かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

ディズニーとチャップリン

2022年06月28日 | Books
まさに梅雨明けの猛暑。
まだ6月。しかも数日残している。
梅雨の戻りはないのか。



著者の大野さんの講演を聞いた話はしたが、その後本書をゲット。
講演内容とかぶるのはわかっていたが、講演内容が、ひじょうに面白かったので、復習も兼ねて。

読んでみると、確かに、本書の内容は、最初からエピローグまで、ほぼ講演内容と同じ。
それだけ、本書、講演とも、完成度が高かったと言える。
ミクロのニッチの部分と、マクロの大きなストーリーテーマがバランスよく描かれている。

20世紀のエンタメの基礎を築いた二人。
その二人が、子弟関係だったこと自体、必然の奇跡?だったし、その後の二人の別れと、分かれた後もリスペクトしあった関係の維持も感動的だ。
コンテンツや、著作権についての考え方、その活用法なども、チャップリンから、ディズニーに引き継がれ、ディズニーは、それを大きく発展させた。
第二次世界大戦時の、戦争に対する考え方の違いが、二人が袂を分かつ原因となったが、戦争反対をつらぬいたチャップリン、アメリカの軍事産業とうまく付き合ったディズニー、どちらが正しかったかを判断するのは難しい。
その後の、保守的なディズニーと、リベラルなチャップリンについても同様。
ただ、リベラルなチャップリンを追い出したアメリカという国については、誤った判断だったことは明らかで、その後、20年振りに入国を許されてアカデミー受賞式での講演で、12分もスタンディングオベーションが続いたのは、今も記録だという。

今のディズニーランド、ディズニーチャンネル(ビートルズを見るために、2ヵ月だけ加入したが)からの収入の方が、ディズニーの元々の事業だったアニメ収入を大きく上回っている。
これも、ディズニーの教えが後輩達にしっかり引き継がれた証左だ。
ディズニーは、ビジネスに熱心で、チャップリンは、信念を持った作品作りにこだわり続けた。
チャップリンの方は、未亡人が、チャップリンの姿が変貌していくのを恐れて、そのコンテンツ使用には消極的だったが、21世紀に入り、徐々に動き出している。

エンタメ業界、コンテンツビジネス、戦争がエンタメ業界に与える影響等、いろんなことを考えさせられる1冊だった。
コメント
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