かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

天竺へ

2011年09月13日 | Books



最近は、展覧会に行かなくても、図録は、買える。
今まで、そういう気が起こる展覧会はなかったのだが、本企画展は、あまりにもタイムリーで、今の私の興味にぴったりだったので、買ってみた。ばたばたしていて、どうしても行くことはできなかった。

玄奘の天竺=インドへの旅というテーマでの切り口での展覧会。
目玉は、藤田美術館が所蔵する鎌倉時代の作である"玄奘三蔵絵”の、全巻公開だろう。藤田美術館では、たぶん一回に一部しか見れない。
絵巻物は、展覧会だと(特に絵巻の場合)、渋滞してしまい、なかなかゆっくり見れないのだが、図録であれば、余裕で、楽しめる。解説も、絵と並行して書いてあるから、わかりやすい。

ストーリーは、我々が知っているものそのものなのだが、絵のトーンが、中国風というか、日本風というか。少なくとも、中央アジアや、インドで、遺跡を見た人にとっては、違和感が強い。一番違うのは、家の作り。あちらの家は、レンガ造りが基本だが、本絵巻では、家は、全て木造。既に荒れ果てていたという祇園精舎も、木造の建物が荒れ果てた図になっている。

山越えの雰囲気は、まあまあ出ているが、砂漠越えの雰囲気は、あまり感じられない。
日本では、あの広大な砂漠のイメージがわからなかったのだろう。
ということで、当時の玄奘三蔵の旅のイメージを、日本人がどう捉えていたかがわかり、とても興味深い。

もう一つ面白かったのは、法隆寺に伝わるという五天竺図。一番古いのは、南北朝時代のものという。
玄奘三蔵の大唐西域記の記述から書き起こした地図らしいが、細かく、漢字で地名が書き込まれている。その中に、赤線で、玄奘三蔵の道程が記されている。
天竺は、東西南北中と五つに区分けされており、中国、日本も、記載されている。中国で原本は作られたようだが、日本で、増補がなされたことは、間違いないという。
残念ながら、図録では字が小さくて、なかなか場所が特定できない(かろうじて舍衛国だけ確認できたが)。
実際展覧会に行っていたら、この天竺図の絵ハガキか、ポスターをGETしたところなんだけど(あれば)。少なくとも、現物はずっと大きいから、今回行ったところも、もっと確認できただろう。

秋に、恒例の正倉院展が開かれる。こちらには、行くつもり。

コメント
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