きのう26日の「笑っていいとも!」に、オネエのハムナプトラ田中が出演したが、彼(彼女?)の結婚記念日が平成元年11月11日、とのこと。
あら~。植山悦行七段、中井広恵女流六段夫妻と同じ日ではないか!!
第4期天河戦三番勝負は、中井天河が石橋幸緒女流四段を2-0で降して、防衛した。きょうはその2局を振り返る。
※第1局
中井の先手で始まった本局。▲2六歩に石橋は△3四歩。▲7六歩に△4四歩。以下相矢倉になったから、これは石橋の作戦だった。2手目に△8四歩としなかったのは、この手を中央にかけたかったからと思われる。
中井は自然な指し回し。対して石橋の△2二銀(引)はどうだったか。なんでも指す石橋だが、その根幹は前に出る将棋で、△2二銀のような、凹む手は似合わない。
さらに42手目、△3三桂もどうかという手。△2二銀と引いた以上、△3三桂はセットの手順だが、中井に▲3五歩△同歩▲同銀△3四歩▲2六銀と一手で銀を繰り返られ、▲1五歩と薄い1筋に手をつけられては、ハッキリ石橋が苦しくなった。
そもそも△2二銀・△3三桂と指すならその前の△1四歩が不急の手で、石橋の作戦がチグハグだったことは否定できない。
むろん端歩を突いての「しゃがみ矢倉」はあり、例えば平成4年8月11日の竜王戦決勝トーナメント・高橋道雄九段対佐藤康光六段戦で、後手の佐藤六段が指している。ただしそのとき先手の陣形は「森下システム」で四段目に歩が並んでおり、端攻めの心配はなかった。
本局、中井はなおも自然な指し回しで優位を拡大する。石橋は△2九成香右と桂を補充するが、この忙しいときに、一手の価値があるとは思えない。この辺り、すでに石橋の闘志は萎えていたようだ。
87手目▲5一とで石橋が投了したが、ここで△同玉はなかったか。▲4三馬△5二銀▲3四馬△1五角の局面は後手やる気がしないが、少なくともほかのLPSA女流棋士なら、そこまで指したと思う。
ともかく石橋、よほど疲れていたのか、本局は勝利に対する執念が感じられなかった。
※第2局
前局から18日後の一戦。中井は充実、石橋は多忙、の構図は変わっていなかったと思う。
将棋は先手の石橋で、横歩取りに進んだ。18手目、中井は△8四飛。現在は△8五飛が主流だが、中井は△8四飛の将棋も意外に多い。
石橋、▲3三角成から▲2三歩が、早くも本局の命運を賭けた手だった。△6二銀型を咎める意味だが、これで勝てたら新定跡誕生である。とはいえ大事なタイトル戦なのに、性急に決着をつけにいってしまった、という感は否めない。体力的な懸念でもあったのだろうか。
余談ながら私と藤田麻衣子さんの指導対局で、私が▲2三歩~▲2三角と同様の攻めを敢行したことがある。しかしその将棋は藤田さんが△7二銀型だったため、その後の▲3二とが詰めろにならず、切らされて負けた。藤田さんとの将棋は、いつも楽しかった。
石橋の猛攻を、中井は丁寧に受ける。△4二金、△2一香、△2二歩など、さすがの指し回しだ。ほかのLPSA女流棋士なら、たちまち潰されていただろう。
△7二金と逃げ道を開け、△6一玉、△7一玉と横すべりに逃げる。そして△8三金が勝ちました、という一手。
将棋は攻めて勝つだけが能ではない。ギリギリで先手の攻めを凌ぎ、勝ちを決める。このあたり、大山康晴十五世名人の指し手を見るようだった。
78手目△7七歩。駒を渡さずに詰めろで迫り、ここで石橋が投了。中井が天河位防衛を果たした。
石橋はキャンキャン跳ねる将棋が持ち味だが、本局、いや前局も含めて、それが空回りした感じだ。逆にいえば、それをうまく抑え込んだ中井の指し回しが見事だった、といえる。
しかしこの有様では、LPSA棋戦で中井に太刀打ちできる女流棋士は皆無である。ほかの女流棋士の奮起が待たれる。
あら~。植山悦行七段、中井広恵女流六段夫妻と同じ日ではないか!!
第4期天河戦三番勝負は、中井天河が石橋幸緒女流四段を2-0で降して、防衛した。きょうはその2局を振り返る。
※第1局
中井の先手で始まった本局。▲2六歩に石橋は△3四歩。▲7六歩に△4四歩。以下相矢倉になったから、これは石橋の作戦だった。2手目に△8四歩としなかったのは、この手を中央にかけたかったからと思われる。
中井は自然な指し回し。対して石橋の△2二銀(引)はどうだったか。なんでも指す石橋だが、その根幹は前に出る将棋で、△2二銀のような、凹む手は似合わない。
さらに42手目、△3三桂もどうかという手。△2二銀と引いた以上、△3三桂はセットの手順だが、中井に▲3五歩△同歩▲同銀△3四歩▲2六銀と一手で銀を繰り返られ、▲1五歩と薄い1筋に手をつけられては、ハッキリ石橋が苦しくなった。
そもそも△2二銀・△3三桂と指すならその前の△1四歩が不急の手で、石橋の作戦がチグハグだったことは否定できない。
むろん端歩を突いての「しゃがみ矢倉」はあり、例えば平成4年8月11日の竜王戦決勝トーナメント・高橋道雄九段対佐藤康光六段戦で、後手の佐藤六段が指している。ただしそのとき先手の陣形は「森下システム」で四段目に歩が並んでおり、端攻めの心配はなかった。
本局、中井はなおも自然な指し回しで優位を拡大する。石橋は△2九成香右と桂を補充するが、この忙しいときに、一手の価値があるとは思えない。この辺り、すでに石橋の闘志は萎えていたようだ。
87手目▲5一とで石橋が投了したが、ここで△同玉はなかったか。▲4三馬△5二銀▲3四馬△1五角の局面は後手やる気がしないが、少なくともほかのLPSA女流棋士なら、そこまで指したと思う。
ともかく石橋、よほど疲れていたのか、本局は勝利に対する執念が感じられなかった。
※第2局
前局から18日後の一戦。中井は充実、石橋は多忙、の構図は変わっていなかったと思う。
将棋は先手の石橋で、横歩取りに進んだ。18手目、中井は△8四飛。現在は△8五飛が主流だが、中井は△8四飛の将棋も意外に多い。
石橋、▲3三角成から▲2三歩が、早くも本局の命運を賭けた手だった。△6二銀型を咎める意味だが、これで勝てたら新定跡誕生である。とはいえ大事なタイトル戦なのに、性急に決着をつけにいってしまった、という感は否めない。体力的な懸念でもあったのだろうか。
余談ながら私と藤田麻衣子さんの指導対局で、私が▲2三歩~▲2三角と同様の攻めを敢行したことがある。しかしその将棋は藤田さんが△7二銀型だったため、その後の▲3二とが詰めろにならず、切らされて負けた。藤田さんとの将棋は、いつも楽しかった。
石橋の猛攻を、中井は丁寧に受ける。△4二金、△2一香、△2二歩など、さすがの指し回しだ。ほかのLPSA女流棋士なら、たちまち潰されていただろう。
△7二金と逃げ道を開け、△6一玉、△7一玉と横すべりに逃げる。そして△8三金が勝ちました、という一手。
将棋は攻めて勝つだけが能ではない。ギリギリで先手の攻めを凌ぎ、勝ちを決める。このあたり、大山康晴十五世名人の指し手を見るようだった。
78手目△7七歩。駒を渡さずに詰めろで迫り、ここで石橋が投了。中井が天河位防衛を果たした。
石橋はキャンキャン跳ねる将棋が持ち味だが、本局、いや前局も含めて、それが空回りした感じだ。逆にいえば、それをうまく抑え込んだ中井の指し回しが見事だった、といえる。
しかしこの有様では、LPSA棋戦で中井に太刀打ちできる女流棋士は皆無である。ほかの女流棋士の奮起が待たれる。