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プロヴィンチャとしての誇り6

2015-04-14 00:03:10 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 事例紹介コラムです。
 少し前ですが、甲府さんについてビジネスジャーナルに「Jリーグクラブの厳しい懐事情 黒字は少数、激しい収入格差…命運握るGM?」というタイトルのコラムが掲載されました。ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説するとあります。
 ビジネス雑誌に載るというのはなかなか無いです。甲府さんといえば、日本のプロヴィンチャの象徴Jクラブで、当ブログとしても好きなクラブの一つです。以下、抜粋して紹介。
           
 J1甲府で'08年月から勤務しているのが、かつてJ1大宮で監督、強化・育成部長を務めた実績のある佐久間GM。以下、運営会社の専務取締役を兼務する佐久間氏にGMの役割や戦力整備について聞いたインタビュー。
【GMの役割】
「日本サッカー界におけるGMの定義はいまだに明文化されていないため、クラブによって役割は様々。自分は、経営陣の一角としてチーム整備やアカデミー(育成)の責任を任され、近年は行政や地域と連携してクラブや山梨県のブランドづくりも担当」と佐久間GMのコメント。
 佐久間GMは、クラブ年間予算の約半分の事業執行権を持つ、チーム強化の最高責任者。チームづくりの仕事は常に発生。昨年にJ1甲府は、J1で自力残留を果たし、'06年の初昇格以来、J1とJ2を行き来し、今シーズン初めて3年連続J1の所属。
 だが、昨季終了後に城福監督が辞任し、慌ただしいオフシーズンとなり、佐久間GMは急遽、後任監督を選定した結果、就任したのがJ1横浜の樋口前監督。
「戦力的に厳しい甲府がJ1残留を果たせたのは城福さんの力が大きいが、『年齢を考えると次の道に進みたい』と決意は固く、辞任を受諾。新監督の選考基準としては、社会性、経験、実績、リーダーシップ、話題性、経費の6項目から総合的に判断。樋口監督は情熱的で人格者であり、'14年天皇杯では、マリノスで優勝。甲府のようなクラブでも、選手をその気にさせる優勝への憧れは重要」と。
 実は樋口監督は、かつて佐久間GMがJ2大宮監督退任後の'7年の後任監督。樋口監督にとってはJ1監督としての第一歩がJ2大宮。選任した理由は、地方クラブの甲府には現実的なチーム強化の視点が欠かせないから。樋口監督氏には、城福前監督が強化した守備力(昨季の総失点数はリーグ2位タイ)を継続し、さらにJ1横浜時代に実践したボール奪取力を期待。クラブ経営が安定した'08年に海野会長が「プロサッカーのチーム運営がわかり、クラブ経営もできるプロフェッショナル」として招聘したのが佐久間氏。
【減収見通しの中、どう戦力を整えた?】
 J1で戦う各クラブには「収入格差」が存在。'14年に発表されたJリーグ開示資料によると、13年度の営業収入で、J1甲府は18クラブ中16位で14億8,100万円。J1とJ2では注目度も違い、広告料の単価も開きがある。この年の平均営業収入はJ1クラブが30億7,800万円、J2クラブが同10億9,000万円と約3倍の格差。J1に残留した甲府だが、今季の営業収入は昨季よりも減収の見通し。
「主な理由は、大口スポンサー企業が1社辞めた事と、観客動員数が多い国立競技場での試合が無い事。本拠地である山梨中銀スタジアムの観客動員数も微減」と佐久間GMのコメント。
 特定の親会社や有力大企業をスポンサーに持たないJ1甲府は、多彩な販促活動で集めた予算内でチーム戦力を整備。経営に関しては海野会長の手腕が大きいが、Jクラブの決算が公開された'05年以降、9年連続の黒字決算はJ1甲府とJ1川崎の2つのみ。
 そんな状況でJリーグを戦い、「結果責任と説明責任」を問われるのがGMの宿命。外国人選手の年棒総額は昨季より35%減にして若返りを進めたため、やむを得ず移籍となった日本人選手も存在。
「戦力的には痛いが、契約期間が残っていたので移籍金も入ってくるし、ビジネス論理だけで動きたくはないが、ロマンを掲げながらソロバンも弾く現実的に選択」と佐久間GMのコメント。
【地域との共生を深掘り】
 「『一体』-プロヴィンチアの挑戦-」が今シーズンのチームスローガン。'15年シーズンで強調する「一体」には、チームの一体感やサポーターが作りだす本拠地スタジアムの一体感を込めたとか。
 昨シーズンの1試合平均観客入場者数は1万2,171人で、。地元サポーターの支持は高く、「祖父母からお孫さんまで、三世代観戦が他のスタジアムに比べて多い」と佐久間GMのコメント。
 ただ、前述した観客数の微減は「高齢世代が足を運ぶ総数が減ってきたため」という事で、魅力的なサッカーで、どう幅広い世代を集客するかが今シーズンの課題。監督としてもGMとしても「理想」を掲げながら、「現実」を見据えて舵取りをするのが佐久間氏の手法。J2大宮を退団後の'08年に、佐久間氏にはJ1やJ2クラブがGMとして、そしてJリーグ事務局からは育成世代の責任者として多数のオファーがあったが、その中でJ1甲府を選び挑戦を続けてきたのは、本人のこだわり。
「日本版のアスレティック・ビルバオを目指しているのです」と佐久間GMは説明。アスレティック・ビルバオは、スペイン1部の古豪で、選手は本拠地のあるバスク出身者で構成。J1甲府はスポーツ強豪校である山梨学院大学と提携、'10年に全国高校サッカー選手権優勝を果たした同大学付属高校とも協力関係を築き、地元有望選手の発掘や育成にも注力。サッカーを軸に地域を再活性させれば、「挑戦」の先に掲げる究極の目標「プロヴィンチアの象徴」が見え、経営資源である「ヒト、モノ、カネ」が限られた中で工夫して結果を出す姿勢は、多くの管理職の仕事に共通。

 ビジネス面から観たJ1甲府の分析はなかなか面白かったですね。甲府さんといえば、スポンサー向けにホームタウン活動をPDFにまとめた「ホーム太タウンレポート」ですね。確か、ホーム戦の時にはスタジアムに全市町村の旗を掲げていると聞いています。
 甲府さんは、'05年にホームタウン編成をこれまでの「山梨県甲府市、韮崎市を中心とする13市町村」から「山梨県甲府市、韮崎市を中心とする全市町村」に広域化されています。いいですね、「全市町村」という言葉は。ちなみに地元岡山のホームタウン表示を観てみました。「岡山市、倉敷市、津山市 を中心とする岡山県全県」でした。一見全く同じようにも見えますが、当ブログでは全然違う表現に思えます。地域に根差すというのは、こういうところなのかもしれません。
ビジネスジャーナル該当記事:http://biz-journal.jp/2015/03/post_9153.html
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