かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

シッダルタ

2011年09月08日 | Books


この本の存在は、最近仏陀関連の本をいろいろ読む中で知った。ただ、読むことはないだろうと思っていたら、たまたま岩波文庫で再発されたので、GETした。
何せ、ヘルマンヘッセの作品など(失礼)、学生時代に一度読んだことがあったかなかったか。
全く私には、関心のない世界にいらっしゃるフランスの詩人が、仏陀に関する本を書いていらっしゃるなど、驚きだ。

元々1922年に出た本で、日本版は、1953年に出たというから、いずれも私が生まれる前のことだ。

文章は、美しい。たぶんフランス語の原文も美しかっただろうが、末烽キばらしい。音楽のようだ。
ヘッセが本書を捧げている一人が、ロマンロラン。ロマンロランのジャンクリストフは、中学の夏休みの推薦本で懐かしい。最初えぇ?と思ったが、読み進むにつれて、面白くなり、あっという間に読んだ。ベートーベンの生涯をモチーフにした長編だ。
もう一人が、”日本にある我従兄 ヴィルヘルム・グンデルト”さんだ。といっても、その方が誰かを知っているわけではない。ただ、ヘッセの従兄が、戦前に日本にいたということに驚いたという訳。
そんな縁もあってか、ヘッセは、東洋に興味を持ったのかもしれない。

本書の中身だが、一風変わっている。
仏教の思想は、全編に渡って、底辺に流れているのだが、ストーリーは、仏典に残されいるものとはずいぶん異なる。登場人物もやたらに少ない。そして、仏陀は、最後に渡し守になってしまうのだ。
ヘッセの創作として読んだ方がいい本だろう。

岩波書店のうたい文句は、
”ヘッセの深いインド研究と詩的直観とが融合して生み出された東洋の心の結晶とも言うべき人生探求の物語。原文の格調高い調べを見事な日本語に移した達意の訳。”
その通りだ。
コメント
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