事例紹介コラムです。
たまたま山雅さんの公式HPを観ていたら、「2015 松本山雅FCサポーターミーティング」の議事録がきちんと掲載されてあるのを見つけ、読みふけってしまいました。ものすごく長い議事録でもありませんが、内容は極めて深いと感じました。根本的な「違い」という意味で、少しカルチャーショックを受けました。全国の市民クラブに関わる方々も読まれてはいかがですか。サポカンの議事録というと、長く某黄色いチームのものをずっと読んでいましたが、黄金時代を経過して、インパクトが強くなくなった気がします。そんな中で山雅さんのものは、改めてJクラブはこうあるべきだと再認識させられる内容だと思います。サポカンを今まで実施した事がないところもあるようですが、本来はクラブ主催で、しっかりファン・サポーターと意見交換する場だと思っています。以下、簡単ですが、内容を抜粋して紹介します。
※画像はサポーターの方のブログより
【クラブの数値面での成績】
昨年は予算の部分でも、10億3千万の予算に対して 、かなりの収益を計上。12月時点の予算執行表でも、12月末の時点で収入が11億3千万円に達しているという事で、1月決算には11億5千万円くらいの収益になる見込み。
J1昇格がかかった試合が多かったということで、入場者数が当初の目標12,400人の平均に対して、入場者数が12,700人を超え、 それに伴って グッズ収入、スポンサー収入も増加。このような形で113~4%の予算額が伸びたという事で、 最終的には約2~3千万円の黒字を達成できる見込み。NPO時代を通して10期連続黒字経営を達成。Jリーグに昇格して3年目の決算を迎えるが、J2の初年度が約8億9千万円、2年目が9億4千万円、3年目が11億5千万という事で順調に推移。
当初描いた5ケ年計画では、Jリーグに昇格年より3段階を踏むという事で、第1段階が予算8億円で入場者数8千人、第2段階が、10億円で1万人、第3段階が12億円で12,000人という中期計画を立てたが、それを5年経たずに3年で達成できたということは大きな成果。
J1に何年で昇格するという目標は無かったが、こういった目標を達成できれば、必ずJ1に上がる事ができると踏んでいたので 、それを予算に対して達成できた進捗状況。
現在17億を超える予算の予定。この数字は、一昨年のJ1鳥栖の予算に匹敵し、J1中位に位置する収益をあげられるクラブになれる見込み。ただ 、それだけではJ1に定着するクラブにはなれないので 、早い段階で20億円、その先を目指す方針。
【専用スタジアム】
山雅ドリームサミットでも説明したとおり、やはりスタジアムのキャパシティの問題が存在。改修ができないならば新スタジアムを建設するという事で 、ドリームサミットでもそのような提案。概ねドリームサミットの参加メンバーからは、成長戦略を描くために、街中の多機能複合型スタジアムが良いのではという意見が非常に多いという状況。今後、分科会で議論していく予定。たぶん今年の7月は提言がされる模様。
【クラブの価値観】
クラブとしては、山雅スタイルいう言葉が紙面でも取り上げられているが、市民参画型クラブであると認識。身の丈経営、来場者からチケッ ト収入やスポンサー収入を効率的に、チームの強化に使っていく方針。
【5つの課題】
ドリームサミットで、昨年5つの課題が出た。「収入拡大」「スタジアム環境の整備」「育成 組織の整備」「チーム編成」「練習環境」と大き く分けると5つのテーマ。今後については、5つのテーマを、各分科会に別れて話をしていこうという事で7月に向けて、クラブとしての今後50年の方向性を提示・提言していく方針。
【行政の出資】
行政と出資を含めていろな話で協議をしているが、現在は旧中信地区と言われた行政へ出資を依頼して おり、出資ができれば、ホームタウンとしてJリーグに申請すると説明。クラブがホームタウン活動を実際にできるのかどうかを考えると、むやみに広げられないという事情あり。実際に岡谷市民からも出資をして、岡谷市もホームタウンにできないのかという相談もあったが、クラブとしてはも っとも市民レベルで盛り上って、なおかつ後援会ができて初めて検討したいと説明。
【①参加者の質問】
クラブハウスがどういう形になるのか、その図面が示されていないとか、色々な意味で発信されている情報が、サポーターとしてストレスが溜まるような状況。もう1点は、ファン・サポーターと距離感を近くして同 じ方向を向いている体制が必要。例えば ファン・サポーターがいつでも立ち寄れる場所、クラブの直営ショップやサポーターサロンのような所、喫茶店山雅を復活させるという話があるが、そういったファンサービスがクラブとして必要なのではないか。その2点を要望。
【①クラブ側の回答】
クラブと距離感という問題については、選手・クラブ側とファン・サポーターとの距離感としては、Jクラブの中でも一番の近さを意識しているので、もっと近づけていきたいと認識。実際に、本年が50周年の節目ということで、喫茶山雅復活も前向きに検討。クラブとしても、ファン・サポーターと、選手、クラブが非常に近い関係でやっていきたいと認識。本来なら、クラブハウスの中にスペースがあって、記者会見をしたり、選手・監督がインタビューを受けたり、選手・監督がインタビューを受ける時も、ファン・サポーターが見える所で出来ればやれば距離が縮まるとイメージしていたが、事務所の立ち退きという状況で断念。
【②参加者の質問】
上土商店街で後援会支部を設立する話を聞いているが。今までは自治体単位での設立が基本だったと思うが、商店街でということで、今回のミニマムな単位での設立に注目。
【②クラブ側の回答】
J2松本は色々な想いが集まってできた組織。後援会というのは、山雅を応援して集まったコミュニティの場所で、色々な方が楽しめる組織であり続ける事が出来れば立ち上げた意味があると認識。そういった中で、支部が少しず つ広がっていったと聞いており、更に支部を立ち上げたいという声があるのは、非常にありがたい。今後、支部が増えていく と、バランスが必要になると思われるが、後援会に判断を委ねたい。
という内容でした。当ブログとしてまず、山雅さんを評価したいのはサポカンの議事録をしっかり公式HPで公開している事。これは段階の話になりますが、サポカンの開催の有無から始まり、サポーター主催かクラブ主催か、内容がどうなのか(シャンシャンな内容になっていないか)、議事録をアップしているかどうか。サポーターサイトかクラブ公式サイトかという段階ですが、左から右に付加価値のレベルの高低があると思っています。当ブログでもサポカンについても、「Jクラブの付加価値」として、評価基準の一つとして「サポカン」関連の記事をアップしています。当ブログにはカテゴリーに関係なく、様々なクラブさんが観に来られているようですが、参考にして下さい。実施していないところは、「変な人が変な発言されるのが怖い」から実施しないという、初歩的な動機を思い直してぜひ実施して欲しいですね。情報開示・発信性の低いところがやっていない傾向があるように思えます。
内容ですが、数字の部分はすごいですね。プレーオフからの「体験昇格」ではなく、J1中位を目指している姿勢は、プレーオフ進出ではなく、自動昇格でなければ意味がないという当ブログの論調と一致しています。
市民参画型クラブが「山雅スタイル」というところも素晴らしいですね。そういう姿勢のところは無いと信じたいですが、市民が参加できない商業主義の姿勢とは真逆の姿勢をはっきり口にされているところが素晴らしい。
クラブの存在する5つの課題をオープンに提起して、「山雅ドリームサミット」という公開討論の場をもう4回も開催しながら、三位一体で協議しているというのは素晴らしいの一言です。こういう場を設ける力があるかどうかも、Jクラブの品格に値するのではないでしょうか。
「選手・クラブとファン・サポーターの距離感」も当ブログで、大昔から口にしているキーワード。堂々と口にされているところが素晴らしい。Jクラブの中で一番近いのではないかと口にされるという事は、距離感が近いという自信がある事の表れであり、もっと近づけたいという姿勢は素晴らしいです。
後援会についてもあくまで一般的な話ですが、以前に「物を言われる存在を作りたくないから後援会を作りたがらない」という価値観があるのではないかと、ネットかどこかで目にしたと触れた事がありますが、そういう価値観とは根本的にレベルが違いますね。後援会についても、「Jクラブの付加価値」として、評価基準の一つとして「後援会」関連の記事をアップしているので参考にして下さい。
以上、素晴らしいという言葉が何度も出ましたが、やはり素晴らしいクラブだと思います。理想的な「親企業を持たない市民クラブ」だと思います。これから上を目指していこうと思われるクラブさんは、ぜひ山雅さんを参考にすべきだと思います。お手本とする部分を誤らないようにと個人的に思います。おっと、そういえば今日は某黄色いチームと試合でしたね。試合結果はともかく、いい試合をして欲しいです。出張とタイミングが合えば、アルウィンに行きたかったなと。
J1松本公式HP議事録ページ:http://www.yamaga-fc.com/news/files/2015/04/0402-3.pdf
J1松本公式HP該当記事:http://www.yamaga-fc.com/news/2015/01/17/1421484129183.html
J1松本関連⑳:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20141129
〃 ⑲:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20141004
〃 ⑱:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140531
〃 ⑰:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140404
〃 ⑯:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140203
〃 ⑮:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130707
〃 ⑭:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120412
〃 ⑬:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20121107
〃 ⑫:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120922
〃 ⑪:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120714
〃 ⑩:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120709
〃 ⑨:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120415
〃 ⑧:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120317
〃 ⑦:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120316
〃 ⑥:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120107
〃 ⑤:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20111118
〃 ④:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20111030
〃 ③:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20110913
〃 ②:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20110818
〃 ①:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20110817
話は変わり、昨日ウルトラスで開催された、ファジのアウェー磐田戦のPVに参加してきました。その模様は明日。