バス前方の掲示板に「筑紫野」の文字が見え、私は停車ボタンを押し、降りた。
私の記憶が確かならば、ここ二日市温泉は、私が学生時代に初めて九州を訪れた時の、最初の観光地だった。入った食事処が「すしかいぜん」というころで、ウエイトレスさんがとてもかわいかった。その1週間後、私は彼女に会いに、再びその店を訪れたほどだ。
その数年後に再び二日市温泉を訪れたとき共同浴場を利用したら、地元のおじいさんと話が弾み、しまいには「立派なもんを持っとる…」と感心されたのもいい思い出だ。
そんなわけだから二日市温泉で立ち寄り湯の手もあったのだが、今日帰京することを思うと、のんびりする気にはならない。何となく動きたくなった。
国道と思しき道を歩くが、西鉄(JR)には合流しない。30分近く歩いて、「太宰府→」の案内標識が見えた。
私は右折するが、駅はもちろん、太宰府へはまだまだかかりそうだ。
JRの線路を越えたが、最寄りの駅が分からない。太宰府行きのコミュニティバス停があったが、行き先が4つあり、どれに乗っていいか分からない。もう、分からないだらけだ。
先を急ぐとジョギング中のご婦人が目に入ったので、太宰府方面を問うてみた。
すると西鉄の小駅からバスが出ているとのことで、その駅もすぐ近くだった。
駅前……都府楼駅という雅な駅に着くと、バス停があった。しかし次の大宰府行きは20分後である。が、よく考えたらここは西鉄の駅なのだ。電車に乗れば即解決である。
次の電車に乗ると、これが太宰府行きだった。いままでの苦労が何だったのかというくらい、あっけなくゴールが見えた。
西鉄二日市で5分の停車があり、終着太宰府駅に降りたのは16時42分である。そろそろ黄昏時だが、観光客はまだ多かった。
太宰府天満宮は菅原道真を祀っており、年間参拝客は850万を数えるという。まさに押しも押されもせぬ大天満宮である。
駅前から参道を歩くと、両側に土産物屋が並んでいる。ここの名物は梅ヶ枝餅で、どこも一律120円である。これは帰りに買おうと思う。
太鼓橋を渡り、手水舎でお清め。御本殿に入り、参拝をし、お賽銭を投じ、おみくじを引く。今度は大吉だった。
心字池を回って参道に戻り、梅ヶ枝餅を買う。ホクホクサクサクモチモチで美味かった。
苦労したわりにはアッサリしたお参りだったが、勘弁しておらおう。
太宰府からは17時09分の大宰府線に乗る。タイム7分で西鉄二日市に着き、2分の待ち合わせで大牟田線に乗り換えた。
17時37分、西鉄天神着。迷いながら表に出ると、空は漆黒の闇に包まれ、どこかの公園の木々や庭がライトアップされていた。いわゆるクリスマス仕様で、若い男女が多かった。中年のオッサンがふらふらするには場違いだが、個人的にはそれでも楽しい。
地下に潜り、地下街をぶらぶらする。ここもどことなくクリスマス仕様で、シックな趣がある。
さて最後の晩餐をどこにするか…これも旅の楽しみである。
ぶらぶら歩いていると、右手に宝くじ売り場があった。あんでるせんでは、宝くじを買った人が高額賞金に当たった例がある。年末ジャンボを買おうか…。
(つづく)
私の記憶が確かならば、ここ二日市温泉は、私が学生時代に初めて九州を訪れた時の、最初の観光地だった。入った食事処が「すしかいぜん」というころで、ウエイトレスさんがとてもかわいかった。その1週間後、私は彼女に会いに、再びその店を訪れたほどだ。
その数年後に再び二日市温泉を訪れたとき共同浴場を利用したら、地元のおじいさんと話が弾み、しまいには「立派なもんを持っとる…」と感心されたのもいい思い出だ。
そんなわけだから二日市温泉で立ち寄り湯の手もあったのだが、今日帰京することを思うと、のんびりする気にはならない。何となく動きたくなった。
国道と思しき道を歩くが、西鉄(JR)には合流しない。30分近く歩いて、「太宰府→」の案内標識が見えた。
私は右折するが、駅はもちろん、太宰府へはまだまだかかりそうだ。
JRの線路を越えたが、最寄りの駅が分からない。太宰府行きのコミュニティバス停があったが、行き先が4つあり、どれに乗っていいか分からない。もう、分からないだらけだ。
先を急ぐとジョギング中のご婦人が目に入ったので、太宰府方面を問うてみた。
すると西鉄の小駅からバスが出ているとのことで、その駅もすぐ近くだった。
駅前……都府楼駅という雅な駅に着くと、バス停があった。しかし次の大宰府行きは20分後である。が、よく考えたらここは西鉄の駅なのだ。電車に乗れば即解決である。
次の電車に乗ると、これが太宰府行きだった。いままでの苦労が何だったのかというくらい、あっけなくゴールが見えた。
西鉄二日市で5分の停車があり、終着太宰府駅に降りたのは16時42分である。そろそろ黄昏時だが、観光客はまだ多かった。
太宰府天満宮は菅原道真を祀っており、年間参拝客は850万を数えるという。まさに押しも押されもせぬ大天満宮である。
駅前から参道を歩くと、両側に土産物屋が並んでいる。ここの名物は梅ヶ枝餅で、どこも一律120円である。これは帰りに買おうと思う。
太鼓橋を渡り、手水舎でお清め。御本殿に入り、参拝をし、お賽銭を投じ、おみくじを引く。今度は大吉だった。
心字池を回って参道に戻り、梅ヶ枝餅を買う。ホクホクサクサクモチモチで美味かった。
苦労したわりにはアッサリしたお参りだったが、勘弁しておらおう。
太宰府からは17時09分の大宰府線に乗る。タイム7分で西鉄二日市に着き、2分の待ち合わせで大牟田線に乗り換えた。
17時37分、西鉄天神着。迷いながら表に出ると、空は漆黒の闇に包まれ、どこかの公園の木々や庭がライトアップされていた。いわゆるクリスマス仕様で、若い男女が多かった。中年のオッサンがふらふらするには場違いだが、個人的にはそれでも楽しい。
地下に潜り、地下街をぶらぶらする。ここもどことなくクリスマス仕様で、シックな趣がある。
さて最後の晩餐をどこにするか…これも旅の楽しみである。
ぶらぶら歩いていると、右手に宝くじ売り場があった。あんでるせんでは、宝くじを買った人が高額賞金に当たった例がある。年末ジャンボを買おうか…。
(つづく)