一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

加藤一二三九段、引退決定

2017-01-23 00:06:51 | 男性棋士
今日1月23日は「1、2、3」の日。だからというわけではないが、加藤一二三九段の話題である。
先日、加藤九段の引退が決定した。19日に行われた順位戦C級2組で、降級点候補だった棋士が勝ったため、加藤九段が残る2局を勝っても3個目の降級点が付くことが確定し、強制引退が決まったものだ。
加藤九段は当年取って77歳。一般企業ならとっくに引退の年齢だが、棋士は成績がよければ、望むだけ現役生活を続けられる。男子たるもの働けるうちは働きたいところだ。事実私の父も加藤九段より年長だが、いまだ現役で働いている。しかし父は体力の限界で、そろそろリタイヤを考えている。働く気力があるのに働けない。これはつらいものがあろう。
加藤九段はどうだろうか。加藤九段はかつて「80歳までは現役で指せる」と豪語していた。全盛時に比べて読みの精度は落ちたものの、まだまだ後輩と伍して戦える、の思いを微塵も崩していなかった。それだけに今回の引退は、残念無念の思いであっただろう。
棋士の引退はつらい。将棋は頭のスポーツだから、能力の衰えが身体に出ない。体力も気力も十分なのに、現役資格を剥奪されてしまう。そんな例を私は、植山悦行七段、大野八一雄七段などで見てきた。
植山七段は引退寸前に竜王戦で佐々木勇気四段(現五段)をほふったし、大野七段は引退の何年か前、竜王戦で5組に昇級した。どうしてこの将棋が引退なのかと私たちレヴェルでは首を傾げてしまうのだ。
現在植山七段や大野七段に指導対局や講義を受けても、両七段は最新定跡に精通し実戦譜も網羅している。それは現役時とまったく変わらず、私はそこに勝負の厳しさを痛感するのである。
ちなみに加藤九段はこの翌日、棋聖戦でB級1組所属の飯島栄治七段に勝ち、力のあるところを見せた。ツボにはまると往年の強さが出て、なおさら強制引退がもったいなく思うのだ。
ただ加藤九段の場合は、齢を重ねるごとに妙な人気が出てきて、いまやテレビでは欠かせないタレントである。次年度から公式戦は指せなくても、かつて小堀清一九段が「将棋ジャーナル」でアマと真剣勝負を指したように、加藤九段だって「将棋世界」でアマと激闘を演じればよい。新四段とお好み対局を指してもよい。そしていろいろ指導対局に出向けばよい。むしろこれからのほうが、私たちは加藤九段の将棋に接することができると思う。
加藤先生、残る対局も元気に頑張ってください。
コメント (2)
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