一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

二十三たび大野教室に行く(後編)・最高の誕生日

2012-03-23 00:13:10 | 大野教室
ちなみに戦型は向かって左から、ひねり飛車、対ゴキゲン中飛車、通常の定跡、相居飛車となった。
植山悦行七段との将棋は角換わり模様に誘導したが、△4四歩と角道を止められ、△3一角とされた。これで△8六歩からの歩交換が受からず、失敗した。
大野八一雄七段は、私が指すと間髪(かんはつ)入れず指す。
「大沢さんがこちらを見たときは、いつも大沢さんの手番ですから」
と大野七段。それは助かるが、どうもやりにくい。
Hanaちゃんは短考と熟考を交互に。Minamiちゃんは熟考。植山七段は基本的にはノータイム指しだが、ときどき数秒考えてくれる。
Minamiちゃんとの将棋は、私が△5五歩と位を張り、指しやすくなったと思った。Minamiちゃんは銀交換にきたが、これはこちらも歓迎である。私は△5四銀と打つ。次に△4五銀右と桂得すれば必勝だ。
ところが大野七段、植山七段が口を揃えて「チャーンス!!」と叫ぶ。
うん? どこが? ああっ!!
ここでMinamiちゃんに▲2六飛と廻られたら、次の▲2三飛成が受からないではないか!
実戦もMinamiちゃんにそう指され、一気に敗勢となってしまった。う~、これも多面指しの弊害か。
大野七段との将棋は、中盤の入口まで私がまずまず指し、大野七段も、
「(アマが多面指しを行っても)意外といい勝負になるな…」
とつぶやく。これが定跡のありがたさというべきだろう。しかし中盤で私に緩手が出てからは、一方的に攻め潰された。
順当な結果ではあるのだが、もう少し大野七段をてこずらせる手順があったはずで、それが指せなかったのが悔しかった。
HanaちゃんとMinamiちゃんの将棋に専念していたら、
「こっち忘れられちゃった」
と植山七段がつぶやき、表にタバコを吸いにいった。余興の早指し戦ということもあるが、かくも多面指しは忙しい。
Hanaちゃんにも一方的に攻め潰されて負け。Minamiちゃんも、寄せをややもたついたものの、順当に負かされた。予想されたこととはいえ、多面指しはここまで0勝3敗である。
残るは植山七段だが、こちらも当然ながら敗勢になっていた。最後はみんなが観戦する中、…△6八金▲同玉△3八飛成▲7九玉△6九馬▲8八玉△6四桂、まで、私の投了となった。
これにて、前代未聞の「プロを相手に逆多面指し」は、つつがなく?終了。結果は情けなかったが、とてもいい記念になった。誕生日特別企画に快く悪ノリしてくれた、大野七段、植山七段には、改めて御礼を申し上げたい。
まだ食事会には行かないようだ。と、珍しいことに、W氏が将棋を所望してくる。W氏、こんなに将棋が好きだっただろうか。ともあれ、ジョナ研生徒会長と副会長という、一部では垂涎の対局がここに実現した。
この将棋はHanaちゃんが記録係を買って出てくれた。せっかくなので、この棋譜も全部載せてしまおう。

先手:W氏
後手:一公
▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△6二銀▲4八玉△4二玉▲3八玉△3二玉▲1六歩△6四歩▲1五歩△6三銀▲2八玉△7二金▲3八銀△5四銀▲6八銀△6三金
▲6六歩△7二飛▲6七銀△4四歩▲4六歩△4二銀▲5六銀△4三銀▲5八金左△8五歩▲6八飛△8二飛▲7七角△5二金▲6五歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛△7六銀
▲6三飛成△同金
まで、42手で一公の勝ち。

W氏十八番の、石田流三間飛車。私は古風な陣立てだが、早々に▲1五歩と伸ばされ、玉の囲いもままならず、指しにくさを感じた。22手目に△7二飛と寄ったがこれは意味のない手で、△7四歩▲同歩△同金は▲8三角や銀の筋があるので、うかつに動けない。ここでは作戦負けだと思った。
途中から植山七段が観戦する。プロにまじまじと見られると指しにくいが、ありがたいことである。
そこへW氏▲6八飛。7筋から離れてくれたので、ありがたかった。そして▲6五歩からの開戦だが、これがどうだったか。銀交換後、△7六銀と飛車角取りに打って、一遍に終わってしまった。
終局後は、植山七段の懇切丁寧な講評があった。聞くと、W氏の指し易い将棋だったが、やはり▲6八飛が疑問だったとのこと。飛車が7筋でよく利いているので、転戦するのはマズかったらしい。
プロのアドバイスはやはり参考になる。教室の開講時間は終了しているのに、こんなに恩恵を受けていいのかと思う。
時刻は午後8時近く。さすがにこれで上がりである。きょうは逆多面指しを含む8局を指して2勝6敗。最後はW氏に癒された形だ。
食事会には、大野七段、植山七段、中井広恵女流六段、W氏、Minamiちゃん、奨励会M君、私と、7人の参加。近くの和食屋へ行った。
私と中井女流六段は対角線の席だったが、トイレから戻ってきた大野七段と私が席を替わり、さらにMinamiちゃんと私が入れ替わって、以下の配置に落ち着いた。

  M   W  大野

  中井 一公 Minami 植山
     壁

当たり前のように中井女流六段の横に座るが、一世を風靡した女流棋士の隣に座れるとは、一将棋ファンにとって過分な待遇である。この幸せを忘れてはいけないと改めて思う。
みんなの注文は、イクラ丼定食やマグロ丼定食など。食事を摂りながら、大野教室とジョナ研の合同イベントなどを話し合う。旅行やイベントは、計画しているときがいちばん楽しく、みんな笑顔だった。
会計。きょうは大野七段が食事代を出してくれた。たぶん私が誕生日だったからだろうが、それをハッキリといわないのが大野流である。何度も書くが、ありがたいことだと思う。
中学生のM君とはここでお別れ。彼が将来四段になったら、深夜まで付き合ってもらおうと思う。
引き続いて、連日のガストに行く。ここでの席の配置は以下のとおり。

  W 植山 大野

  一公 中井 Minami
   壁

クルマで先に着いた私とW氏が奥の席に先着したので、植山七段と中井女流六段が向かい合わせになった。これは珍しい。
右を見ると、中井女流六段とMinamiちゃんがいる。このふたりがそっくりで、双子を見ているようだ。
ここでもイベントの話が中心となる。みんなが好き勝手に要望を出し合うが、それが楽しい。爆笑爆笑、また爆笑だった。
ここのお茶代は、植山七段が持ってくれた。これも植山流で、私への誕生日プレゼントであろう。中井女流六段のメールも含め、三棋士には本当にお世話になりました。ここでいま一度、厚く御礼申し上げます。
11時45分散会。W氏のクルマで駅前まで送ってもらう。そこでスマホを開くと、時刻が「00:00」になっていた。
きょうは数十年ぶりに、楽しい誕生日だった。それがいま、終わったのだった。
コメント (4)
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