を確認すると、9時34分発があった。九州内で使用するきっぷをどれにするか迷っていたが、バス利用となれば、「SUN Qパス」がよい。九州内のほとんどのバスに乗車できるスグレモノで、3日間タイプで10,000円、4日間タイプで14,000円である。
駅前のバスターミナルに寄り、3日用のパスを買う。今回の旅行で、どのくらいこのパスを使いこなせるかがカギとなる。
駅前で朝食用の弁当を買い、宮之城行きの7番のりばへ向かう。と、数十人ものファッショナブルな女性が、ズラーッとバス待ちをしていた。これは何だ!? 数えてみると34人もいる。同じ7番のりばには女子高行きのバスもあったが、その生徒だろうか。きょうは平日である。
しかし、彼女らが女子高生とは思われない。あまりにも大人びている。と、彼女らは次に来たバスに乗って、行ってしまった。彼女たちは何者だったのだろう。
宮之城行きのJRバスが来る。乗客は数人である。バスにしろローカル線にしろ、未乗の区間に乗るのはワクワクする。車内で朝食を摂り、眠たいが、せいぜい目をこらして、両の景色を満喫する。
11時06分、定刻より1分早く、バスは宮之城駅に着いた。ずいぶん立派な駅舎が遺っているが、あれは現役当時のものだろうか。
駅の裏手にある、郵便局に入る。
「ここの郵便局のハンコを押してください」
「あああ、なるほど」
の会話。宮之城郵便局、1,216円。年末の旅行貯金は、金額が高い。ちなみに年始の1月4日がいちばん安く、104円で済む。
宮之城駅に戻って、廃線跡の痕跡を探すが、駅名標とレールが申し訳程度に遺されているのみだ。しかし…宮之城は終着駅だったと思うが、ちょっと位置関係がヘンだ。怪訝に思い、観光案内所のオバチャンに話を聞くと、前を走っている国道が線路だったという。おおそうなのか! これが廃線跡かと思うと、ただの国道も味わい深くなってきた。
オバチャンの話からさらに、宮之城は、鹿児島本線川内(せんだい)-旧山野線薩摩大口の中間駅だったことが分かった。私は九州の廃線データには疎く、所詮この程度の知識である。しかし私は、当然それは知っています、という顔で聞く。現宮之城駅舎も、廃止後に建て替えられたものだという。
オバチャンも宮之城線の利用者で、現役時代の話を興味深く拝聴した。
12時36分発の南国バスで、大口に向かう。鹿児島中央駅での調べでは、大口からは熊本県・水俣行きのバスがうまく接続しており、温泉に一浴する余裕もあった。しかし12時36分? そうだったかな、と思う。
バスはマイクロバスで、20人乗りだった。乗客もふたりか3人で、これでは宮之城線廃止もやむを得ないと思う。
13時40分、大口バスターミナルに着く。私が大口を訪れるのは2度目。薩摩大口駅は山野線の代表駅で、昭和63年廃線時の代替バスでは、1台のバスでは乗り切れないほどの乗客があったという。
すぐ次の乗り継ぎを確認する。と、10数分前に水俣行きのバスが出ており、次は15時57分である。そうなのか!? そんなに待ち時間があったか?
よく分からないが、まあいい。まずは遅い昼食である。薩摩大口駅の跡地に立派なコミュニティーセンターが建ち、その中に軽食喫茶がある。そこで昼食を摂った。
腹もくちたが、まだ待ち時間はある。2階では、地元の人による美術展が催されていた。もちろん無料で、旅先ではこうしたパターンがままある。
絵画を鑑賞し終えると、オバチャンに記名を促される。住所に「東京」と書くと大抵驚かれるが、今回もそうだ。旅行の目的を聞かれ、「毎年長崎を訪れることにしてまして…」と言うと、不審そうだった。「長崎県の喫茶店でマジックショーを観るため」とか加えたら、よけい話がややこしくなるので、以下を略しておく。
このオバチャンも山野線の愛用者だったという。目の前の道路が線路跡で、その近くに、通っていた高校があると言った。宮之城線と同じパターンで、こちらも道路に転用されていた。廃線跡の活用法はいろいろあるが、捨て置かれて草ボウボウになるよりいいのだろう。
どこか温泉にでも入りたいが、付近にその類の施設はないらしい。私は表に出るが、なんと雨が降ってきた。私は雨男だから、これは織り込み済みである。どこか喫茶店に入りたいが、めぼしいところがない。
? 雨が雪に変わってきた。冬とはいえ、ここは鹿児島だぞ、まったく。
私はまたもコミュニティーセンターに戻る。2階に図書館があったので、そこで時間をつぶす。板谷進八段著の「駒落ち戦法」(筑摩書房)があったので、読む。なんで旅に出てまで将棋なのだ。
しかし中を見るとおもしろく、角落ちの指し方が参考になった。次に大野八一雄七段に教えてもらうときは、この指し方を拝借しよう。
大口バスターミナルに戻る、待合室で時刻表を見ると、「平成23年11月1日改正」とあった。チッ、これでは最新の時刻表にも記載されてないわけだ。まったく、間がわるかった。
15時57分、私は水俣行きのバスに乗った。
(つづく)
私はとりあえずシャワーを浴びたあと、再びログインを試みるが、やっぱりダメだ。もう諦めて眠るしかないが、最近ハマっている投稿動画でエロビデオを観始めたら、目がさえて眠れなくなってしまった。
時は16日(金)午前3時である。さすがに寝なくちゃヤバイだろう、と横になるが、床下がブー…と微妙に振動しており、内臓にジンジン響く。
寝るのを諦めて、また動画を観る。5時半になった。ダメもとでログインしてみる。入った! これでブログが書ける…。私はキーボードを叩く。心臓がバクバクいっているが、大丈夫だろうか。しかし、こんなにまでして書くブログに、何の意味があるのだろうと思う。
7時すぎ、ようやくきょうの分をアップする。これで一安心だ。1時間ほど経ち、店を出ることにする。と、フロント前のエレベーターで、ブーッ、と音がした。別の客が背負っている大きなバッグから発せられたものだ。
フロント氏が客を呼びとめる。バッグの中にはマンガが入っているのであろう。あの男、やりやがったな…。
さてきょうの予定は、熊本まで行くことである。鹿児島-熊本のルートは、1.九州新幹線を利用する。2.鹿児島本線と肥薩おれんじ鉄道を利用する。3.鹿児島本線と肥薩線を利用する。4.鹿児島県の内陸部をバスで縦断する。などがある。
まず、1の新幹線は味気ないので却下。2と3も、もう何回も利用しているので却下。考えていたのは3のプランに「くま川鉄道・おとがめ幸福駅に挨拶する」を加えたものだが、それだと5時38分に鹿児島中央を出なければならず、これも見送りとせざるを得ない。
必然的に、4のバスを選択する。これで旧宮之城駅へ行こうと思う。宮之城は、昭和62年に廃止になった旧宮之城線の主要駅で、いつか訪れたいと思っていた。今年のゴールデン・ウイークも目論んだが、バスの時間が合わず断念していた。
鹿児島中央駅に着き、バス停で時間を確認すると、9時34分発があった。九州内で使用するきっぷをどれにするか迷っていたが、バス利用となれば、「SUN Qパス」がよい。九州内のほとんどのバスに乗車できるスグレモノで、3日間タイプで10,000円、4日間タイプで14,000円である。
駅前のバスターミナルに寄り、3日用のパスを買う。今回の旅行で、どのくらいこのパスを使いこなせるかがカギとなる。
駅前で朝食用の弁当を買い、宮之城行きの7番のりばへ向かう。と、数十人ものファッショナブルな女性が、ズラーッとバス待ちをしていた。これは何だ!? 数えてみると34人もいる。同じ7番のりばには女子高行きのバスもあったが、その生徒だろうか。きょうは平日である。
しかし、彼女らが女子高生とは思われない。あまりにも大人びている。と、彼女らは次に来たバスに乗って、行ってしまった。彼女たちは何者だったのだろう。
宮之城行きのJRバスが来る。乗客は数人である。バスにしろローカル線にしろ、未乗の区間に乗るのはワクワクする。車内で朝食を摂り、眠たいが、せいぜい目をこらして、両の景色を満喫する。
11時06分、定刻より1分早く、バスは宮之城駅に着いた。ずいぶん立派な駅舎が遺っているが、あれは現役当時のものだろうか。
駅の裏手にある、郵便局に入る。
「ここの郵便局のハンコを押してください」
「あああ、なるほど」
の会話。宮之城郵便局、1,216円。年末の旅行貯金は、金額が高い。ちなみに年始の1月4日がいちばん安く、104円で済む。
宮之城駅に戻って、廃線跡の痕跡を探すが、駅名標とレールが申し訳程度に遺されているのみだ。しかし…宮之城は終着駅だったと思うが、ちょっと位置関係がヘンだ。怪訝に思い、観光案内所のオバチャンに話を聞くと、前を走っている国道が線路だったという。おおそうなのか! これが廃線跡かと思うと、ただの国道も味わい深くなってきた。
オバチャンの話からさらに、宮之城は、鹿児島本線川内(せんだい)-旧山野線薩摩大口の中間駅だったことが分かった。私は九州の廃線データには疎く、所詮この程度の知識である。しかし私は、当然それは知っています、という顔で聞く。現宮之城駅舎も、廃止後に建て替えられたものだという。
オバチャンも宮之城線の利用者で、現役時代の話を興味深く拝聴した。
12時36分発の南国バスで、大口に向かう。鹿児島中央駅での調べでは、大口からは熊本県・水俣行きのバスがうまく接続しており、温泉に一浴する余裕もあった。しかし12時36分? そうだったかな、と思う。
バスはマイクロバスで、20人乗りだった。乗客もふたりか3人で、これでは宮之城線廃止もやむを得ないと思う。
13時40分、大口バスターミナルに着く。私が大口を訪れるのは2度目。薩摩大口駅は山野線の代表駅で、昭和63年廃線時の代替バスでは、1台のバスでは乗り切れないほどの乗客があったという。
すぐ次の乗り継ぎを確認する。と、10数分前に水俣行きのバスが出ており、次は15時57分である。そうなのか!? そんなに待ち時間があったか?
よく分からないが、まあいい。まずは遅い昼食である。薩摩大口駅の跡地に立派なコミュニティーセンターが建ち、その中に軽食喫茶がある。そこで昼食を摂った。
腹もくちたが、まだ待ち時間はある。2階では、地元の人による美術展が催されていた。もちろん無料で、旅先ではこうしたパターンがままある。
絵画を鑑賞し終えると、オバチャンに記名を促される。住所に「東京」と書くと大抵驚かれるが、今回もそうだ。旅行の目的を聞かれ、「毎年長崎を訪れることにしてまして…」と言うと、不審そうだった。「長崎県の喫茶店でマジックショーを観るため」とか加えたら、よけい話がややこしくなるので、以下を略しておく。
このオバチャンも山野線の愛用者だったという。目の前の道路が線路跡で、その近くに、通っていた高校があると言った。宮之城線と同じパターンで、こちらも道路に転用されていた。廃線跡の活用法はいろいろあるが、捨て置かれて草ボウボウになるよりいいのだろう。
どこか温泉にでも入りたいが、付近にその類の施設はないらしい。私は表に出るが、なんと雨が降ってきた。私は雨男だから、これは織り込み済みである。どこか喫茶店に入りたいが、めぼしいところがない。
? 雨が雪に変わってきた。冬とはいえ、ここは鹿児島だぞ、まったく。
私はまたもコミュニティーセンターに戻る。2階に図書館があったので、そこで時間をつぶす。板谷進八段著の「駒落ち戦法」(筑摩書房)があったので、読む。なんで旅に出てまで将棋なのだ。
しかし中を見るとおもしろく、角落ちの指し方が参考になった。次に大野八一雄七段に教えてもらうときは、この指し方を拝借しよう。
大口バスターミナルに戻る、待合室で時刻表を見ると、「平成23年11月1日改正」とあった。チッ、これでは最新の時刻表にも記載されてないわけだ。まったく、間がわるかった。
15時57分、私は水俣行きのバスに乗った。
(つづく)