一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

植山悦行からの挑戦状!・解答編(感想戦の大切さ)

2012-03-20 00:22:17 | 大野教室
3月10日の当ブログ「植山悦行からの挑戦状!」で掲示した、指導対局での一局面の正解手を記そう。

先手:1六歩、1九香、2二歩、2三竜、3四歩、5五歩、7六歩、7八金、8七歩、8八銀、8九玉、9六歩、9九香 持駒:角、金、銀、桂、歩3
後手:1三香、1四歩、3二歩、4二金、4三歩、4六角、4七成桂、6二玉、6四銀、6五歩、7四歩、8一飛、8五歩、9一香、9四歩 持駒:金、銀、桂2、歩
(△6四同銀まで)

正解:▲6三銀△7三玉▲7五桂△同歩▲7四金△8二玉▲7二角 まで、先手の勝ち。

本局は先手が植山七段、後手がSat氏だった(実戦は先後逆)。
▲6四歩△同銀の局面。先手玉は安泰だが、△6六桂が入ると、受けても一手一手になり、先手が負ける。ここは後手玉を寄せるしかない。
まず目に浮かぶのは7八に利かして打つ▲4五角だが、△5四歩と打ち捨てられ、▲同角△6三銀は後手が残していそうだ。
初めに戻って、▲6三金△同玉▲5四角△7三玉▲8一角成は有力だが、その局面が何と、後手玉が詰めろでない。以下△6六桂▲7二飛に△8四玉が「右玉の小部屋?」で、妙に詰まないのだ。
そこで、▲6三金を▲6三銀に代えて迫ってみる。今度△同玉では、▲5四角~▲8一角成が詰めろで先手勝ち。
よって後手は△7三玉とかわす。そこで歩頭に▲7五桂が妙手だ。△同銀は▲同歩で詰めろが続くので△同歩だが、▲7四金~▲7二角と、先手はどんどん持ち駒を打って、勝勢となる。この局面は必至ではなく、まだ後手に受ける手はあるが、いずれも詰めろが続き、先手が勝てる。
本譜は、遊んでいる▲2三竜を働かせようと、▲5四桂△7三玉▲4二桂成と迫ったが、やはり△8四玉と逃げる手が利いて、先手が一歩及ばなかった。
これにはさすがの植山七段も悔しがって、Sat氏が帰ったあとも検討を続けた。指導対局ではあるが、こんな薄い後手玉に寄りがないとは信じられない、何か勝ちがあるはずだ、という気持ちがそうさせたのだ。
そこへ私たちもお付き合いさせていただいた。そうして小1時間検討した結果が、▲6三銀以下▲7二角まで先手勝ち、というものであったわけだ。
ちなみにこの局面を食事会の席で大野八一雄七段に出題したところ、数秒で解いてしまった。
ただ植山七段の名誉のために書けば、▲6三銀~▲7五桂は、検討の序盤で、植山七段も指摘していた。
しかし、「▲7五桂だなんてひねり出した手でなくとも、ほかに明快な勝ち筋があるはずです」と私が拒絶反応を示したため、正解への到達が遅くなってしまったのだ。
▲6四歩と叩いて△同銀と上擦らせた局面は、ほとんど裸玉だ。さらに先手の持ち駒は角、金、銀、桂。これだけあって正解手順が一通りしかないとは、植山七段ならずとも驚くしかなかった。

そこで思い出したエピソードがある。
あれはLPSA駒込金曜サロン時代のことだからだいぶ前の話になるが、私とTan氏が将棋を指して、私が惜敗したことがあった。
短めの感想戦が終わるやO氏が来て、ここは私に勝ちがあるはずと、再び感想戦が始まった。
その結果、私に勝ちがあることが判明した。
感想戦なんて、負けた側がウサ晴らしをするためにあるのではと思うのだが、検討で勝敗が入れ替わってしまうのでは、事情が変わってくる。終盤の真実が分かるという意味で、局後の感想戦は大事なのだと痛感したものだった。
本局の植山七段も、真実が分かって、スッキリしたことだろう。
コメント
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