一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

二十三たび大野教室に行く(中編)・前代未聞!逆多面指し

2012-03-22 00:08:40 | 大野教室
右ではW氏が、中井広恵女流六段に指導を受けていた。スタッフのW氏、ふつうに将棋を指しているが、これでは一般生徒と同じではないか。
私は中井女流六段と対局開始。きょうは誕生日スペシャルとして、全棋譜を載せてみよう。

上手(後手)・中井女流六段
下手(先手)・一公
▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△7二銀▲9六歩△9四歩▲7六歩△8六歩▲同歩△同飛▲7七桂△3四歩
▲3六飛△4四角▲4八玉△3五歩▲4六飛△4二銀▲9五歩△8七歩▲9七角△8四飛▲8五歩△8二飛▲4四飛△同歩▲6五桂△5二王▲2二歩△3三桂▲2一歩成△8五飛
▲1一と△6五飛▲2一角△4三銀▲1二と△3一金
まで、46手で中井女流六段の勝ち。

中井女流六段に教えていただくのは、昨年11月の将棋合宿以来。本局はひねり飛車の作戦を採った。ひねり飛車は私の好きな戦法である。
▲3六飛のタテ歩取りに、中井女流六段は△4四角だが、ここで▲4八玉が後悔した一手。精神的な敗着といってよい。ここは▲3四同飛と歩を取りたかった。
感想戦では、△8七歩▲9七角△7六飛が示された。以下▲4四飛△同歩▲5三角成は、△5六歩▲5四馬△7四飛で下手悪そうだ。よって△7六飛には▲8七金として、一局の将棋か。
△8七歩で△3五歩も示されたが、▲4四飛△同歩▲6五桂△4二銀▲4四角△2四飛▲7七角打△8九飛成▲2八歩で、これもむずかしい戦いとなる。
以上冷静に分析すれば、▲3四飛と歩を取らず▲4八玉は立派な手で、中井女流六段もこの手を推していたのだが、私は▲3四同飛と踏み込むべき、と最後まで譲らなかった。
本譜に戻り、▲4六飛に△4二銀と備えられ、私はやむなく▲9五歩。もし△同歩なら▲9二歩△同香▲4四飛△同歩▲6五角で下手優勢だが、この順が実現するわけがなく、イヤイヤの突っかけだった。しかし中井女流六段は、機敏な仕掛けをされて困ったという。つまりお互いが不利と思っていたわけだ。
ちなみに私の中井女流六段との成績は、この前まで平手1勝13敗である。まあ当然といえば当然なのだが、これだけ負けが込むと、いつも形勢判断が悲観的になってしまうものなのだ。本局も、△3五歩▲4六飛を利かされてからは、勝てる気が失せていた。
▲6五桂に△5二王が、見落としていた手。ここは△4三金の一手と読み、そこで▲3二角で下手おもしろい、と考えていたのだからお話にならない。
私は▲2二歩だが、証文の出し遅れ。▲6五桂の前に利かすべきだった。
▲2一角から▲1二とに、中井女流六段は△3一金。これで角が死んで、いまはこれまでと私は投了した。
早い投了にみんなが驚いたが、私が戦意喪失してしまったのだからしょうがない。私の年齢に合わせた、46手の終了だった。
感想戦を聞きにきたHis氏は、
「大沢さんは中盤で投げちゃうことがあるからね…」
と述べた。大野八一雄七段が投了以降を指し継いでみたが、中井女流六段は自信があったとのこと。
ハァ…。せっかく中井女流六段に教えていただいたのに不甲斐ない将棋で、情けなかった。
W氏の指導対局は、途中から感想戦に代わっていた。W氏は会話をしながら指すことがあるので、いつの間にか感想戦になっていることがある。
教室の終了時間はとうに過ぎているのだが、まだ私たちはまだ粘る。
Hanaちゃんが、実戦詰将棋を出してくれた。ウンウン唸っていると、その隣で大野七段が駒を並べ始める。私には、大野七段が何をしようとしているか分かった。先日の王将戦、野月浩貴七段との一戦を並べてくれるのである。
この将棋、大野七段が終始うまく指したのに、逆転負けしたと聞いていた。今回大野七段の解説を拝聴するとまさにその通りで、ああ指しても勝ち、こう指しても勝ち、という場面が随所に出てくる。
ところが終盤時間に追われ、「ふたりがかり」で、急転直下、野月七段の大逆転勝ちで終わった。
大野先生…。私たちに指導するときは厳しいのに、どうして公式戦では乱れてしまうのだろう。ここが実戦の恐さか。対局相手を私たちと思えばいいのに。
Hanaちゃんはまだ帰らないようだ。そこで彼女と指すことになったが、Minamiちゃんも手空きだったので、私が2面指しをすることにした。将来の美女と2面指しとは、こちらが恐縮してしまう。
いつも大野七段が座っているところに私が座る。地位がヒトを造るというが、なんだか自分がプロになった気分だ。
多面指しは、LPSA駒込サロン時代に、高校生相手に2面指しをしたことがあるが、頭の中がぐるぐる回って、とても将棋にならなかった。まあ今回も、だましだましやるしかない。
…と、大野七段と植山悦行七段もその仲間に加わってきた。それぞれHanaちゃんとMinamiちゃんの横に座る。
バ、バカな! 私が誕生日なので、プロ相手に逆多面指しという趣向らしいが、それは困る。
おふたりとも悪ふざけがすぎますぞ…と私は辞退したが、両プロともやる気満々である。W氏も、それブログ用の写真に撮りますから、と乗り気だ。
大変なことになったが、じゃあ…と駒を並べ、4局同時に対局開始となった。席の配置を詳細に書くと、左から大野七段、Hanaちゃん、Minamiちゃん、植山七段である。それぞれ私の先手、先手、二枚落ち、先手の手合い。
W氏が写真撮影を終わり、これでプロのおふたりにはお引き取り願おう…と思いきや、おふたりともそのまま指し手を続けている。
マジか…。もうなるようになれ、と、私もそのまま指し継ぐことにした。
(つづく)
コメント (2)
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