一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

3月23日のLPSA芝浦サロン・愛

2012-03-25 00:06:33 | LPSA芝浦サロン
23日(金)は久しぶりに、LPSA芝浦サロンに出かけることにした。担当は渡部愛ツアー女子プロ。愛ちゃんは今月高校を卒業した。私は「女子高生」である愛ちゃんに大きな価値を見出していたので、「ふつう」の愛ちゃんに指導対局を仰ぐのは抵抗がある。しかし彼女は、今月中は女子高生であると考え、私は芝浦に向かった。
5時50分、芝浦サロンに入る。前回訪れたのが昨年12月2日(金)の松尾香織女流初段の回だったから、約3か月半ぶりとなる。
愛ちゃんは新規と思しき男性に指導対局中。奥ではHis氏が別のお客さんと、二枚落ちの対局をせんとしていた。手合い係は大庭美樹女流初段だった。
「さっきまでRさんがいたよ」
とHis氏。R氏、もう駒込に向かったらしい。そう、きょうはジョナ研もあるのだ。将棋オタクはなかなか忙しい。
しかしいまからジョナサンに入っても、6時半にもならない。ジョナ研は12時近くまで行われるので、私だったら愛ちゃんとおかわり対局を指すところだ。
ナマ愛ちゃんを見るのは久しぶりで、考えてみたら昨年7月、マイナビ女子オープンの一斉公開対局で拝見して以来だ。
当時「まな」といえば、渡部愛を指していた。しかしこの前後に芦田愛菜ちゃんが大ブレークし、日本で「まな」といえば芦田愛菜ちゃんになってしまった。ここは一番、本家まなちゃんの奮起が望まれるところである。
その愛ちゃん、来月からは東京に出てくるはずだが、大学に進学したのか、企業に就職したのか、あるいはLPSAツアー女子プロに専念するのか、まったく分からない。
しかし愛ちゃん、しばらく見ない間に、ずいぶん痩せてしまった。この年頃の女子はもっとむっちりしていていいはずだが、愛ちゃんにはそのカケラもない。何か精神的な衝撃でもあったのだろうか。
そこで想起されるのは、そのマイナビ女子オープンである。予選決勝で、愛ちゃんは長谷川優貴アマ戦に大優勢の将棋を敗れ、本戦トーナメント入りを逸した。一方、勝った長谷川アマはその後も勝ち星を重ね、あれよあれよという間に女王への挑戦権を獲得してしまった。
もしあのとき私が勝っていたら…。
長谷川女流初段(当時)の快進撃を目にするたび、愛ちゃんが心を痛めたとは考えられる。
しかしそれで体調を崩しては元も子もない。とにかく愛ちゃん、いまはバリバリ食事を摂ることである。
挨拶もそこそこに、指導対局開始。その最中、Kun氏も訪れた。みんな、考えることは同じようである。
愛ちゃんとの指導対局が終わり、何もなければ駒込へ…と失礼しようとすると、大庭女流初段から手合いをつけられた。先ほど愛ちゃんと指していた某氏だ。愛ちゃんには快勝していたから、かなりの手練れだ。
持ち時間20分・30秒で対局開始。振り駒で私の後手。相掛かり調に進み、▲2四同飛に私は△2三歩。しかし▲3四飛以下的確に進められ、かなり指しにくくなった。

図の局面で、某氏は▲4三金。この手は前々から見えていて、△同角は▲同角成△同玉▲2五角△4二玉▲6一角成で後手が悪い。そこで△4三同角をやめ△4一玉と指しかけたのだが、▲5三金があることに気づき、私は△4二玉と戻す。何をやっているのだ。
その直後、私は「3一飛」の存在に気づく。そう、この盤面には「△3一飛」があったのだ。私は震える手で、今度は△4三同角と取る。
以下▲同角成△同玉▲2五角△4二玉▲6一角成と、お互いの読み筋どおり進む。しかしもう一手先を、私は読んでいた。△6一同飛!
あっ!! と叫んで某氏が投了。先ほどまでふたりとも、△3一飛の横利きをうっかりしていたのだ。
勝ったのはいいが、△4一玉と指して戻すという「待った」をしているので、素直に喜べなかった。
感想戦をしたあと、習慣なのか、某氏が初形に戻す。私も消化不良だったので、彼ともう一局指すことにした。
2局目は、先手某氏が▲2五歩を早く決めたので、私が向かい飛車に振った。以下虚々実々の駆け引きが展開され、むずかしい戦いになった。
と、ミスターX氏が来席した。来るべき人が来た感じだ。
Xさん、がんばれよ。オレはダメだったけど…と心の中でつぶやき、私は対局に戻る。
ではその中盤の局面を記す。

△2六歩▲2八飛に△6四角まで。ふと後ろを振り返ると、強豪のスタッフS氏が、この将棋を眺めていた。

以下の指し手。▲4一飛△5二銀左▲1一飛成△3二金▲1二竜△3一金▲7七桂△4七歩成▲2六飛△2五歩▲2七飛△5八と▲同金△4九角▲6八金右△2七角成▲7五歩△1九角成▲7四歩△3二香▲7三歩成△同馬▲7六香△7四歩▲8五桂…以下、某氏の勝ち。

▲2六飛に△2五歩では、△5七と▲同金△4八角で分かりやすい勝ちだった。とけっこう後まで後悔しながら指していたのだが、△4八角には▲2七飛で受かっている。
したがって、本譜の順で飛車を取ったのは正解だと思う。あんまりあっさり飛車をくれたので、私は温泉気分になった。
某氏は長考で▲7五歩だが、ここで私の△1九角成が、駒得に目がくらんだ疑問手だったようだ。▲7四歩と取りこまれて▲7三歩成からのコビン攻めが厳しく、以下急転直下の敗勢となった。
局後はS氏を交えて感想戦。途中△2七角成としたところでは、馬の働きがいまひとつだが、飛車香交換の駒得ではさすがに後手がいいのだろう。
直後の▲7五歩に△1九角成はやはり問題だったようで、△7五同角がイヤだった、と某氏の感想だった。
ただ、△7五同角でも後手に明快な勝ちがでない。これもダメ、あれもダメと局面が遡り、結局△6四角の局面まで戻っても後手がハッキリせず、将棋のツクリが悪かったのでは、という結論になったのには呆れた。

時刻は8時45分。いい加減、早く駒込に行かなければならない。ありがとうございました、と述べるや私は席を立つ。しかしこれは、大野教室のシステムに慣れたゆえの「疑問手」だった。
部屋を出るとき振り返ると、S氏が駒箱に駒を仕舞っていた。しかしこれは本来、私の役目である。駒をそのままにして、帰るバカがいるか。大野教室では駒を仕舞う手間を省いているのだが、その習慣がここに現れてしまったのだ。
私はS氏に心の中で謝ると、芝浦サロンを出た。
コメント (2)
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