

瀬戸内寂聴さんが、”釈迦”という、大胆な題の小説を著わしている。
波乱万丈の生き方をされている瀬戸内さん。
小説家であり、尼僧でもあられる瀬戸内さん。
読んでみて、瀬戸内さんだからこそ書けた小説かなという気がした。
平成14年が、初版のようだから、その時すでに80歳近かったということか。
冒頭の部分は、いきなり官能小説かと思われる行があったが、読み進むと、極めてまともで、流石、仏の道を極めた人だからこそ書ける、仏典に比較的忠実でありながら、まるで見てきたかのような自然なタッチの小説だった。
入滅を前にした釈迦様と、最後の従者となったアーナンダとの会話を中心に、流れるように物語は進むが、お釈迦様の生きざまを自然に振りかえることにより、読み終わると、お釈迦様の生涯と教えを、感じとることができる。
お釈迦様関連の本で、読みやすさでは、ベストかな?
装画もきれいだが、平松礼二さんの作という。
文庫化された時に、横尾さんが、気合の入った一文を寄せている。