一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「将棋世界」9月号を読んだ感想

2023-08-06 22:48:16 | 将棋雑記
先日、「将棋世界」の最新号が送られてきた。きょう、中を開けてみる。将棋世界を読むのは久しぶりで、前回将棋世界の最新号を読んだ、というか開封したのは数ヶ月前だ。
まず、9月号の別冊付録は、「終盤力トレーニング・必至か、否か」。表紙に著者名が書かれていないのがアレだが、著者は元アマ竜王・金子タカシ氏である。金子氏はためになる著書をいくつも上梓していて、アマ強豪という枠では収まりきらない、将棋界の功労者である。
金子氏と私は将棋ペンクラブの会でよく顔を合わせるのだが、私が極度の人見知りなので、挨拶すらほとんど交わしたことがない。だけどお互いの名前は知っている、という妙な関係である。
この別冊付録をポケットに忍ばせ、時間があるときに解く。そうすれば棋力がアップすること請け合いである。
表紙は、王位戦で激闘を展開中の藤井聡太竜王・名人と佐々木七段。藤井竜王・名人だけの表紙だけでもいいところを、佐々木七段も持ってくるあたり、編集部も芸が細かい。
巻頭の読みものは、写真家・野澤亘伸氏による、久しぶりの「師弟」(前編)。今回は鈴木大介九段と梶浦宏孝七段のコンビ。コロナ前、新橋駅前では竜王戦と名人戦の無料解説会があった。大内延介九段が勇退したあと、その任務を引き継いだのが鈴木九段。そして駒操作にあたったのが、弟子の梶浦七段だった。
鈴木九段が梶浦七段にハッパを掛け、梶浦七段が恐縮する様が可笑しかった。今回の対談でも、その一端が披露されている。
そして2人の写真がいい。ANAの機内誌に出てきそうな写真で、さすがに野澤氏、プロの写真家だなあと思う。
グラビアは、里見香奈清麗のきもの姿(対局姿)が、極妻を想起させて美しい。西山朋佳女流三冠のそれも相当だが、今回のグラビアも、永久保存モノである。
第64期王位戦第1局は、渡辺明九段が解説担当で、語りつくす。渡辺九段のテレビ解説は定評のあるところ。今回はそれが活字になったということで、誌上実況により、「金子教室」ならぬ「渡辺教室」を堪能できる。
「リレーエッセイ」は、岩根忍女流三段。岩根女流三段は結婚18年になるとのこと。私は岩根女流三段のファンで、もし20年前に当ブログがあったら、ファンランキングの1位は岩根女流三段だった。いまはもちろん圏外だが。
村田顕弘六段は、「村田システムとは何だ?」の読み切り講座。村田六段は王座戦では残念だったが、藤井竜王・名人を追い詰めたことで、自身の著書は売れ、今回も講座の記述となった。多少は憂さが晴れただろうか。
勝又清和教授の、「プロも驚く仰天妙技」の不定期連載が始まった。今回は「毒まんじゅう」の話で、題材は、上の藤井竜王・名人VS村田六段の王座戦。勝又教授が藤井竜王・名人に終盤での読みの推移を綿密に取材していて、この労力だけで、870円の価値がある。
驚いたのは、大山康晴十五世名人の実戦譜を説く連載が始まっていたこと。今回が何と3回目で、解説は「三間飛車名局集」の著書もある、石川陽生七段。
今回は対加藤一二三九段戦で、大山十五世名人が不利になってからのごちゃごちゃした戦いが抜群に面白い。
令和になってからも、将棋世界では「大山」の名前が出ない号はなかったと推測する。そしてついに、実戦譜の連載である。大山十五世名人は、現在も生きているのだ。
なんとなくだが、読み物の記事の割合が多くなったと思う。タイトル戦がリアルタイムで配信される現在、遅れて編集される専門誌は時間的に分が悪い。そのハンデを補うためには、将棋世界でしか読めない記事を載せるしかない。それには読み物が最適というわけだ。
最近の私は心身ともに疲れて、将棋世界を読む余裕もないのだが、そんな時間を捻出できればと思う。差し当たっては、大山十五世名人の連載第1回と2回を読まなければ。
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もし王座戦で敗れたら

2023-08-05 22:56:50 | 将棋雑記
藤井聡太竜王・名人の第71期王座戦五番勝負登場がついに決まった。前日も書いたが、番勝負なので2敗できるのが大きい。勝率8割3分男の藤井竜王・名人なら、もう8つめのタイトルは獲ったも同然。私たちは近いうちに、歴史の目撃者となる。
ただし王座戦で敗れると、ややこしいことになる。
翌期の王座戦に再び出ればよい、という単純なものではなく、この間に7つのタイトルすべてを防衛しなければならないからだ。

第36期竜王戦 ○○○○(3敗できる)
第73期王将戦 ○○○○(3敗できる)
第49期棋王戦 ○○○(2敗できる)
第82期名人戦 ○○○○(3敗できる)
第9期叡王戦 ○○○(2敗できる)
第95期棋聖戦 ○○○(2敗できる)
第65期王位戦 ○○○○(3敗できる)
第72期王座戦 本戦○○○○ 五番勝負○○○(2敗できる)

あと3勝(2敗)で八冠王になるのに、それを逃すと、次は32勝が必要になるのだ。
むかし、紀行作家の宮脇俊三が、旧国鉄の路線全線完乗を目論んだとき、すでに国鉄の9割以上を乗車しているので、完乗はラクだと考えた。
ところが、わずかの未乗区間に乗るために、乗車済みの路線に再度乗らねばならず、「乗車率9割どころか3割程度」の実感となり、愕然としたのだった。
よって藤井竜王・名人も、今回が八冠王最初で最後のチャンス、と捉えていてもおかしくない。
だが、羽生善治九段が1996年2月に七冠を達成したときは、その前年に「あと1勝で七冠」に迫りながら、谷川浩司王将に敗れ、再出発を余儀なくされた。
ふつうならここで頓挫するところ、羽生六冠(竜王、名人、棋聖、王位、王座、棋王)は6タイトルを防衛し、王将戦リーグも5勝1敗で乗り切り、リターンマッチを果たした。
とはいえこのリーグ戦でも、2回戦の森内俊之八段戦は必敗形で、奇跡的な逆転勝利だった。七冠の女神は、羽生六冠を見捨てなかったのである。
だが今回、藤井竜王・名人が仮に負けたとしても、向こう1年間七冠を防衛して、王座もあっさり奪取しそうな気がする。
もう1年くらい、八冠協奏曲を愉しみたい気もするのだが。
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藤井竜王・名人、ついに王座戦に登場!!

2023-08-04 23:41:59 | 男性棋戦
ついにこの日がやってきた。8月4日、第71期王座戦挑戦者決定戦である。対局者は藤井聡太竜王・名人と豊島将之九段。
藤井竜王・名人の挑決進出は当然にも思えるが、挑戦者決定トーナメント2回戦の村田顕弘六段戦は大苦戦で、負けてもおかしくなかった。そこを勝ち切るあたり、八冠ロードへの序章という気もするのである。
いっぽうの豊島九段は、「藤井聡太被害者の会」があれば渡辺明九段と並んで筆頭に名を連ねる存在。本局はタイトル戦番勝負ではないが、もし勝てば藤井七冠の八冠を一時的に阻止した殊勲者として、男を上げることができる。
注目の先後は、藤井竜王・名人の先手となった。聞くところによると、藤井竜王・名人は先後の違いで勝率が2割違うらしい。となれば、もう藤井竜王・名人が勝ったようなものである。
将棋は相居飛車の力戦形となった。豊島九段の振り飛車は100%ないと思ったが、この戦型は意外だった。
将棋は夕方まで互角だったが、夜にABEMAを見たら、形勢バーは「藤井77:23豊島」となっていた。まあそうであろう。そしてこうなったら、藤井竜王・名人は逃すまい。
ところが、藤井竜王・名人が竜を引いた手が緩手で、もう互角に戻ってしまった。
以下数手進んで、今度は「藤井23:77豊島」となった。藤井竜王・名人にしてこの展開。やはり局面が複雑なのだろう。
豊島九段はとうに1分将棋だったが、藤井竜王・名人も1分将棋に突入した。藤井竜王・名人が優勢のときの1分は余裕があるが、互角以下の場合、さすがに最善手を続けるのは至難だ。これは豊島九段、イケるんじゃないか?
というところで、豊島九段がヒョイと玉を引いた手が大悪手。一気に「藤井95:5豊島」となった。
形勢の乱高下は終盤のお約束だが、豊島九段にしてこれがある。さすがにこれは藤井竜王・名人が勝ちになった。
と思いきや、また藤井竜王・名人が緩手を連発し、また豊島九段が有利になった。これが1分将棋の恐さで、見ているこちらが緊張感の極みになる。それが対局者ならなおのことだ。まったく、棋士という職業は健康によろしくない。
藤井竜王・名人はシャニムニ攻める。これに豊島九段が受けを誤った。これ、野球でいえば9回の攻防みたいなもので、ここでの失着は致命的である。
結局、159手まで藤井竜王・名人の勝ちとなった。
豊島九段も、ダメだった。ただ、本局は紛れもない名局である。藤井竜王・名人がほかの棋士より香一本強いから、その藤井竜王・名人を負かすような展開になれば、必然的に名局のレベルに達するのだ。本局の観戦記者は、これだけの名記譜を与えられたわけで、名文を書かねばならない。
さあ、藤井竜王・名人が王座戦に登場である。1年間で8つのタイトル戦登場はもちろん初めて。そして獲得となれば、21歳での八冠王となる。そしてそれには、あと「3勝2敗」でいいのだ。これはいよいよ、私たちは歴史の目撃者になるのか。

ああ、王位戦を忘れていた。
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新キャラ登場(第36期竜王戦挑戦者決定戦第1局)

2023-08-03 23:09:53 | 男性棋戦
第36期竜王戦挑戦者決定戦第1局が7月31日に行われた。対局者は永瀬拓矢王座(1組3位)と伊藤匠六段(5組優勝)。
永瀬王座の挑決進出は当然考えられることだが、伊藤六段のそれは快挙だ。なにしろ、ランキング戦5組在籍で挑決進出は初。5組だから決勝トーナメントも最下位からの勝ち上がりで、5勝を要した。
伊藤六段は2020年10月、17歳で四段デビュー。当時から大器と期待され、実際に勝ってはいたのだが、藤井聡太竜王・名人の活躍がケタ外れで、相当陰に隠れていた。
しかし伊藤六段は今年度に入り爆発し、この対局の前まで15勝2敗。通算成績も104勝30敗(.776)は驚異的な数字だ。伊藤六段は、挑決に進出するべくして進出したのである。
そして永瀬王座との対戦成績だが、伊藤六段の2勝0敗。C級棋士がA級のタイトルホルダーと対戦すること自体が難儀なのだが、腰の重い永瀬王座に2戦2勝は、それだけで大器といえる。
ちなみに1局目は第63期王位戦予選で、伊藤四段が2勝したところで、運よく永瀬王座と当たった。これに勝った伊藤四段は、そのままリーグ入りした。
2局目は第48期棋王戦で、伊藤五段は予選で5連勝したあと、本戦トーナメントで1勝し、永瀬王座に当たった。これがふつうで、このくらい勝たないと、タイトルホルダーとは当たらないのだ。
注目の挑決第1局は伊藤六段の先手で、角換わりになった。ただし、永瀬王座が一手損角換わりに出た。一手損をしても、角換わりの将棋に持ち込みたかったのだろうか。
その後は相腰掛け銀になり、お互い飛車を引く例の形になった。将棋はもっといろいろな戦法があるのだが、まあ仕方ない。
その後、伊藤六段が右桂を跳ねたが、歩で取られてしまった。俗に「桂馬の高跳び歩の餌食」というが、格言は時代とともに変わってくる。本局は純粋な桂損になったが、相手玉の頭に風穴を開け、桂損でも釣り合いは取れているという読みなのだろう。ただ、私には理解できない。
伊藤六段は飛車を6筋に回す。永瀬王座は角を受けたが、5手後にその角を別の筋へ飛び出してしまった。これが予定の行動なら異能の極みで、超一流棋士の考えることは皆目分からない。
伊藤六段はよろこんで?角を打ち、6筋突破に成功。これは負けられない戦いになったのではないか。
そして伊藤六段は、銀を犠牲に飛車成りを急ぐ。この展開も理解不能だが、この取引も、伊藤六段がポイントを挙げたように思える。
実際そうだったようで、この後伊藤六段はいったん受けに回り、永瀬王座の突撃を受け切り、一手のスキを衝いて華麗に収束したのだった。一局を通じ、伊藤六段が落ち着いて指しているように思えた。
いやはや、気鋭の20歳がついに、檜舞台まであと1勝となった。出る棋士出る棋士、みんな藤井竜王・名人に負けて、もうキャラクターがいないと思っていたが、とんだ隠し玉があった。もう、永瀬王座には王座戦に専念していただいて、竜王戦は伊藤六段でどうだろうか。
注目の第2局は、14日(月)である。
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株主優待券売却と備忘録

2023-08-02 01:08:19 | プライベート
きのう、駅前の金券ショップで、ANAの株主優待券を売った。本年11月30日まで有効のもの、来年5月31日まで有効のもの、各3枚である。
むかし、ネット上で未使用のプリンタや仮面ライダーのDVD、ルパン三世のDVDを売ったことはあるが、金券ショップに商品を売って現金化するのは初めてであり、ちょっとドキドキした。
「ANAの株主優待券を売りたいんですが」
こういうやりとりは慣れています、という感じで、売り子さんに優待券を渡す。
すると売り子さんは「2,900円です」と言った。この前言っていたのと同じ額だ。が、厳密には私の予想の上を行っていた。
これは「2023年11月30日まで有効」のもので、「2024年5月31日まで有効」は3,000円だった。てっきり、2,900円が5月31日までのものと思っていた。新橋に比べて、かなり良心的な買取価格といえよう。
ともあれ、6枚で17,700円。
運転免許証を提示し、然るべき記入をして、ゲット。こんな簡単に現金収入になって、私は逆に、頭がクラクラした。むろん、いままでの無為の日々を回想したからである。
こんなことなら、もっともっともっと早く、優待券を売っとくんだった……。
得したら得したで、私は頭を抱えるのである。
そして残る危惧は、来年2月に行けるであろう北海道に、株主優待券を使うハメになることだ。
だけどこういうときに限って、優待券が必要になったりするのだ。私には分かる。
なお読者には、ANAの株主優待券を売ったのなら、ブックオフの商品券も売るべきだったのでは? という疑問を持つ方もおられよう。
だけどこれは私が消費するからいいのである。それがたとえ、いかがわしいビデオであってもである。
それに商品券は、額面通りのカネに換えてくれないのが不満だ。それだったら、たとえ一度しか見ないビデオでも、そちらを購入したほうがいい。

臨時収入もそうだが、考えてみれば、私はつまらぬことで出費をしている。ユースホステルはもう何年も泊ってないのに年会費1,500円を何年も払い続けていたし、JALクレジットカードも、JALをほとんど利用しないのに、年会費を払っていた。
耳鳴りの薬などは、私が39歳のときからずっと処方してもらっているが、耳鳴りは一向に改善されない。月平均3,000円の出費として、約18年で648,000円。
これじゃあ、カネがたまらないわけである。

   ◇

私はとくに多忙というわけではないが、単純に自由時間がない。それで毎日のブログも、短時間で書ける当たり障りのない記事が多くなり、数年前と比べると、面白くない状態になっている。
旅行記ネタや自戦記ネタもストックがたまっているのだが、数が多くなりすぎて、頭の中では整理できなくなってきた。
よって、ここに備忘録を記す。

・2月11日~13日 北海道旅行記
・3月16日 LPSA麹町サロンin DIS 上川香織女流二段、島井咲緒里女流二段
・4月6日 LPSA麹町サロンin DIS 中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段
・5月25日 LPSA麹町サロンin DIS 上川香織女流二段
・6月25日 社団戦第1日 自戦記4局
・7月9日 「湯川夫妻の金婚式パーティーに出席する・A面」
・7月13日 LPSA麹町サロンin DIS 渡部愛女流三段

指導対局の記譜はつけているが、対局に夢中のあまり、指し手が欠落しているものがある(3月13日のそれ)。そういう対局があると、なかなか自戦記が書けない。
また、記譜を取ったメモ自体を紛失したケースもある(4月16日のそれ)。これは大掃除をして、是が非でも見つけなければならない。
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