一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

二十二たび大野教室に行く(中編)・W氏、会心の指し回し

2012-03-09 00:07:31 | 大野教室
パソコンのメール機能は、「セーフモード」でなら見ることができるが、いかにも不便だ。それとは別に、データの削除ができないことも判明した。「ごみ箱」には入るが、そこで半フリーズ状態になってしまうのだ。
「ピクチャ」の新規フォルダも作れないことも判明した。どこかのシステムが壊れたのだろう。
もはやパソコン自体をリカバリするしかないのか。めんどうだなあ…。
このストレスは凄まじい。あーもう、疲れた。

(きのうのつづき)
きょうは棋王戦第3局(久保利明棋王×郷田真隆九段)と天河戦第1局(中井広恵天河×石橋幸緒女流四段)が行われている。日曜日にタイトル戦が行われ、それをパソコンで観戦できるとは、いい時代になったものだ。
天河戦が終わったようなので、再生してみる。中井天河の快勝だった。石橋女流四段の意欲的な指し方が空回りしたようで、中井天河の自然な指し回しが光った。
大野八一雄七段の弟子の、M君が来た。M君は大野教室生徒の期待の星で、私はかつて2局教えていただいたが、いずれも軽く吹っ飛ばされた。しかし彼の奨励会の成績はいまひとつだ。もっと自分に自信を持てば、すぐに昇級できると思うのだが…。
休む間もなく、3局目はHo君と。きのうに続いて連戦である。W氏の指示で、きょうは振り駒。
Ho君の四間飛車に、私は居飛車穴熊を選択した。絶対負けたくない意の表れだが、私が穴熊を指すとは…。軽い自己嫌悪に陥った。
穴熊は固いには固いが、駒が偏るので指し方が難しい。後手に△4五歩から△4四飛~△3四飛と石田流にスイッチされ、先手からは手出しが出来なくなってしまった。
私は▲1八香と上がり千日手も覚悟したが、Ho君が△8三銀と上がったので、▲2四歩~▲6五歩と開戦する。
数手進んで、私▲1五歩、2六飛 持駒角、Ho君△2四歩、3四飛、4三銀の局面で、私は▲1六角と打つ。これに△2五角の合わせもあったが、Ho君は△4四飛。以下▲4三角成△同飛▲2四飛として、角銀交換の駒損ながら、やや指し易くなったと思った。
ここからの攻防は見応えがあり、かなり難しいところがあったが、最後は際どく、私の一手勝ちとなった。
容易に王手が掛からない穴熊はやはり強い。これでは女流棋界に穴熊中毒が蔓延するのも分かる気がする。
棋王戦は郷田九段が勝ったようだ。久保棋王は2日前のA級順位戦で陥落、きょう放送のNHK杯でも敗退した。王将戦もカド番に追い込まれており、最悪の状態であろう。久保ファンのW氏の落胆が痛々しい。
盤のひとつには、そのNHK杯で出現した終盤の局面が再現されている。久保棋王が△7三銀と受けたのが大ポカで、▲同角成で終わってしまった。
そこで、△7三銀と打たずに先手玉を詰ましに行けばどうだったか? と研究しているようだ。大野教室もジョナ研と同じく、将棋バカが多い。
そういえばきょうは、2週間前に初来席した「妙齢の美女」の姿がない。まあそうだろうな、と思う。あまり期待せずに、次回を待ちたい。
時間は午後6時を回っているが、Hon氏がヒマそうだったので、Hon氏と対局する。
Hon氏のノーマル四間飛車に、私は▲5七銀左。▲3五歩△同歩▲4六銀△3六歩▲3五銀△4五歩▲3三角成△同銀▲8八角、と昔懐かしい形に進む。
ここでHon氏の放った△5四角が、定跡とはいえ好手だった。
私は▲2四歩と攻めたが、冷静に受けられ二の矢がない。半分破れかぶれで指し手を続けるが、これは負けたと思った。
向こう側では、植山悦行七段がW氏とSat氏に指導対局を行っている。W氏はきょう何局目の将棋だろう。彼はこんなに将棋が好きだったろうか。
将棋はどちらもいい勝負のようだ。プロとアマの棋力差は大きく、プロはどんなに駒を落としても、最後は必ず勝つ。そこでプロは、アマに気づかれることなく巧妙に緩め、ときには下手(客)に勝ちを譲るのだ。これぞプロの至芸と思う。
私の将棋はいよいよ苦しい。だが今度はHon氏が、お返しの無理攻め。私が息を吹き返してしまった。
最後は私の一手勝ち。しかし内容は完全に私の負けだった。
植山七段の指導対局は、W氏とSat氏が勝ったようである。W氏、きょうはずいぶん将棋を指していたが、スタッフ仕事のほうは大丈夫なのだろうか。
W氏の内容がよかったとのことで、その将棋を見せていただく。
植山七段△1一香、3三桂、4三金、6三銀、7二王、7三桂 持駒銀…、W氏▲3七金、8八角 持駒角、金、歩…の局面で、まず▲5一角△6二銀。ここでW氏の放った▲4四歩が好手だった。
△5一銀なら▲4三歩成で、角は取られてもと金が残り下手よし。▲4四歩で▲3三角引成△同金▲同角成はウソ手で、それは上手にもチャンスを与える。黙って▲4四歩がいいのである。
本譜は△5一銀▲4三歩成△2五桂となったが、ここで▲4四角と飛び出したのがまたまた好手。欲を出して▲1一角成としないところがニクイ。ここは△7二王に照準をつけるのが本手だ。以下、下手の快勝となった。
そんなW氏は現在、アマ1級である。生徒の棋力判定に厳しい植山七段、こんな完敗を喫してはさすがに、アマ初段を認定するしかなかった。
ところがW氏、お断りします! と断乎拒否である。「アマ1級」の居心地がいいようなのだ。しかしその気持ち、分からぬでもない。
彼がアマ1級で留まっているおかげで、私たちの段級認定もカラくなり、ピシッと引き締まったものになっている。
しかしW氏は充実している。今年は何か、期するものがあるようだ。
もう1局、植山-Sat戦は、感想戦が終わってSat氏が帰った後も、植山七段が研究を続けていた。
私は盤側に座って拝見するが、この終盤がすこぶる面白い。シンプルな局面に複雑な変化がいくつも内包されていて、W氏にHon氏も加わり、にぎやかな研究会となった。
(つづく)
コメント (8)
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